●マンション保険における水漏れ事故対応
水漏れ事故はマンションの中のどこから発生するかわかりません。実際に夜中に水漏れが起こったときに、皆さん、慌てられるわけですが、実際、マンション保険にお入り頂いている中で、水漏れが起こった時に、使える場合、使えない場合、いろんなケースがあります。これを具体的にご説明させて頂きたいと思います。
マンション保険には、次のような特約があります。「施設賠償責任保険」は、加害者側が管理組合様の場合に使う保険です。「個人賠償責任保険」は、住民のお住まいのところからの水漏れ事故の時等に使います。「水濡れ原因調査費用保険」は、水漏れ事故の原因を突き止めるために壁や床をはがすときの費用です。
●水漏れ事故例
例えば、共用部分の屋上タンクないしは給水管や給湯管から水が漏れました。その水は、Aさんの住宅に被害を与えてしまいました。加害者は屋上タンクを管理している管理組合様です。Aさんは、管理組合様に対して、「うちの被害を全部弁償してくれ」と訴えることができます。管理組合様がマンション保険にご加入されておりますと、施設賠償責任保険の部分からAさんの被害についてお支払いできます。
今度は、Aさんの住宅から水が漏れたと仮定します。階下にお住まいのCさんは、住宅を汚されてしまったわけですから、被害者です。AさんはCさんに対して修理代を全部弁償しなければなりません。ところがマンション保険がありますと、個人賠償責任保険で、Cさんの住宅の修理代を支払うことができます。次に、Aさんから漏れた水が共用部分に行ってしまった場合。管理組合様が被害者です。加害者は住民のAさんです。管理組合様は、住民に対して、弁償してくれ、と言わなければいけませんが、マンション保険がありますと、先ほどの個人賠償責任保険を使いまして、ここの部分は直します。
今までは単純な水漏れということでご説明さし上げましたが、例えば、縦管の部分、横引き管の部分、どこから水が漏れたか分からないけど、被害者がいらっしゃるというようなケース、けっこうあるかと思います。原因をはっきりさせるために、あちこちめくり、いろいろ調査します。お風呂場の奥とかでしたら、そこを壊さないといけないわけです。そうしますと、下の階の修理代以上に、工事費用、調査費用が高くつきます。ところが、先ほどの水濡れ原因調査費用保険という特約が付いていますと、調査修理代金についても保険金から出ます。
●損害保険を付けることが、標準的な対応
今まで区分所有法や標準管理規約などマンションに関する法律中で、管理組合様が共用部分にマンション保険をつけなければならないという記載はありませんでした。ところが、国土交通省が「マンション管理標準指針」を策定致しました。これは平成17年12月15日に公表されています。「管理組合が、マンションの構造、築年数、区分所有者の要望等を勘案し、適切な火災保険その他の損害保険を付保している」ことを標準的な対応と策定、ということで、管理組合様に何かあったときに、共用部分に損害保険を付けているのが標準的な対応と、初めて言及されております。
マンション建物の適正な維持に向け、万一の場合の原状回復に損害保険の果たす役割は大きいと思われます。
●工事費がかさみ、資金が足りなくなったら
平成19年4月に住宅金融公庫は、独立行政法人住宅金融支援機構に引き継がれますが、今後ともマンション維持管理の支援を行ってまいります。
さて、外壁工事や屋上の防水工事などは定期的に行われますが、そこに設備関係の工事が加わる20年後、30年後になると、どうしても工事費がかさみます。それまでは修繕積立金でまかなえた工事費が足りなくなり、一時的に借り入れに頼らざるを得ない状況が多々あろうかと思います。そんなときに活用をご検討いただきたいのが、公庫の「マンション共有部分リフォームローン」でございます。
●完全固定金利で、個人保証や担保も不要です
マンション共用部分リフォームローンの特長として、次の4つが挙げられます。特長1は、最長10年間のローンで、完全固定金利です。固定金利と変動金利。住宅ローンは大きく2つに分かれます。民間金融機関が比較的多くだされているのは変動金利ですが、今のような金利の上昇傾向の場合は、固定金利にシフトするお客様が非常に増えています。特長2は、融資額は工事費の80%までで、1戸あたり150万円が限度額となります。平均すると、1戸あたり約40万というのがご利用実態です。
特長3は、管理組合の法人格の有無は問いませんので、法人格がなくてもご利用できます。特長4として、融資には必ず保証人や担保がついて回りますが、(財)マンション管理センターが保証人になります。だから理事長様がご自分の専有部分を担保に入れたり、保証人になる必要はございません。
他にも、ご利用いただける管理組合の要件等がございますが、ご利用をお考えの方は、気軽に私ども公庫へご相談ください。
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