恒例となったセミナー&相談会。今回は、管理規約に着目。今福グランドハイツ管理組合・理事長の浅野典成さん、南港ガーデンハイツ管理組合・元理事長の吉永広之さんから、管理規約を中心とした管理組合活動に関する貴重なご報告をいただきました。分譲マンションにおいて共同生活を快適に営むには、管理規約というルールが絶対に必要であること。そして、それを実効力のあるものにするには、居住者一人ひとりの自覚と協力が必要不可欠であることが実感できるご報告の後、湯原弁護士より「標準管理規約作成の経緯とポイント」の講演がありました。
(今回は、講演のみを掲載しましたが、各々のお話の要約は住まい情報センターで閲覧できますので、ご利用ください)
そこで、国が昭和58年に作成したのが旧標準管理規約です。しかしマンション管理も年月が経つと、例えば老朽化や騒音、駐車場、ペットなど新たな問題が生じてきます。こうした問題に対応するために平成9年に改正されたのが、現在の標準管理規約です。
(1)3類型(単棟型、複合用途型、団地型)に共通すること
標準管理規約というのはあくまで手続きを定めたものですので、実際にそれを運用していかなければ、何の効果も持ちません。ただ標準管理規約に従うことによって手続きがスムーズになりますので、権利の実効性とか、運用がしやすいというメリットはかなり大きなものがあります。そこで皆さんがお住まいのマンションの規約はどうなっているかをもう一度見ていただいて、今後どのように改正手続きを踏んでいけばいいのかという検討をぜひ行っていただきたいと思います。
(今回は、講演のみを掲載しましたが、各々のお話の要約は住まい情報センターで閲覧できますので、ご利用ください)
新旧の標準管理規約の違いは?
管理規約は、「管理のための憲法」であり、区分所有者が自主的に定めたマンション生活上守らなければいけない規範です。マンション生活上の権利関係や管理運営の基本については区分所有法で定められていますが、個々のマンションで管理運営を行って良好な共同生活を営むには、その実情に応じたルールを定めておく必要があります。このルールが管理規約です。したがって、管理規約は本来、自分たちで決めなければなりません。しかし現実には非常に専門的な知識を要するため、結局は分譲会社など第三者が作成することになります。そうすると、いろいろと問題が生じてきます。そこで、国が昭和58年に作成したのが旧標準管理規約です。しかしマンション管理も年月が経つと、例えば老朽化や騒音、駐車場、ペットなど新たな問題が生じてきます。こうした問題に対応するために平成9年に改正されたのが、現在の標準管理規約です。
特に押さえておきたい条項
平成9年に改正された標準管理規約では、管理規約をマンションのタイプごとに分類して単棟型、複合用途型、団地型の3類型にし、タイプにより管理費などの徴収の方法をはっきり分類しています。その中で、特に押さえておきたい条項を説明させていただきます。(1)3類型(単棟型、複合用途型、団地型)に共通すること
1.「駐車場の使用に係わる規定の整理」(単棟型15条)
「専用使用権」から「駐車場使用契約により使用させることができる」という文言に変わりました。これにより専用使用権を持っていた居住者が転居し、そのあとに新たに居住者が入った時には、公平に駐車場の割当を決めることになるわけです。 2.「専用部分のリフォーム工事に係る手続きの規定の整備」(単棟型17条)
リフォーム工事をするときに、理事長さんに承認を得なければ行ってはいけないという規定(17条)を設けていますが、仮にこの手続きがないマンションでは、やったもの勝ちになってしまうので17条の規定はなるべく早めに創設する必要があります。 3.「犬、猫等のペットの飼育に関する事項のコメントの明示」 (単棟型コメント18条関係)
ペットを飼うのであれば、使用細則に委ねるのでなく、ペットを飼っても良いという条項をちゃんと規約に設けようということですが、どのような条項を設ければいいかは書いてありません。ただ参考にするというのであれば、東京都衛生局が作成した「集合住宅における動物飼養モデル規定」があります。 4.「専有部分である設備の共同管理の規定の整備」(単棟型21条)
専有部分にある設備のうち、共用部分と一体となった部分(たとえば配管の枝管)の管理を、共用部分の管理と一体として行う必要がある場合は、規定を設けて管理組合、つまりみんなで一斉にやりましょうということにしたものです。 5.「長期修繕計画の作成等に関する業務を管理組合の業務 とする規定の位置づけ」(単棟型31条)
今年の4月からペイオフが解禁されます。もし預金をしている銀行が破綻した時は1,000万円しか保証されないとなると、長期修繕計画の作成時に十分に検討しなければいけない課題として残るかと思います。事例報告にもあったように、修繕委員会を設けるなどの対応方法がよいかと思います。 6.「総会の議決権の取り扱い」(単棟型44条)
旧標準管理規約では「1戸につき、各1票の議決権を持つ」となっていたのを、平成9年の改正では専有部分面積によって、つまり住んでいる面積の割合によって議決権も変えなさいと書いてあります。それの方が公平だからというわけです。しかし実際問題として1人ひとりの面積が変わらないのであれば、1軒、1票としていても特に問題はないと思います。
(2)団地型「専用使用権」から「駐車場使用契約により使用させることができる」という文言に変わりました。これにより専用使用権を持っていた居住者が転居し、そのあとに新たに居住者が入った時には、公平に駐車場の割当を決めることになるわけです。 2.「専用部分のリフォーム工事に係る手続きの規定の整備」(単棟型17条)
リフォーム工事をするときに、理事長さんに承認を得なければ行ってはいけないという規定(17条)を設けていますが、仮にこの手続きがないマンションでは、やったもの勝ちになってしまうので17条の規定はなるべく早めに創設する必要があります。 3.「犬、猫等のペットの飼育に関する事項のコメントの明示」 (単棟型コメント18条関係)
ペットを飼うのであれば、使用細則に委ねるのでなく、ペットを飼っても良いという条項をちゃんと規約に設けようということですが、どのような条項を設ければいいかは書いてありません。ただ参考にするというのであれば、東京都衛生局が作成した「集合住宅における動物飼養モデル規定」があります。 4.「専有部分である設備の共同管理の規定の整備」(単棟型21条)
専有部分にある設備のうち、共用部分と一体となった部分(たとえば配管の枝管)の管理を、共用部分の管理と一体として行う必要がある場合は、規定を設けて管理組合、つまりみんなで一斉にやりましょうということにしたものです。 5.「長期修繕計画の作成等に関する業務を管理組合の業務 とする規定の位置づけ」(単棟型31条)
今年の4月からペイオフが解禁されます。もし預金をしている銀行が破綻した時は1,000万円しか保証されないとなると、長期修繕計画の作成時に十分に検討しなければいけない課題として残るかと思います。事例報告にもあったように、修繕委員会を設けるなどの対応方法がよいかと思います。 6.「総会の議決権の取り扱い」(単棟型44条)
旧標準管理規約では「1戸につき、各1票の議決権を持つ」となっていたのを、平成9年の改正では専有部分面積によって、つまり住んでいる面積の割合によって議決権も変えなさいと書いてあります。それの方が公平だからというわけです。しかし実際問題として1人ひとりの面積が変わらないのであれば、1軒、1票としていても特に問題はないと思います。
団地型というのは1つの敷地に複数のマンションが建っている形態で、各区分所有者の費用負担は、管理費と団地特別修繕費と各棟特別修繕費に分けられます。
団地総会の議決権、議決事項等の取扱いについては、団地総会と棟総会とがあり、別々に実施されます。たとえばA棟の問題はあくまでA棟の議決で決めるようにと書いてあります。
(3)複合用途型団地総会の議決権、議決事項等の取扱いについては、団地総会と棟総会とがあり、別々に実施されます。たとえばA棟の問題はあくまでA棟の議決で決めるようにと書いてあります。
1階に店舗等が入っているいわゆる“下駄履きマンション”などのことを言いますが、各区分所有者の費用負担等の取扱いについては、管理費が全体管理費・住宅一部管理費・店舗一部管理費に分かれています。修繕積立金も同様です。
条項で不明ならコメントを見る
今後、平成9年の標準管理規約に対応させる場合の注意点としては、必ず2条の定義にしたがって用語の使用を間違えないで書くようにしてください。用語が違っていると、結局有効に機能しなくなるという恐れもあります。標準管理規約は、国がお墨付きを与えてくれているので、これに準拠することで法律違反にもなりません。標準管理規約には必ずコメントが付いており、条項だけでは意味が分からないという場合は、コメントを見ればたいていのことは分かるようになっています。標準管理規約というのはあくまで手続きを定めたものですので、実際にそれを運用していかなければ、何の効果も持ちません。ただ標準管理規約に従うことによって手続きがスムーズになりますので、権利の実効性とか、運用がしやすいというメリットはかなり大きなものがあります。そこで皆さんがお住まいのマンションの規約はどうなっているかをもう一度見ていただいて、今後どのように改正手続きを踏んでいけばいいのかという検討をぜひ行っていただきたいと思います。