管理組合法人

管理組合法人と税金
 管理組合法人と法人格を有しない管理組合とは、法人税や消費税、住民税についての取り扱いはほとんど同じです。ただ、住民税の均等割について、減免申請という手続をとらないといけない点だけ注意を要します。
 また、公益法人などの非営利法人に対する税務の取り扱いは、現在、政府税制調査会で議論されているところですので、改正の取り扱いには注意してください。

1.管理組合法人と法人税
(1)管理組合法人とは
 管理組合法人とは、「建物の区分所有等に関する法律」(以下「区分所有法」といいます。)第47条に規定されている法人をいい、区分所有者全員が共同してマンションの適正な維持管理を行うことを目的として設立されます。法人として登記されますので、管理組合法人名で契約を締結したり、権利を取得したりすることができ、管理組合法人名で不動産の所有権登記をすることができます。
(2)管理組合法人と法人税
 管理組合法人は、区分所有法第47条13項において、法人税法別表二の公益法人とみなされます。したがって、法人税法上の収益事業を行っていなければ、課税されません。
 法人税法上の収益事業とは、次に掲げる33の事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます。
【収益事業】
1.物品販売業 2.不動産販売業 3.金銭貸付業 4.物品貸付業 5.不動産貸付業 6.製造業 7.通信業 8.運送業 9.倉庫業 10.請負業 11.印刷業 12.出版業 13.写真業 14.席貸業 15.旅館業 16.料理店業その他の飲食店業 17.周旋業 18.代理業 19.仲立業 20.問屋 21.鉱業 22.土石採取業 23.浴場業 24.理容業 25.美容業 26.興行業 27.遊技所業 28.遊覧所業 29.医療保健業 30.技芸教授業 31.駐車場業 32.信用保証業 33.無体財産権提供業
  マンションの敷地内に区分所有者用の駐車場を設けて使用料を収受している場合は、区分所有者の所有する敷地内での自己の使用であるため、31.駐車場業には該当しません。ただし区分所有者以外の第三者に有料で貸付けている場合は、駐車場業に該当します。

2.管理組合法人と住民税
 法人住民税には利益に応じて課される所得割と事務所等を有していることに対して課される均等割とがあります。管理組合法人は公益法人とみなされますので、法人税法上の収益事業を行っていなければ、所得割は課税されず均等割のみ課税されることになりますが、都道府県や市町村の条例により、均等割が減免される場合がありますので所轄の都道府県、市町村に問い合わせて下さい。

3.管理組合法人と消費税
(1)消費税の課税対象
 消費税は、①国内において、②事業者が事業として、③対価を得て行う、④資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供を課税対象としていますので、国、地方公共団体、公共・公益法人が行う取引については、法人税法上の収益事業に該当するか否かにかかわらず、①〜④の要件を満たせば、課税されます。
(2)管理組合法人と消費税
 駐車場や専用庭の使用料については、法人税の考え方と同様に区分所有者の所有する敷地内での自己使用であるため、事業者が事業として対価を得て行う取引には該当しません。ただし第三者貸付けの場合は課税対象となります。また、基準期間(その事業年度の前々年度)の課税対象とされる収入金額が、1年間で1,000万円を超えなければ、納税義務はありません。

4.管理組合法人と源泉所得税

 管理組合法人の理事に対して報酬を支払う場合には、給与所得として、その報酬に対して所得税を源泉徴収しなければなりません。

5.税務関係書類の届出
(1)法人税
 収益事業を行っていなければ、税務署に対して届出や申告をする必要はありません。収益事業を開始した場合は、開始した日から、2ヶ月以内に「収益事業開始届出書」、3ヶ月以内に「青色申告の承認申請書」を提出します。
(2)消費税
 納税義務が生じなければ、届出や申告をする必要はありません。納税義務が生じた場合には、「消費税課税事業者届出書」や必要に応じて「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出します。
(3)住民税
 法人設立後15日以内に、都道府県事務所及び市町村長に「法人設立等申告書」を提出します。なお均等割の減免の適用を受ける場合は、減免申請書を均等割申告書の提出期限の2週間前までに提出しなければなりません。 



近畿税理士会
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