セミナー情報

「マンションらいふあっぷ連続セミナー」報告

マンション設備の維持管理について
快適なマンション生活を送るために、設備の維持管理は重要なテーマになっています。管理組合の役員になられた方などを対象に、専門家が様々な角度からマンション設備について取り上げ、わかりやすく説明しました。
7月26日(日)
いま話題の地上デジタル放送と電波障害対策をはじめ、マンション管理組合の損害保険の種類とつけ方、そして電気設備のリニューアルをテーマに開催しました。 講座1 マンション管理組合の損害保険
●マンション共用部分の損害
マンションの共用部分で保険の対象になる事故にはどういうものがあるのか。代表的な事故は火災事故です。風災事故は、台風が来たときに、物が飛んできて壊されるといった事故です。水災事故は、地下駐車場に水が入ってきて、電気式の昇降装置が壊れてしまう事故などです。給排水設備に生じた漏水事故で、共用部分の天井が濡れてシミができることあります。それから破壊行為等による事故として、落書きや、盗難に入ろうとしてエントランスを壊すといった事故があります。これらの事故は、すべて広い意味での火災保険の範疇になります。
●マンション内の賠償事故
もう一つは賠償事故があります。賠償事故には3つの類型があります。まず居住者間の賠償事故があります。それからマンション管理組合の管理に起因する賠償事故。例えば、壁の一部がメンテナンス不足のために崩落して、下の誰かにぶつけて怪我をさせてしまう場合。それから居住者によるマンション共用部分に対する賠償事故。エントランスホールで子どもが遊んでいて、何かを壊してしまう事故などが考えられます。これらはすべて保険の対象になります。
●マンション管理組合用の保険とは?
マンション管理組合用の保険ですが火災、落雷、破裂・爆発、風、ひょう、雪災、この6つの損害については住宅火災保険に伝統的な補償内容です。ちょっと補償を広げたものとして住宅総合保険がありまして、外部からの物体の飛来や水ぬれ、水害に対する損害も補償します。
ここまでが住宅総合保険の補償内容ですが、さらに各社、保険の自由化以降、いろんな保険を出しています。一般的に追加補償されているのが、電気的事故、機械的事故です。それから賠償責任について、特約の形でセットで保険に入ることができます。一般的にこれを全部一つのパッケージしたのが、マンション管理組合用の保険として販売されています。
●個別付保契約方式と共用部分一括付保契約方式
次にマンションの保険のつけ方ですが、まず区分所有権は、専有部分に対する所有権と共用部分についての共用持ち分、この2つからなっています。そこで保険のつけ方も2つあります。一つは、個別付保契約方式、それからもう一つが、共用部分一括付保契約方式と呼んでいます。個別付保契約方式は、マンションの居住者の方が、それぞれに自分の専有部分と共用持ち分にかける方法です。それに対して、専有部分については各区分所有者の方でかけていただいて、共用部分は管理組合がまとめてかけるのが共用部分一括付保契約方式です。保険上は、一括方式をお勧めしております。
●上塗り基準と壁芯基準
では一括方式で保険をかけようと決まった場合、共用部分はどこまで保険をつけるのか。エントランスや階段が共用部分だということはわかりますが、学説も分かれているのが、住戸の境界の壁の部分です。上塗り説と壁芯説の2つがあります。上塗り説は、境界壁はすべて共用部分で、上塗り部分だけが専有部分だという説です。学者の方は上塗り説を採られている方が多いです。壁芯説は、境界の壁の中心線を境界とする説です。学説は分かれていますが、保険上は上塗り基準でつけることをお勧めしています。
●ご契約金額の決め方
次にご契約金額の決め方ですが、まず新価と時価という考え方があります。同じ建物を再度建てるときにかかる金額、これを新価といっています。これに対して時価は、再調達価額から使用による消耗分を差し引いた金額をもとにつける方法です。新価でつけるメリットは、建て直す、あるいは修理するときに自己負担がない。一方、時価のメリットは、保険のご契約金額が低くなるので、安くかけられる。保険料が安いということです。我々は新価をお勧めしています。事故が起こったときに、保険金で全部まかなって頂ける。それが保険の使命と考えておりますので、ぜひ新価でつけられることをお勧めします。その他にも、全部保険と一部保険という考え方もあります。どういう契約方式になっているのかをよくご確認のうえご契約いただきたいと思います。
講座1 マンションにおける電気設備のリニューアルと増設について
古いマンションの電気設備には大きく3つの問題点があります。1つ目は経年劣化です。ケーブル劣化によって漏電する可能性、あるいはブレーカーの劣化によって遮断性能が劣化する可能性がありますが、通常は30年以上十分寿命がありますので、それほど問題はありません。2つ目は安全性です。昭和40年代に建ったマンションなどに、漏電ブレーカーや主幹ブレーカーが付いていない事例があります。漏電ブレーカーがない場合は、感電事故や漏電による火災の可能性がありますし、主幹ブレーカーがない場合は、一気に複数戸数で停電する可能性があります。3つ目は容量不足です。20、30年前は、電化設備が現在ほど使われることは想像されていなかったので、対応できないことが考えられます。
そこで安全性を高めるため、あるいは電気容量不足に対応するため、幹線改修、オール電化、厨房電化など、さまざまな電化リニューアル工事を行うことが考えられます。まず、自分のマンションがどんな設備かを調査しないといけません。管理会社や電力会社にご相談ください。長期修繕計画の中に、電気設備のリニューアルの計画を入れることを、ぜひご検討いただければと思います。
講座1 地上デジタル放送と電波障害
●放送のデジタル化の意義
現在、世界20カ国以上でデジタルテレビ放送が開始されています。さらに今後、順次デジタルテレビ放送が開始される予定になっており、放送のデジタル化は、世界的な潮流になっています。放送をデジタル化することで、どうなるかといえば、高画質・高音質の放送が可能になることはもちろんですが、その他に、データ放送でさまざまな情報がリアルタイムで入手可能になってきます。また字幕放送が標準装備されることで、高齢者、障害者に優しいサービスの充実が期待できます。それから携帯端末向けサービス、いわゆるワンセグといわれていますけど、屋外でも移動中でもテレビの視聴が可能になります。
●国民の理解とこれからの課題
アナログ放送終了時期の認知度は約64.7%、それからアナログ放送が終了すること自体の認知度は約92.2%です。デジタル受信機の普及が約3500万台、世帯普及率は43.7%になっています。送信エリアは、世帯カバー率が約93%。近畿管内でいえば、約750万世帯、95%がカバーされています。
受信側の課題の対策として、まず来年度までに5000円以下の簡易なチューナーを開発し、流通の環境整備を進めます。また、2009年度から生活保護世帯にチューナーやアンテナを無償現物給付することになっていますが、具体的な方法は、今後検討することになっています。
●受信者支援センターを設置
今後、地域特有の問い合わせですとか、個別具体的な受信方法に関する問い合わせなどが増加するものと見込まれます。こうした状況に適切に対応するためには、地域の実情に応じたよりきめ細かい対応が必要になってくるということで、今年の秋に全国に10箇所程度、受信者支援センターが設置される予定です。さらに来年度、各都道府県に少なくとも1箇所は設置されることになっています。
●集合住宅の共聴施設の現状
地上デジタル放送対応の現状ですが、対応済みの共聴施設は、改修不要と改修済みを合わせて約54%。半数近 くが改修が必要になっており、そのうちの約89%が改修計画が未定になっています。
また、比較的建築年数が新しい高層マンションは、改修不要又は、機器の調整程度で済むケースが多くなっています。逆に、VHFしか電送できない施設は、大規模改修になるケースが多いのですが、改修方法によっては少ない費用で行なうことが可能な場合もあります。
●都市受信障害共聴施設の地デジ対応に係わる考え方
基本的な考え方ですが、デジタル放送で受信障害が解消された世帯では、受信障害対策は不要です。それからデジタル放送でも受信障害が継続する場合は、受信障害を発生させる建物の所有者と受信者を当事者とする協議により対応します。つまり、あくまでも当事者相互による自治的処理が原則です。従って、協議が整った場合は、その協議の内容が優先されます。
費用負担の考え方ですが、個別受信との公平性といったものを考慮すると、当事者がそれぞれ応分に負担することが妥当です。具体的には、受信者はデジタル放送の受信に通常必要とされる経費、それから所有者は受信者負担分を超える経費をそれぞれ負担するのがいいのではないか、ということです。
また、2011年にいきなりテレビが見られなくなると大きな混乱が生じることになりますので、改修や個別受信への移行といったことに限らず、住民に対する説明をぜひやっていただくようお願いします。
●地上デジタル放送に便乗した悪質商法が頻発
地上デジタル放送の認知度もあがるにつれ、切替工事と称して、工事もしないで金銭を前もって支払わせるケースなど、悪質な商法による被害が発生しています。地上デジタル放送の対応で、総務省や放送事業者が、お金を請求することは一切ありません。被害に遭わないためには、よく分からないまま、請求に応じたり、お金を振り込まないようにすることが大切です。十分注意していただきたいと思います。