Q&A

理事会の運営

理事会をスムーズに運営するためのポイントに、管理組合の書類の扱いや記録の取り方があります。今回はこの問題をクローズアップしました。

Q
管理組合の書類や記録は何をどう残して管理すればいいか?
A
管理組合の書類のなかには、後日の証拠や記録のために保存が必要なものがあります。役員が毎年交代している管理組合も、少なくありません。新しい役員や区分所有者が、管理組合の状況を正確に知ることができるよう、日頃から整理し、保管しておかなければなりません。基本的な要点は以下のようなことです。
1. 保管する書類の基準をつくる
2.永久保存が必要な書類かどうかを検討する
3.保管場所をどこにするか
4.議決記録・金銭収支記録は最重要書類

<解説>
1.保管する書類の基準をつくる
 保存が必要な書類とそうでない書類を分類するための基準をつくります。また、保存する書類については、内容によって何年間保存するかを判断できるような基準もつくります。
2.永久保存が必要な書類かどうかを検討する
 保存書類の中でも、大規模修繕工事などの建物の維持保全のための工事記録は、とても大切です。細かいものもできる限り保存しておくと、次回の修繕計画のときに役立ちます。
 理事会、各種委員会、説明会、総会などの記録も永久保存が望ましいでしょう。将来訴訟になった場合、証拠書類となるような記録文書は特に注意が必要です。
3.保管場所をどこにするか
 文書保管のためのロッカーなどを用意し、管理員室などの共用部分に保存しましょう。理事長などの個人の住戸
内に保管するのはあまり好ましくありません。保管スペースがない場合は、管理会社と相談してみましょう。
4.議決記録・金銭収支記録は最重要書類
 理事の任期交替などの場合、何をどう引き継ぐかはそれぞれの管理組合の事情によって異なりますが、議決に関する文書、お金に関する文書は、管理組合にとっての最 重要書類であり、きちんと時間をかけてしっかりと引き継ぐようにしましょう。また工事保証書は、保管するだけでなく保証期間についても必ず引き継ぎの時に確認すべきです。

Q
理事会の議事録も総会の議事録と同じように残しておくべきか?
A
まず管理規約を調べてみてください。一般的には、標準管理規約第51条に準じて、理事会議事録の作成を義務づけているケースが多いはずです。そして、「議長(理事長)、書記、他の一名で記名押印し、組合員を限定して閲覧することができる」と定められているのが通常です。
総会議事録と違って、理事会議事録は法的に作成を義務づけられているものではありませんが、仮に管理規約に記載がなくても、大事な問題を話し合う理事会の内容は記録し、残しておくのが常識と言えるでしょう。

<解説>
●保管場所については、「建物内の見やすい場所に掲示しなければならない」と管理規約で規定しているマンションが多いようです。
●保存期間については、内容によって、たとえば区分所有 者を無期限に拘束することの根拠になる議事録なら永久保存扱いしなければいけないでしょうし、相当期間保存した後で廃棄してよいものもあるでしょう。
●組合員が理事会の議事録を見せて欲しいというのは当然 の権利。区分所有法で規定していないので保存していなくてもいいようなものですが、「議事録は残していない」となれば、理事会が本当に開かれているのか、真面目な 話し合いが行われているかなど、組合員が理事会への不信を募らせ、組合運営がぎくしゃくする可能性もあります。

<実例>
●しっかりとした管理組合では、「理事会だより」などを発行し、理事会で話し合われたことを組合員に報告しています。こうすることで理事会の意志が組合員に伝わりやすくなり、合意形成がしやすくなります。