セミナー情報

平成13年度「第3回セミナー&相談会」報告

 住まい情報センターで開催した第3回セミナー&相談会は、市内マンションの管理組合役員の皆さんで、文字通り満員の盛況でした。マンション管理に関する実践的な知識が待ち望まれていることを改めて感じさせました。今回のテーマは「円滑な管理組合運営」。管理組合の皆さんにとっては、毎日格闘している問題とあって、講演後の質問も前回のセミナーにも増して活発でした。また、個別相談会では法律6件、管理一般6件、技術3件の計15件の相談があり、弁護士や一級建築士らから具体的なアドバイスが行われました。  昭和30年代に初めてマンションが造られて40年ですが、高度成長時代に造られたマンションには、いろんな問題が生じています。昭和56年に建築基準法が改正されて、耐震基準が大きく変わり、大地震によって危険が及ぶのか、安心して住めるのか、築年数によって大きく変わります。
 マンションは、道路や橋と同じようにストックされた社会資本として、将来にわたって低廉な価格で、修理、維持していくことが大切な課題になっています。わが国には570万戸の住宅ストックがあり、これまで毎年120万戸の住宅を造り続けてきました。最近、建物の欠陥問題が大きな問題になってきました。
 昨年、住宅品質確保法ができ、構造と漏水に関して、無条件に10年間品質を保証することになりました。そして住宅に関して最も多いトラブルが「漏水」です。マンションを管理する上でも、最も大きな事柄だと思います。漏水は築年数に関わりなく非常に多いトラブルです。
 漏水の原因になるのがコンクリートのクラックです。鉄筋コンクリートはクラックを避けることはできません。このほか、汚損、欠損、そして設備の老朽化によるトラブルがあります。そのトラブルは、管理組合の皆さんが解決しなければなりません。問題が生じた時は、専門家に調査、工事計画、設計、それに工事管理などを依頼された方がいいと思います。専門家にもいろいろありますので、トラブルの内容をよく調べ専門分野に詳しく、信頼性が高く、アフターケアがよく、何度も来て頑張ってくれる、いわば町医者のような施工業者を選ぶのがいいと思います。
 漏水などのトラブルが生じた場合には、住まい情報センター、大阪建築士会には無料の相談もありますし、弁護士会にも相談窓口があって、社会的な支援ネットが構成されていますので、よく相談されて問題の解決に勤めていただきたいと思います。  マンションに住まわれる方には、中古マンションを取り巻く環境がいかに厳しいかという現実の認識と、マンション管理は問題を先送りせず主体的に取り組むという意識を共有していただきたいと思います。
 現在マンションは全国に380万戸以上あり、1000万人以上がマンションの所有者です。問題は中古マンションが急増していることです。そして管理いかんによっては、スラム化が生じる可能性が出てきました。とくに阪神大震災によって、建て替えと管理の問題がクローズアップされました。
 マンションの価格の決まり方は、新築がコストの積算によって決まるのに対し、中古は需給関係によって決まります。現在は一方的な買手市場で、資産価値と市場価値の間には大きなギャップが生じています。中古マンションについては、資産価値から利用価値に意識を切り替えるべきだと思います。利用価値とは、住み心地です。
 マンション管理に関心のある人は、1割しかいないといわれています。それを1/3にしてほしいと思います。多くの住民が管理に関心を持つことが、マナー、ルールを守り、住み心地を向上させることにつながります。
 管理の目安としては、長期修繕積立金があります。住宅金融公庫の優良中古マンションの条件をクリアしていることが最低条件です。
 管理状態の評価は、日常生活上のルール、マナーに問題があるだけで評価が下がり、複合的なトラブルが多いとなれば、評価が大きく下がります。管理費や積立金の滞納が10%以上ある場合は、スラム化を容認していると捉えられます。「15年以上大規模修繕をしていない」や、「管理組合があっても機能していない」などは極端に評価が悪くなります。行き届いた管理が結果的に資産価値を守るのです。