セミナー情報

「マンションらいふあっぷ連続セミナー」報告

第2回 7月16日
「トラブルの事例と対処法」

●トラブル発生の要因とは
 今回は設備関係ということで、漏水をメインにトラブル事例をご紹介します。
 まずは、機器類が古くなったことが原因による漏水の例を挙げますと、ガス給湯器の給水管、袋ナット部の緩み、食器洗浄機の故障、ユニットバス周りのシール切れや壁面シートの剥離、洗面台の給湯側止水バルブの袋ナットの緩み、洗面排水管U字トラップ袋ナットの緩み、洗面台シャワーヘッドとホース接続部分の取付不良、流し下の給湯配管の接続不良、台所排水管の接続不良、ウォシュレットへ接続している給水管の袋ナットの緩み、エアコンのドレンホースの接続不良などがあります。その他に高置水槽や受水槽の劣化による漏水もあります。
 さらに、排水管、給水管、こういった管類のトラブルも非常に数多く起こっています。配管が古くなると、どうしても材料が劣化し、錆こぶができたり、ピンホールができて、それが原因で漏水を起こします。これらのことは、もちろんガス管にも同じことが言えます。
 また、漏水には「取扱不備」のケースもあります。例えば、単純ミスで漏水を起こす。洗濯機なんかですと、ホースの接続不備のまま水を流してしまう。給水栓を閉栓するのを忘れている。こういった単純ミスが原因で漏水を起こすというようなことがあります。

●さまざまなトラブル対応策
 専有部機器類の漏水の対応策としては、まず機器類についている止水栓をとめること。それでも止まらないときは水道メーターの止水バルブを止めること。こうすれば専用部へ水は行きません。この対応策をしっかり覚えておくことは、とても大切です。
 次に劣化配管の対応策としては、更生工事。これは配管内部をコーティングするなどして延命させる方法です。もう一つは、更新工事。これは取り替えることです。最近は、更生工事も更新工事も、費用的にはそう変わらなくなりました。それに最近は技術の進歩で優れた配管が出ておりますので、更新することを私はおすすめします。 
 ここで、漏水の見分け方をお教えします。本当に微量な漏水の場合はなかなか分かりません。水道メーターの下側になるパイロット針をみれば、使用中は普通動いているわけですね。そこで、使用している水栓(蛇口)を一度全部閉めてしまいます。それでもパイロット針または1指針が動いていれば、どこか漏れているということです。一度帰ってからメーターをご覧になってください。

●メンテナンスの管理責任者は、管理組合です
 
次に、維持管理は誰が行うのか、ということですけど、これは法律行為なんですね。建築基準法の第8条1項には、「建物の所有者、管理又は占有者は、その建物の敷地、構造及び建物設備を常時適法な状態に維持するように務めなければならない」となっています。そして、メンテナンスは、共有部は管理組合さんが全部責任をもってやるべきだと。ただし管理組合さんは、専門の方ばかりがおられるわけではありません。そこでサポートために、こういったマンション管理士、管理会社、建築士などがおられるわけですから、そういった方々の協力を得て、しっかり維持管理していて頂きたい、というのが結論です。

「事例から学ぶガス設備のリニューアル」

 ガス配管も、経過年数によって老朽化が考えられます。とくに埋設ガス配管は、土中の水分等の影響により腐食が進行し、ガスの漏洩につながる恐れも考えられます。大阪ガス管内では、幸いなかったのですが、九州や関東で、ガス管老朽化による死亡事故が発生しており、経済産業省から、全国のガス事業者に対して、地中埋設されているガス管の取り替えを促進しなさいという通達がございました。
 大阪ガスでは、平成11年から皆様にPRをしながら、おおむね20年以上経過した、主に埋設ガス配管の取り替えをおすすめしております。取り替えする材料には、腐食や地震に強いポリエチレン管を使用いたします。
 ちなみに、敷地外のガス管は大阪ガスの資産ですが、敷地内のガス管はすべてお客様の資産です。ですから改修費用もお客様のご負担になります。今後とも安心して都市ガスをお使い頂くためにも、ご自身で安全管理をするという考え方が大切です。実際、費用がいる話ですので、改修の検討をしていただき、改修時期などの相談をさせていただきながら進められればと思っております。よろしくお願いします。

「事例から学ぶ電気設備のリニューアル」

 古い集合住宅の課題として、近年の家庭用電気機器の急速な普及に伴って、住戸内の回路数が不足していること。分電盤さらには建屋内電気幹線(受電設備から各戸までの配線)の容量不足が顕在化して、各住戸で電気機器の使用制限のケースが発生してきています。それから旧式の分電盤にはメインのブレーカがない場合があり、電気を使い過ぎると、各住戸の影響が他の住戸まで影響が及ぶことがあります。さらに無理して電気を使うと、細い電気配線に過大な電流が流れることがあり、それと配線等の経年も影響して、火災発生の危険性も高まってきています。つまり、経年の集合住宅においては、現状では、現代の生活水準に合わなくて、そろそろリニューアルしないといけない時期にきているということです。
 これは関西電力の調べですが、昭和40年頃は、30Aくらいの分電盤で4回路というのが主流でしたが、現在では、最大で100A、24回路。これくらいの分電盤の容量が主流になってきています。通常のマンションでは60A、12回路くらいが中心です。
  リニューアルには、当然費用がかかります。関西電力では、貸付配線制度等を用意して皆様の電気設備リニューアルをお手伝いしておりますので、気軽にご相談ください。


←前へ 次へ→