セミナー情報

平成16年度「第9回マンション管理セミナー&管理組合   交流会」報告

第9回マンション管理セミナー&管理組合交流会報告
マンション管理組合の円滑な運営には、他の管理組合との情報交換がとても大切です。今回は、セミナーに続いて、支援機構として3回目の管理組合交流会が開催されました。
セミナーの様子 セミナーでは、財団法人マンション管理センターに寄せられた相談事例の中から、とくに多い相談内容の上位5項目を中心に、財団法人マンション管理センター大阪支部・宇都宮忠支部長に講演していただきました。


マンションの相談事例から
 管理組合の日常運営について
 マンション管理センターでは、皆様方からいろんな質問や相談を受けていますが、今日は、その中から具体的なお話をさせていただき、マンション管理に役立てていただきたいと思っています。
 一番多い相談は、管理組合の日常運営のことで、役員の資格あるいは選任、解任、任期の相談です。役員の資格については、管理規約に「誰が役員になれるのか」ということが書かれています。一般的には、現にそのマンションに居住する区分所有者、となっています。ところが、いつの間にか賃借人が役員になっているケースがあります。賃借人は、基本的に区分所有権がありませんから役員になる資格がない。けれど、何年かたってきますと、「公平にということで、賃借人に役員になってもらってもいいじゃないか」という考え方も出てきます。賃借人が役員になるには規約の改正が必要です。
 ただ私どもがよく申し上げるのは、賃借人を仮に役員にしようということであれば、役割分担の中で、ある程度の制限をしていただいた方がいいだろう。一般的には3役ぐらい、理事長、副理事長、会計担当の理事は、やはり賃借人からははずしていただきたい、と申し上げています。
 区分所有法・管理規約について
 区分所有法・管理規約について相談が多いのは、所有区分です。どこまでが共用部分でどこからが専有部分なんですか、という相談が結構たくさんあります。確かにこれは悩ましいところがありまして、法律上でも、ここからここまでということはうたってない。法律でうたっているのは、専有部分以外は全部共用部分、あるいは共有地という言い方をしているんですね。そうすると専有部分以外というのはどこまでか、というのが法律上はどこにも書いていない。これは結局規約で決めるしかない、ということになります。難しいのは配管とか配線です。この配管や配線については、ある管理組合は絵にしています。絵にすることによって、一般の組合員はよくわかる、ということがあると思います。
 総会について
 総会について相談があるのは、委任状とか議決権行使書ですね。おそらく規約には、議決権行使については、規約で代理人による議決権行使と、書面による議決権行使とがある、と書いてるのではないかと思います。そうすると代理人による議決権行使が、いわゆる委任状であり、書面による議決権行使というのは少し違う。書面による議決権行使の、この書面を委任状と勘違いされている方が結構いらっしゃるので、違うということをご理解いただけたらと思います。
 それから、総会運営ですが、総会の議事録作成は、法律上きちっと決められてます。この総会の議事録作成を、管理会社に委託されている場合は、管理会社が総会の議事録(案)を作ってこられる。その場合、管理会社に都合の悪いことは書いてこないことがあるため、原案を作るのは管理会社でもいいですが、少なくとも役員はそれをチェックして修正をしていただく必要があると思います。
 管理組合と管理会社について
 それから最近多いのは、管理会社についての相談が多いです。管理会社を「けしからんから変えたい」とか、「変えるにはどうするか」という相談も結構あります。でも管理会社を変える、ということは大変なことなんです。そう簡単にできるものではないんですね。「やってくれない」といわれるが、それが、ちゃんと契約書や仕様書に書いてあるのかどうかです。書いてあるのに、やっていなければ、「やれ」と言えますが、「管理会社にお任せしているので、何でも全部やってくれるはず」というわけではありません。少なくとも管理会社も営利会社ですから、契約書、それから仕様書に書いていないことは基本的にはしない、と考えてもらわないといけません。ですから、一番大事なのは、仕様書の中に書いてあることはやりますが、それ以外はしませんよ、というのが基本ですから、管理会社ときちんと確認しておくことが大切です。
 管理費の滞納について
 管理費の滞納はご承知のとおり、最近多いです。滞納されている方もどんどん出てくる。場合によっては破産をしてしまうこともある。それともう一つは、時効の問題があります。管理費の滞納も2004年4月の最高裁の判例で、5年になってしまいました。今までは10年という説もあったんですが、5年になりましたので、できるだけ早め早めに滞納督促をしていかないと時効になってしまいます。ですから、時効にならないうちに何とか処置をしていく。そこで、できるだけ時効の中断を図って時効を伸ばすことを考える。一番簡単なのは、相手に滞納しているということを認めさせる、ということですね。「あなたこれだけ溜まってますね。すみませんが、認めたんだったら一筆ください」ということで一筆取っておく。一筆取れば、取った日から5年となりますから、時効が延びるんですね。ですから一番簡単なのはそういう方法です。
 課題解決のために
 管理組合の運営には、情報の収集が非常に大事になってきます。セミナーに参加したり、情報誌や書籍から情報を取ってください。それから困った時に相談できる専門家の窓口を調べておくことも大事かと思います。
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