セミナー情報

平成17年度「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」 報告


新しく管理組合の理事等役員になられた方などを対象に、適正な維持管理を進めていくために必要となる基礎的な知識を専門家がわかりやすく説明。計3日間にわたり合計9講座を開催し、最終日には、会場の皆様にも参加していただくクイズ形式の講座を開催しました。また別途、個人相談会も実施しました。

10月30日
多くの管理組合さんが悩んでおられる管理費等滞納への対策や、マンション管理の特徴とコミュニティ形成の重要性などをテーマに開催しました。 管理費等滞納への対策 〜トラブルの回避と解決〜

●滞納に対する予防策
 まず第一に、徴収方法です。滞納でよくあるのが、失念していることです。管理規約などを読めば修繕積立金とかが発生することは分かるのに、例えば「決議されて来年の4月から発生します」という時に、気づかないために、その分だけ払われない。そういう単純ミスによる、支払い忘れを防ぐためには、自動振替という方法を規約に明記しておかれるのが良いと思います。
 次に、遅れた分の遅延損害金です。通常裁判の中で「お金を払いなさい」という判決がでたときには、規約上の定めがなかった場合は、法律で年5%と定まっています。この利率を高めに決めておく。延滞利息は高い、早く払ってしまった方が得だという気持ちを滞納者に持たせることによって回収をよくする効果があります。
 それから、滞納があった場合をシミュレーションして、マニュアルを先につくっておくこと。そしてそれを各戸の入居者、区分所有者に知らせておきましょう。滞納するとどういった不利益処分を受けるかということを周知させることにより、抑止的な効果を期待できます。
●トラブルが発生した場合の解決策
  まず大事なのは、滞納理由を把握することです。理由を確認に行った時に、支払い忘れているなという場合は、その場で「一日も早く、できれば今週中に払ってください」という口頭での請求をしておきましょう。それでも払わないという場合は、文書による督促になります。通常は、[1]普通郵便、[2]配達証明(又は配達記録)付郵便、[3]配達証明付きの内容証明郵便、といった段階を踏みます。
 こうした措置をとった結果、分割弁済などの合意を取り付けた場合、「合意書」「念書」という形で文書化しておく必要があります。
 逆に、それでも駄目な場合は、弁護士に依頼したり訴訟手続といった段階に進みます。払うべきものを払わずにいる人に対しては、毅然とした態度をとることが重要です。訴訟手続等をとることは、他の滞納者に対しても「ここの組合は厳しい。うちも滞納しているけど、来月まとめて払ってしまおう」といった心理的効果をもたらす意味があります。

マンション管理とコミュニティ
 マンションは、100人いれば100様。いろいろな考え方の人がいます。住戸の間取りも1LDKから4LDKなどあり、収入階層も違います。もちろん、考え方、価値観、教育歴、ライフスタイルも違う人たちが入居します。一戸建てとマンションの違いは、マンションは、共同生活、共同利用、共同所有、共同管理するということです。このことが理解されないままに分譲マンションを購入されて入居するということから、マンションのトラブルが始まるわけです。
 マンションの問題は、メンテナンス、マネージメント、コミュニティなど様々ありますが、いま新たにエンバイアラメントの問題も出てきております。我国の生活上の3大トラブルは、音の問題、ペットの問題、それから駐車場の問題です。これは世界中どこでも起きている問題で、日本だけの問題ではありません。一戸建て以上に、居住者同士が仲良くしないと、マンションを上手く管理することができません。このことをよく理解していただきたいと思います。
 そしてマンションのコミュニティの形成がよいところほどトラブルの数は少ないのです。マンションのコミュニティライフは、まず顔を知ることから始まります。例えば、ガードマンが巡回し、監視テレビなどの防犯設備をつけます。それだけではセキュリティの確保はできません。つまり居住者の顔を知ることです。自分のマンションの居住者か、それ以外の人かを識別できることが重要なのです。
 わがマンションも小さいネットワークがあります。ニューイヤーコンサートや、高齢者のお食事会、子育てサークルなども開催しています。例えば高齢者の方で天井の電灯の電球の取り替えができない。そこでお助けバンクがマンションの中にあれば多世代の交流ができるのです。マンションを共同で管理することによって、よいコミュニティを作れます。よいコミュニティがあれば、快適なマンションライフが送れます。よい管理ができるということにつながるのです。
ミニ講座1 管理会社との委託契約更新の方法
契約の更新時に、重要事項説明が必要となりました
講師 田坂 昭博(たさかあきひろ)
(社)高層住宅管理業協会関西支部事務局長


 国土交通省が発表した、マンション標準管理委託契約書の第21条関係には「契約の更新時に重要事項説明が必要となったことを踏まえ、更新の申し入れ時期を3ヵ月前までと明記すると共に、自動更新条項を削除」となっています。この申し入れは、書面でも口頭でもかまいません。そしてなぜ3ヵ月前なのかというと、主に管理組合さんが契約更新を検討する日数を考慮して約3ヶ月にしています。これを例えば2ヵ月にしてもかまいません。第21条の二項には「暫定契約」があります。これは申し入れをしたのにもかかわらず、管理組合と管理会社の話し合いがうまくまとまらない。でも契約の期限が近づいてくる場合に、同じ条件でとりあえず数ヶ月間契約を延長しましょうというものです。もう一つ、よく問題になるのは自動更新です。自動更新の条文があるから法律違反だとはいえません。自動更新は、双方意義がない、何も申し出がなければ勝手に更新しますよ、という事です。ところが適正化法であらかじめ重要事項を説明しなければ契約の更新ができません。だからこの件で相談を受けた場合は、管理会社とじっくり話し合ってください、と申し上げております。  ※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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