セミナー情報

マンションの円滑な維持管理・再生をめざして


葛籠:私のマンションでは、これまでの修繕積立金では工事の資金が足りないという建物調査診断の結果で1住戸平均50万円の負担が必要になり、その回収方法がわからなくて、専門団体に相談に行きました。その結果、皆さんに情報公開していくのが一番ということで各階で懇談会をして、徴収する方向で意見がまとまり解決ができました。

海野:建替え事業で、実は大変苦労をされたとお聞きしている池上さん、実際はいかがだったんでしょうか。

池上:合意形成がポイントですね。まず賛成、反対の決議を急がず、みなさんにいつでも拒否権は使えますからと強調しながら、話を聞いて下さいとアプローチをしました。建替え事業とはこんな手順で進められ、こんな新しいマンションが入手できるという具体的な資料やイメージを十分理解してもらい、さらには皆さんの住まいへの希望を聞いてデベロッパーと話し合いながら、全員参加で設計プランを作り上げていきました。
 その設計プランが完成した後で皆さんの自覚と責任感で賛否の判断をしてもらいました。そのためデベロッパーのA社には、仮決定という形で全面的に協力してもらいました。またローンや税金や相続問題など打ち明けられないプライベートな理由で反対されている場合もあるため、第三者のデベロッパーに個人の相談会を行ってもらいました。そのうちに十分理解していない人も消極的な人も納得されてきて、第3回アンケートの時には反対者は1人だけになりました。それも、最終には拒否権を使わないということで、総論的にはみなさんが賛成ということになりました。その後さらにみなさんの意見を取り入れて、デベロッパーと賛成の方は合意書を交わすことになりました。新しいマンションを購入される方は一軒一軒その条件が違うため、総会決議ではなく個別の合意で全員が賛成していただきうまく成立しました。
 また、コンサルタントを初めにつけて、プロと素人の折衝で何とか後押ししてもらって対等にやってこれたのも成功の要因だと感じています。 
八杉:困ったことというのではありませんが、管理と建替えとの違いのポイントをお話ししておきましょう。管理も建替えも合意形成が非常に大切で、管理の場合は長期修繕計画を立てて建物の資産価値を維持する。その中で管理規約に基づき管理会社との二人三脚で、生活共同体をうまく形成していくということにつきると思います。ところが建て替え替えというのは、資産価値の更新、現地に再投資するということです。再投資の自己負担額は、1000万円を超えます。これは余剰容積がない場合を前提にしています。建物がその効用を維持し、回復するのに過分の費用を要するに至った時、建替えが視野に入ってきます。維持管理でいくのか建替えでいくのかということは、費用の過分性の意識を皆でどう持つかということにつきると思います。私はこれが一番大事だと思います。管理組合と信頼のできるコンサルとの二人三脚で、費用はこれだけかかるという具体的な概算をきっちり示さないといけません。何回もそういう会をもって詰めていくことが建替えに至るのには大切なプロセスだと思います。この現地をこよなく愛するという意識を持って取り組むという強い絆が、維持管理からもっと深い繋がりになり、建替えへ進んでいくと思います。

岡本:長期修繕して立派にしても耐震補強はどうにもなりません。私達の経験からしても30年代のマンションは、大きな地震には耐えられません。そうなると建替えを考えざるを得なくなりますが、人間はいろいろな考えを持っています。そういう時に一つの目的を共有しながら進める方法は、やはりPRだろうと思います。
長期修繕でも4、5年前から進めないと出来ないですね。
その時にホームページ、もしくはメール、掲示板とさまざまな方法で、「こういう状態であるとみなさん方の生活・建物にこんな不具合が生じるよ」ということを専門家や行政の力を得て、皆さんに理解してもらうという努力が欠かせないと思います。
 それと、建替えや改修をうまく進めるには、理事会組織とは別に委員会などを設立し、いろいろな業務と責任を分散することです。理事の役割は、むしろ住環境を良くしていきたいと皆さんの気持ちを高めていくことだと思います。

海野:ところで、現在大阪市で行っている支援策はどのようなものがあるかご紹介いただきたいと思います。

生駒:まず、この住まい情報センターで無料相談を行っており、随時行っている一般相談と、弁護士・建築士等による専門家相談があります。次に本年6月からスタートした分譲マンションのアドバイザー派遣制度ですが、これは建替えや計画的な修繕に対して支援をしようということで、勉強会などの講師として無料で派遣する制度です。
 同じく本年6月から建替検討費の助成制度、これは基礎調査などに対して助成する制度です。また情報収集や勉強していただく場が非常に重要ですので、このマンション管理支援機構と連携して、いろんな広報誌の発行やセミナーの開催を協力してやっていきたいと思っております。
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