大阪市マンション管理支援機構・
大阪市立住まい情報センター主催
2009年度「基礎セミナー」
「マンション管理の基礎知識」
開催日時:2009年7月12日(日)・25日(土)
マンション居住者がお互いに快適に住むために、最低限知っておきたい法律知識、そして日常トラ第1日目ブル解決のヒントをテーマに開催しました。
講座 マンションに住むということ
トラブルを避けて快適に住むために
大阪弁護士会 弁護士
講師 木野 達夫(きの たつお)
基本的な法律について学びましょう
大阪弁護士会 弁護士
講師 木野 達夫(きの たつお)
■区分所有法の基本的な考え方 区分所有法の前に、一番の基本は民法になります。 民法の206条で「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権限を有する。」とされており、所有者が所有物をどう使うかは自由だというのが大原則です。
しかし、マンションには複数の住戸が集まっていて、自分の所有する部分がどこまでなのかが必ずしも明らかでありません。まず所有関係を明らかにする必要があります。次に、ここはみんなの部分だとなった場合、誰がどのように管理するのか、だれが費用を出してどのように管理するのかも決まっていないとトラブルになります。
また自分の所有する部分でも、民法の原則通り所有物は好きなように使っていいということではなく、やはり一定のルールが必要であり、その基本的なルールを定めたものが区分所有法という法律です。 ■管理規約 区分所有法につづいて重要なものは管理規約です。
区分所有法30条1項に規定があります。「建物の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」つまり区分所有法では大きな枠組みしか書いてないので、区分所有法に書いていないものについては管理規約で定めたらいいとあります。マンションについてのルールは自主的に管理規約で定めるということになります。
管理規約は法律ではありませんが、かなり強い効力が認められています。区分所有法の46条1項に「規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。」と規定されており、管理規約を総会で決めたり変更した後に、マンションを購入して区分所有者になった方にも効力を有するということです。
標準管理規約は、国土交通省が発表している管理規約の標準モデルで、それ自体は法律ではありませんが、実践的な内容になっています。この標準管理規約を参考にしている管理組合も多いと思います ■専有部分と共用部分 専有部分と共用部分について、基本に立ち返って考えてみたいと思います。たとえば区分所有者が自分の判断で変更できる部分はどこまでなのか。管理組合が立ち入ってもいい範囲はどこまでなのか。修繕などを行う場合に管理費から費用を支出するのはどこまでなのか。保険が保障する範囲はどこまでなのか。こういう観点で専有部分なのか共有部分なのかをみた場合に、後々問題になることがあるので、やはりきっちりと規約で定めておく必要があります。
専有部分とは、構造上区分され、独立して住居等の建物としての利用ができることが要件になります。
共用部分は3つあります。一つめは専有部分以外の建物の部分、二つめは専有部分に属さない建物の附属物、三つめは規約により共用部分とされた部分となっています。 ■共同生活におけるルール マンションは近い距離でいろいろな方々が住んでおられるので、共同のルールを定める必要性が高いため、区分所有法では大枠の規定を設けています。
基本的な規定が6条の1項です。「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」。当たり前ですが、建物の強度に問題が起きることをしては困りますし、共同の利益に反してはならない。宣言的な規定ですね。
ルール違反があった場合どうすればいいのか。一般的には特別な法律がなくても、(1)違反行為を止めなさいと警告する、(2)規約に定めがあれば違約金を請求する、(3)違反行為の差し止めを請求する、(4)違反があって損害が生じたら、損害賠償請求をする、(5)違反行為者が不在で、緊急の場合には、同意なしに専有部分に立ち入る、といったことが可能です。 ■マンションの管理 管理組合は「建物、敷地付属施設の管理をおこなうための団体」と規定されています。分譲されて区分所有者が決まった段階で自動的に管理組合はできあがっているとみなされています。
総会は管理組合の最高意思決定機関であり、重要な事項は総会で決めることになります。迷う場合は理事会ではなく総会で決議をとられるほうがいいと思います。
管理会社の業務の範囲については、管理会社と締結した管理委託契約書に、管理会社がどこまでするかの範囲が定められています。ぜひ契約書を読んでいただきたいと思います。 ■マンションの管理の適正化の推進に関する法律 平成12年にマンションにおける良好な居住環境の確保を図るために、新たに「マンション管理適正化法」が定められ、管理組合の運営等について相談に応じる専門家としてマンション管理士制度が作られました。また、マンション管理業者についても登録を義務付け、適正に業務を行うように規定が定められています。
管理組合についても「マンションを適正に管理するよう努めなければならない」とあり、法律としてはマンション管理士という資格制度をつくったり、管理業者を登録制にしたりしていますが、やはり最後は管理組合の努力がなかったらマンションの管理はうまくいかないという意味で書かれているのだと思います。
しかし、マンションには複数の住戸が集まっていて、自分の所有する部分がどこまでなのかが必ずしも明らかでありません。まず所有関係を明らかにする必要があります。次に、ここはみんなの部分だとなった場合、誰がどのように管理するのか、だれが費用を出してどのように管理するのかも決まっていないとトラブルになります。
また自分の所有する部分でも、民法の原則通り所有物は好きなように使っていいということではなく、やはり一定のルールが必要であり、その基本的なルールを定めたものが区分所有法という法律です。 ■管理規約 区分所有法につづいて重要なものは管理規約です。
区分所有法30条1項に規定があります。「建物の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」つまり区分所有法では大きな枠組みしか書いてないので、区分所有法に書いていないものについては管理規約で定めたらいいとあります。マンションについてのルールは自主的に管理規約で定めるということになります。
管理規約は法律ではありませんが、かなり強い効力が認められています。区分所有法の46条1項に「規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。」と規定されており、管理規約を総会で決めたり変更した後に、マンションを購入して区分所有者になった方にも効力を有するということです。
標準管理規約は、国土交通省が発表している管理規約の標準モデルで、それ自体は法律ではありませんが、実践的な内容になっています。この標準管理規約を参考にしている管理組合も多いと思います ■専有部分と共用部分 専有部分と共用部分について、基本に立ち返って考えてみたいと思います。たとえば区分所有者が自分の判断で変更できる部分はどこまでなのか。管理組合が立ち入ってもいい範囲はどこまでなのか。修繕などを行う場合に管理費から費用を支出するのはどこまでなのか。保険が保障する範囲はどこまでなのか。こういう観点で専有部分なのか共有部分なのかをみた場合に、後々問題になることがあるので、やはりきっちりと規約で定めておく必要があります。
専有部分とは、構造上区分され、独立して住居等の建物としての利用ができることが要件になります。
共用部分は3つあります。一つめは専有部分以外の建物の部分、二つめは専有部分に属さない建物の附属物、三つめは規約により共用部分とされた部分となっています。 ■共同生活におけるルール マンションは近い距離でいろいろな方々が住んでおられるので、共同のルールを定める必要性が高いため、区分所有法では大枠の規定を設けています。
基本的な規定が6条の1項です。「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」。当たり前ですが、建物の強度に問題が起きることをしては困りますし、共同の利益に反してはならない。宣言的な規定ですね。
ルール違反があった場合どうすればいいのか。一般的には特別な法律がなくても、(1)違反行為を止めなさいと警告する、(2)規約に定めがあれば違約金を請求する、(3)違反行為の差し止めを請求する、(4)違反があって損害が生じたら、損害賠償請求をする、(5)違反行為者が不在で、緊急の場合には、同意なしに専有部分に立ち入る、といったことが可能です。 ■マンションの管理 管理組合は「建物、敷地付属施設の管理をおこなうための団体」と規定されています。分譲されて区分所有者が決まった段階で自動的に管理組合はできあがっているとみなされています。
総会は管理組合の最高意思決定機関であり、重要な事項は総会で決めることになります。迷う場合は理事会ではなく総会で決議をとられるほうがいいと思います。
管理会社の業務の範囲については、管理会社と締結した管理委託契約書に、管理会社がどこまでするかの範囲が定められています。ぜひ契約書を読んでいただきたいと思います。 ■マンションの管理の適正化の推進に関する法律 平成12年にマンションにおける良好な居住環境の確保を図るために、新たに「マンション管理適正化法」が定められ、管理組合の運営等について相談に応じる専門家としてマンション管理士制度が作られました。また、マンション管理業者についても登録を義務付け、適正に業務を行うように規定が定められています。
管理組合についても「マンションを適正に管理するよう努めなければならない」とあり、法律としてはマンション管理士という資格制度をつくったり、管理業者を登録制にしたりしていますが、やはり最後は管理組合の努力がなかったらマンションの管理はうまくいかないという意味で書かれているのだと思います。
講座 日常のトラブルと解決のヒント
上手なコミュニケーションこそが
トラブルを解決するポイントです
講師 NPO法人 シヴィル・プロネット関西
■裁判以外での紛争解決方法を研究 シヴィル・プロネット関西では日常の様々なトラブルに対して、当事者同士の話し合いによる紛争解決方法を提案しています。トラブルについていろいろ研究しているうちに、その原因の一つは、コミュニケーションの問題があるんじゃないかと気づきました。トラブルになってしまうと、当事者間の対話関係が断絶し、当事者が感情的になっており、そのために話し合いができない。この状態からどうやって対話を復活させていくのか、ということを少し勉強していただければと思います。 ■挨拶はコミュニケーションの一つ 挨拶は、人間関係の土台を築く非常に素晴らしいコミュニケーションの一つです。コミュニケーションの話をする前に、「まず、挨拶をしてください」と言っています。ポイントをいつも語呂合わせでお伝えしております。「あ」は、明るく、「い」は、いつでも、「さ」は、相手より先に、「つ」は、ついでに一誉めです。その4つ、ちょっと覚えておいていただけますでしょうか。
皆さんのマンションでは挨拶を、声に出してなさっていますでしょうか。挨拶一つでいろいろと変わってまいります。ただの挨拶と思わず、コミュニケーションの一つだと思って積極的にご利用いただけたらと思います。
皆さんにこんなに挨拶をお勧めする理由は、挨拶のないマンションは些細なことが大きなトラブルになりやすからです。挨拶がないということは、コミュニケーションが普段からとれてないということですよね。同じことがあっても顔見知りだったら許せるのに、全然知らない人だったら無性に腹が立ったりするものです。 ■相手に認められないと苦痛を感じる ではコミュニケーションについて少しお話をしたいと思います。ポイントは3つの「こ」です。まず「心」が大事、その次に「行動」、どんな行動をとるかということが大事、そして「言葉」選びも大事です。
心理学の中で、交流分析という心理学がありますが、そのなかで「人は自分の存在を認めてくれるようなよい触れ合いがないと、心と体に障害がでてくる」というふうに言われています。自分を認めてもらえない状態に人間は非常に弱く、ものすごい苦痛を感じる動物なんだそうです。 ■言葉より大きな影響を与える「態度」 アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンという方が1971年に提唱した法則(メラビアンの法則)というものがあり、それは「曖昧なメッセージが発せられた時、人の行動が相手にどのような影響を及ぼすか」を調べたものです。
それによると、目からの情報が55%、耳からの情報が38%、そして言語の情報が7%という結果が出ました。言葉と態度とで分けますと、言葉7%、それ以外の態度93%という率になります。
ですから皆さんがお話を聞く時は、意識して態度を考えていただくことが大切だと思っています。まず相手の目を見ること。目を見るというのは他の誰でもないあなたの話を聞いていますという、これだけでメッセージなんです。その次、うなずく。これも大切なメッセージですね。これはあなたの声がちゃんと私の耳に届いていますということをお知らせしているわけです。そして相づちを打つ。これは相手のお話の内容がちゃんと伝わっているというショートメッセージです。それに加えて、相手のお話の内容を、たとえ自分と意見が違っても否定しないでとりあえずそのまま最後まで聞いてあげてください。 ■私メッセージで、お願いする では最後に相手に届ける言葉についてお話をします。ここでは「私メッセージ」ということをお話したいと思います。これは私ということを主語にもってきていただくとわかりやすいと思います。あなたを主語にすると、相手を責めがちな感じになりがちです。実際に自転車の置き場の問題で考えてみたいと思います。
まず、あなたを主語にすると、「あなた、ここへ自転車を置いたらだめでしょう」。これを、私を主語に変えてみます。「私はここに自転車をおかれると困るんです」。それに続けてお願いをする気持ちで言葉を続けます。「奥の駐輪場へ止めてくれませんか」。さあどうでしょう。皆さんならどちらで言われたほうが気持ちいいですか? 本日はトラブルを防ぐ聞き方、自分の意見の伝え方、そして話し合いというものに対しての考え方というものをお話ししてまいりました。トラブルの解決へのヒントとなればと思います。
皆さんのマンションでは挨拶を、声に出してなさっていますでしょうか。挨拶一つでいろいろと変わってまいります。ただの挨拶と思わず、コミュニケーションの一つだと思って積極的にご利用いただけたらと思います。
皆さんにこんなに挨拶をお勧めする理由は、挨拶のないマンションは些細なことが大きなトラブルになりやすからです。挨拶がないということは、コミュニケーションが普段からとれてないということですよね。同じことがあっても顔見知りだったら許せるのに、全然知らない人だったら無性に腹が立ったりするものです。 ■相手に認められないと苦痛を感じる ではコミュニケーションについて少しお話をしたいと思います。ポイントは3つの「こ」です。まず「心」が大事、その次に「行動」、どんな行動をとるかということが大事、そして「言葉」選びも大事です。
心理学の中で、交流分析という心理学がありますが、そのなかで「人は自分の存在を認めてくれるようなよい触れ合いがないと、心と体に障害がでてくる」というふうに言われています。自分を認めてもらえない状態に人間は非常に弱く、ものすごい苦痛を感じる動物なんだそうです。 ■言葉より大きな影響を与える「態度」 アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンという方が1971年に提唱した法則(メラビアンの法則)というものがあり、それは「曖昧なメッセージが発せられた時、人の行動が相手にどのような影響を及ぼすか」を調べたものです。
それによると、目からの情報が55%、耳からの情報が38%、そして言語の情報が7%という結果が出ました。言葉と態度とで分けますと、言葉7%、それ以外の態度93%という率になります。
ですから皆さんがお話を聞く時は、意識して態度を考えていただくことが大切だと思っています。まず相手の目を見ること。目を見るというのは他の誰でもないあなたの話を聞いていますという、これだけでメッセージなんです。その次、うなずく。これも大切なメッセージですね。これはあなたの声がちゃんと私の耳に届いていますということをお知らせしているわけです。そして相づちを打つ。これは相手のお話の内容がちゃんと伝わっているというショートメッセージです。それに加えて、相手のお話の内容を、たとえ自分と意見が違っても否定しないでとりあえずそのまま最後まで聞いてあげてください。 ■私メッセージで、お願いする では最後に相手に届ける言葉についてお話をします。ここでは「私メッセージ」ということをお話したいと思います。これは私ということを主語にもってきていただくとわかりやすいと思います。あなたを主語にすると、相手を責めがちな感じになりがちです。実際に自転車の置き場の問題で考えてみたいと思います。
まず、あなたを主語にすると、「あなた、ここへ自転車を置いたらだめでしょう」。これを、私を主語に変えてみます。「私はここに自転車をおかれると困るんです」。それに続けてお願いをする気持ちで言葉を続けます。「奥の駐輪場へ止めてくれませんか」。さあどうでしょう。皆さんならどちらで言われたほうが気持ちいいですか? 本日はトラブルを防ぐ聞き方、自分の意見の伝え方、そして話し合いというものに対しての考え方というものをお話ししてまいりました。トラブルの解決へのヒントとなればと思います。
建物の日常の維持管理を行う場合のチェックポイント、法律で義務づけられている定期報告制度、マンション管理が資産価値に与第2日目える影響などをテーマとして開催しました。
講座 建物の日常の維持管理
日常点検を行っていると、
緊急時に慌てず迅速に対応できます
(社)大阪府建築士会 1級建築士
講師 今井 俊夫(いまい としお)
■建築設備の日常管理にタッチしよう マンションの日常維持管理ですが、まずマンションの設備や施設は難しくないということです。
自主管理の場合は、理事さん、役員さんが常日頃から建物設備の日常管理にタッチしておくことが重要です。大半は管理会社に委託し、日常管理は管理会社にまかせていますが、いざという時に管理会社任せにはできない状況も出てきます。深夜の漏水であるとか、思わぬ突発事故は、管理人さんがいる間に起こる保証はありません。少なくとも理事、役員さんは管理会社任せにしないでください。
おそらくマンションの中の日常管理は、管理人さんがよくご存じだと思います。建物の排水の洗浄、消防点検、地下水槽、高架水槽の点検、いろいろな専門会社が日常の維持管理にかかわっています。どういう会社がどういう作業をしているか、まずそれを知ることが一番です。
たとえば、エレベータやポンプ給排水設備などの点検報告書チェックはしていますか。点検報告書が出てきても、そのまま書棚にすぐに入れてしまうことも多いと思いますが、点検報告書に記載されている異常箇所など注意事項を見落としている可能性もありますから、毎回点検報告書を確認することは非常に重要です。 ■建物部位と施設・設備ごとに管理の要点を把握 建物の施設・設備について知るには、まず施設・設備ごとに要点を分類することが必要です。住棟、施設外構、建築設備のなかでは、給水設備、排水・通気設備、換気、空調設備、ガス設備などの項目があります。こういう分類に沿って維持管理を行うと、非常に貴重な建物の資料になります。いわゆる修繕カルテが皆さんの手で仕上がってくることになりますから、この項目はぜひ参考にしていただければと思います。
(1)住棟
1.屋上、塔屋、2.外壁、3.バルコニー、5.屋外の鉄骨階段(屋外の鉄骨階段は、建物の中で一番先に傷んでしまい、大きな修繕工事になる場合が多いので、注意が必要です)
(2)施設、外構
1.管理事務所、2.集会所、3.エレベーター機械室、4.電気室、5.受水槽ポンプ室、6.高架水槽、7.ゴミ置き場、ロータリードラム、8.駐車施設、9.駐輪施設、10.植栽、外構施設。
これ以外で、例えばプレイロットや別棟の付帯設備などがある場合はプラスアルファで考えていきます。
(3)建築設備
建物の日常の維持管理というのは、6、7割方は設備の維持管理になります。
1.給水設備(ポンプ給水、揚水管、給水本管、系統バルブ、PS内系統縦管、枝管、量水器、止水バルブ)、2.排水・通気設備(汚水、雑排水立て管、排水横管(埋設管)、屋外会所桝、通気管)、3.換気、空調設備(管理事務所、集会所、共用トイレ等)、4.ガス設備(屋外埋設管、横引き、立ち上がり管)、5.電気設備(変受電設備、専用部分系統ブレーカ分電盤、送電配線、共用部分分電盤、照明等電気設備、テレビ共同視聴設備、電話設備、インターホン設備、防犯設備、避雷針設備)、6.消防設備(消火設備(消火器、屋内消火栓、連結送水管))、(警報設備(自動火災報知器、避難誘導備品))、(避難設備(避難設備、誘導灯及び誘導指標))、7.エレベータ設備、8.集塵設備 ■異常が起きたときでも慌てないですむために 日頃から緊急対策を検討して、日常点検をきっちりと行っていると、緊急時に慌てずに迅速に対応ができます。 「緊急時対応マニュアル」等を皆さんのマンションで独自につくって、それを運用していれば、皆さんのマンションで何がおこっても、たとえ大きな地震が起こっても、慌てることなく対応できると思います。
自主管理の場合は、理事さん、役員さんが常日頃から建物設備の日常管理にタッチしておくことが重要です。大半は管理会社に委託し、日常管理は管理会社にまかせていますが、いざという時に管理会社任せにはできない状況も出てきます。深夜の漏水であるとか、思わぬ突発事故は、管理人さんがいる間に起こる保証はありません。少なくとも理事、役員さんは管理会社任せにしないでください。
おそらくマンションの中の日常管理は、管理人さんがよくご存じだと思います。建物の排水の洗浄、消防点検、地下水槽、高架水槽の点検、いろいろな専門会社が日常の維持管理にかかわっています。どういう会社がどういう作業をしているか、まずそれを知ることが一番です。
たとえば、エレベータやポンプ給排水設備などの点検報告書チェックはしていますか。点検報告書が出てきても、そのまま書棚にすぐに入れてしまうことも多いと思いますが、点検報告書に記載されている異常箇所など注意事項を見落としている可能性もありますから、毎回点検報告書を確認することは非常に重要です。 ■建物部位と施設・設備ごとに管理の要点を把握 建物の施設・設備について知るには、まず施設・設備ごとに要点を分類することが必要です。住棟、施設外構、建築設備のなかでは、給水設備、排水・通気設備、換気、空調設備、ガス設備などの項目があります。こういう分類に沿って維持管理を行うと、非常に貴重な建物の資料になります。いわゆる修繕カルテが皆さんの手で仕上がってくることになりますから、この項目はぜひ参考にしていただければと思います。
(1)住棟
1.屋上、塔屋、2.外壁、3.バルコニー、5.屋外の鉄骨階段(屋外の鉄骨階段は、建物の中で一番先に傷んでしまい、大きな修繕工事になる場合が多いので、注意が必要です)
(2)施設、外構
1.管理事務所、2.集会所、3.エレベーター機械室、4.電気室、5.受水槽ポンプ室、6.高架水槽、7.ゴミ置き場、ロータリードラム、8.駐車施設、9.駐輪施設、10.植栽、外構施設。
これ以外で、例えばプレイロットや別棟の付帯設備などがある場合はプラスアルファで考えていきます。
(3)建築設備
建物の日常の維持管理というのは、6、7割方は設備の維持管理になります。
1.給水設備(ポンプ給水、揚水管、給水本管、系統バルブ、PS内系統縦管、枝管、量水器、止水バルブ)、2.排水・通気設備(汚水、雑排水立て管、排水横管(埋設管)、屋外会所桝、通気管)、3.換気、空調設備(管理事務所、集会所、共用トイレ等)、4.ガス設備(屋外埋設管、横引き、立ち上がり管)、5.電気設備(変受電設備、専用部分系統ブレーカ分電盤、送電配線、共用部分分電盤、照明等電気設備、テレビ共同視聴設備、電話設備、インターホン設備、防犯設備、避雷針設備)、6.消防設備(消火設備(消火器、屋内消火栓、連結送水管))、(警報設備(自動火災報知器、避難誘導備品))、(避難設備(避難設備、誘導灯及び誘導指標))、7.エレベータ設備、8.集塵設備 ■異常が起きたときでも慌てないですむために 日頃から緊急対策を検討して、日常点検をきっちりと行っていると、緊急時に慌てずに迅速に対応ができます。 「緊急時対応マニュアル」等を皆さんのマンションで独自につくって、それを運用していれば、皆さんのマンションで何がおこっても、たとえ大きな地震が起こっても、慌てることなく対応できると思います。
講座 特殊建築物の定期報告制度について
定期報告制度は、法律に定められた制度。
今年は、報告しなければならない年です。
(財)大阪建築防災センター
講師 大西 康之(おおにし やすゆき)
■定期報告制度とは? 定期報告制度は、使用されている建築物の維持保全のために法律で定められた制度です(建築基準法12条)。
また、建築基準法8条には、建物の所有者・管理者が建物の維持保全に努めなければならないと、あります。
定期調査報告は3年ごとに行い、大阪府の場合は平成21年が共同住宅の報告する年です。また、新築の場合は建築確認完了済証の交付を受ければ、初めの対象年は免除になります。
消防設備点検との違いは、消防設備は、消火・避難設備・警報などの設備の点検をしますが、定期報告は、建物本体の防火性能とか避難性能、それと建物の劣化損傷状況なども踏まえて建物本来の性能・耐力・使用状況などを現状把握することを目的にしています。 ■定期報告のしくみ 報告義務があるのは建物の所有者・管理者で、管理組合の場合は理事長です。調査は1級・2級建築士または特殊建築物等調査資格者が行い、所有者・管理者が押印し報告書を提出する必要があります。 ■対象の共同住宅と定期報告の構成 マンションは共同住宅という位置づけで特殊建築物に当たります。定期報告を出していただく対象は、階数と規模で決まっています。まず3階以上の共同住宅であるかどうか。3階以上の場合でも、1000m2を超えているかどうか。もう一つは、5階以上に共同住宅があれば、500m2でも対象になりますので気をつけてください。
特殊建築物の定期報告には、建物本体のチェックが主となる、特殊建築物等の定期調査と、建築設備の定期検査があります。ただし、大阪府内の場合は非常用エレベーターが設置されているような高層のマンション(31mを超えているマンション)が対象で、それ以外のマンションは、建築設備の定期報告は対象外になっています。もう一つ、昇降機等の定期検査。これはエレベーターが設置されていれば定期報告をしていただきます。 ■定期調査の内容 定期報告の調査内容ですが、構成は常日頃の維持保全につながる内容となっており、全部で144項目あります。
基本的には調査項目の8割は目視でチェックをします。 敷地および地盤について、建物の外部について、屋上及び屋根について、劣化損傷状況や防火性能が保たれているかどうか、避難経路が取れているかどうかなどについて目視を中心にチェックします。
建築物の内部についても、防火区画が改変されていないか、防火戸がちゃんと閉まるようになっているか。避難施設等については、一番大事なのは2方向避難ですね。階段等も2方向に逃げられるかどうか、そういったことを見ます。その他にも、石綿(アスベスト)が使われている場合はチェックしたり、避雷針や煙突、福祉の配慮などを見る項目もあります。
皆様方には、今後も維持保全を続けていただきながら、定期報告制度のご理解を深めていただきたいと思います。
また、建築基準法8条には、建物の所有者・管理者が建物の維持保全に努めなければならないと、あります。
定期調査報告は3年ごとに行い、大阪府の場合は平成21年が共同住宅の報告する年です。また、新築の場合は建築確認完了済証の交付を受ければ、初めの対象年は免除になります。
消防設備点検との違いは、消防設備は、消火・避難設備・警報などの設備の点検をしますが、定期報告は、建物本体の防火性能とか避難性能、それと建物の劣化損傷状況なども踏まえて建物本来の性能・耐力・使用状況などを現状把握することを目的にしています。 ■定期報告のしくみ 報告義務があるのは建物の所有者・管理者で、管理組合の場合は理事長です。調査は1級・2級建築士または特殊建築物等調査資格者が行い、所有者・管理者が押印し報告書を提出する必要があります。 ■対象の共同住宅と定期報告の構成 マンションは共同住宅という位置づけで特殊建築物に当たります。定期報告を出していただく対象は、階数と規模で決まっています。まず3階以上の共同住宅であるかどうか。3階以上の場合でも、1000m2を超えているかどうか。もう一つは、5階以上に共同住宅があれば、500m2でも対象になりますので気をつけてください。
特殊建築物の定期報告には、建物本体のチェックが主となる、特殊建築物等の定期調査と、建築設備の定期検査があります。ただし、大阪府内の場合は非常用エレベーターが設置されているような高層のマンション(31mを超えているマンション)が対象で、それ以外のマンションは、建築設備の定期報告は対象外になっています。もう一つ、昇降機等の定期検査。これはエレベーターが設置されていれば定期報告をしていただきます。 ■定期調査の内容 定期報告の調査内容ですが、構成は常日頃の維持保全につながる内容となっており、全部で144項目あります。
基本的には調査項目の8割は目視でチェックをします。 敷地および地盤について、建物の外部について、屋上及び屋根について、劣化損傷状況や防火性能が保たれているかどうか、避難経路が取れているかどうかなどについて目視を中心にチェックします。
建築物の内部についても、防火区画が改変されていないか、防火戸がちゃんと閉まるようになっているか。避難施設等については、一番大事なのは2方向避難ですね。階段等も2方向に逃げられるかどうか、そういったことを見ます。その他にも、石綿(アスベスト)が使われている場合はチェックしたり、避雷針や煙突、福祉の配慮などを見る項目もあります。
皆様方には、今後も維持保全を続けていただきながら、定期報告制度のご理解を深めていただきたいと思います。
講座 マンション管理と資産価値
競争厳しい中古マンション市場で
資産価値を左右するのは「管理」だけ
(社)大阪府不動産鑑定士協会 不動産鑑定士
講師 北谷 奈穂子(きたや なほこ)
■鑑定評価の3手法 私たち不動産鑑定士がマンションを鑑定評価をする際には、三つの手法で試算価格を出し、最終的にこれらを調整して評価額を決定します。
(1)原価法
原価法は、費用性に着目して価値を評価します。新築時の販売価格は土地の値段、建物の値段、間接費を積み上げたものです。その後、築年数に応じて価値が下がっていきます。その減価を計算して積算価格を算出します。
(2)取引事例比較法
取引事例比較法は、競争相手になる他のマンションと比較して値段を出す方法です。基本的にはライバルになるような取引事例を4、5件集めてきて、それぞれのマンションの持つ要因を細かく分析し、評価します。
(3)収益還元法
収益還元法は、収益性に着目します。今住んでいるマンションが賃貸に出されたときに、いくらで貸せるのかに着目して評価を行います。 ■変更が可能なのは「管理」だけ マンションの資産価値を形成する主な要素は、土地、建物、管理の3要素です。土地は、後から何とかすることはできません。理事長さんがいくら頑張っても、駅に1メートルでも近づけることはできません。建物も、基本の設計施工は、新築時に決まっています。ところが管理は、購入後、マンションが朽ち果てるまで関係しますし、どれくらい頑張るかによって資産価値が大きく左右されます。皆さんが頑張るとしたらここしかない、というふうに強く認識していただきたいと思います。 ■マンションを取り巻く状況 マンションは毎年20万戸が分譲されており、平成20年には545万戸を越えました。それにもかかわらず、一般世帯総数の推移を見ると、そろそろ天井で、これ以上増えない予測になっています。
また、これからマンションを買おうという消費者の意識も、だんだん変わってきています。マンションを買う際に、専門家にお金を払って同行してもらい、問題のない建物かどうか、管理はどうか、修繕積立金はどうか、ということをチェックしてもらう人も見られるようになりました。
消費者ニーズの高まりに伴って、情報開示も進んでいます。例えば、(財)マンション管理センターが行うマンションみらいネットでは、登録マンションの管理情報が詳細に開示されています。 ■管理は、コミュニティの形成から 鑑定士がマンションの評価をする際に、管理の善し悪しを判断するには、どこを見るか。日常管理では、エントランス、ホール、エレベーター、階段、廊下、建物の内部です。外部は、敷地内の駐輪場、植栽の清掃。郵便受けなどもチェックします。修繕という意味では、外壁、内壁、床のひび割れ、鉄部の錆、屋上防水のシートの剥がれ、水漏れなどの有無を見ます。
また、長期修繕計画があればいいというものではなくて、それが必要にして十分な内容かどうか。その計画に対して積立金は十分かどうか。それから修繕費、管理費の滞納はないかを見ます。このように、日常の管理と修繕、それから滞納等の会計面などがしっかりしていれば、おおむね管理は良好じゃないかと判断します。 ■コミュニティを形成して頑張ってください 所有者全員が資産価値としての維持について自己責任の意識を持つことと、共同住宅に住んでいるんだという自覚を持って組合活動に参加してもらえる仕組みにしていくことが重要と思います。というのも、所有者の皆さんの合意が得られないと、必要な場合に管理費や積立金の増額ひとつできません。そうなると資産価値が守りたくても守れません。
マンションの中で共通認識が生まれ、円滑な合意形成が生まれるには、コミュティの形成が大切です。いきなり「増額しますよ」と総会で無理に通すのではなくて、必要性を皆さんが納得し、その上で意志決定できるようなコミュティを形成できるよう頑張っていただきたいと思っています。
(1)原価法
原価法は、費用性に着目して価値を評価します。新築時の販売価格は土地の値段、建物の値段、間接費を積み上げたものです。その後、築年数に応じて価値が下がっていきます。その減価を計算して積算価格を算出します。
(2)取引事例比較法
取引事例比較法は、競争相手になる他のマンションと比較して値段を出す方法です。基本的にはライバルになるような取引事例を4、5件集めてきて、それぞれのマンションの持つ要因を細かく分析し、評価します。
(3)収益還元法
収益還元法は、収益性に着目します。今住んでいるマンションが賃貸に出されたときに、いくらで貸せるのかに着目して評価を行います。 ■変更が可能なのは「管理」だけ マンションの資産価値を形成する主な要素は、土地、建物、管理の3要素です。土地は、後から何とかすることはできません。理事長さんがいくら頑張っても、駅に1メートルでも近づけることはできません。建物も、基本の設計施工は、新築時に決まっています。ところが管理は、購入後、マンションが朽ち果てるまで関係しますし、どれくらい頑張るかによって資産価値が大きく左右されます。皆さんが頑張るとしたらここしかない、というふうに強く認識していただきたいと思います。 ■マンションを取り巻く状況 マンションは毎年20万戸が分譲されており、平成20年には545万戸を越えました。それにもかかわらず、一般世帯総数の推移を見ると、そろそろ天井で、これ以上増えない予測になっています。
また、これからマンションを買おうという消費者の意識も、だんだん変わってきています。マンションを買う際に、専門家にお金を払って同行してもらい、問題のない建物かどうか、管理はどうか、修繕積立金はどうか、ということをチェックしてもらう人も見られるようになりました。
消費者ニーズの高まりに伴って、情報開示も進んでいます。例えば、(財)マンション管理センターが行うマンションみらいネットでは、登録マンションの管理情報が詳細に開示されています。 ■管理は、コミュニティの形成から 鑑定士がマンションの評価をする際に、管理の善し悪しを判断するには、どこを見るか。日常管理では、エントランス、ホール、エレベーター、階段、廊下、建物の内部です。外部は、敷地内の駐輪場、植栽の清掃。郵便受けなどもチェックします。修繕という意味では、外壁、内壁、床のひび割れ、鉄部の錆、屋上防水のシートの剥がれ、水漏れなどの有無を見ます。
また、長期修繕計画があればいいというものではなくて、それが必要にして十分な内容かどうか。その計画に対して積立金は十分かどうか。それから修繕費、管理費の滞納はないかを見ます。このように、日常の管理と修繕、それから滞納等の会計面などがしっかりしていれば、おおむね管理は良好じゃないかと判断します。 ■コミュニティを形成して頑張ってください 所有者全員が資産価値としての維持について自己責任の意識を持つことと、共同住宅に住んでいるんだという自覚を持って組合活動に参加してもらえる仕組みにしていくことが重要と思います。というのも、所有者の皆さんの合意が得られないと、必要な場合に管理費や積立金の増額ひとつできません。そうなると資産価値が守りたくても守れません。
マンションの中で共通認識が生まれ、円滑な合意形成が生まれるには、コミュティの形成が大切です。いきなり「増額しますよ」と総会で無理に通すのではなくて、必要性を皆さんが納得し、その上で意志決定できるようなコミュティを形成できるよう頑張っていただきたいと思っています。