マンションの管理組合運営に関連して、区分所有法改正のポイントや管理会社の役割などをテーマとした講座を開催しました。席者からの「異議なし」の声により提案が承認される。
「建物の区分所有等に関する法律」、いわゆる「区分所有法」は、一般にはマンション法とも言われており、通常の所有権と比べて、お互いの協力がなければ建物を維持管理していけないという意味で制約がかなりある区分所有という考え方の基本となる法律です。
マンションでは個人が所有する専有部分と、廊下や階段等の法定共用部分、居住者の利便のために共用とした規約共用部分があります。それら共有部分の維持管理や団体生活の調整をするために管理組合があり、管理者を置くのが原則です。管理運営は、集会の決議と管理規約に従います。その決議については、普通決議と特別決議の2種類があり、一般的には普通決議、つまり過半数の多数決で決めます。特別決議は、規約変更などの重要なテーマのときに行うもので、各区分所有者の頭数と議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。
次に、改正法の主なポイントを要約して紹介します。
●管理組合の法人化について
以前は「区分所有者の数が30人以上であるものは、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人」とありましたが、改正により“30人以上”という要件が外れました。
●建替え決議
建替えは5分の4以上の賛成で決議できます。旧来の様な過分の費用というような客観的な要件はなくなりました。以前は同じ建物の敷地に「主たる使用目的を同一とする」建物を建てなければいけないとありましたが、今回の改正により、隣接する敷地を買い足して建設する場合や、敷地の一部を売却して建設費用に充てることにより建替え事業を行うことも可能となりました。また「主たる使用目的を同一とする」という条件も外れましたので、例えば居住専用だったマンションを店舗付きにすることも可能になりました。
●その他の改正法のポイント
例えば共用部分が誰かに壊されたときに、管理組合で損害賠償の裁判ができなかったのが、管理者である理事長さん等に委任することにより、その請求が出来るようになりました。また規約の適正化により、区分所有者間の利害の衡平を図ることが定められたので、分譲業者に著しく有利になるような規約は、場合によっては無効となることもあります。
マンション管理において管理会社は、区分所有者の信頼のもと、管理組合の良きパートナーとして業務を推進すると共に、マンションの使用価値・資産価値を維持保全し、生活の安定と向上のため尽力しています。
■管理委託契約
管理会社と契約する際に、次の注意点があげられます。
1.管理委託費は安さだけでなく委託業務内容と委託料の関係をよく確認する。
2.契約期間は1年とし、毎年更新する。
3.年に1回や2回発生する費用については、一つの管理会社と包括契約するのではなく、一つ一つ吟味して決定する。
■管理組合会計
必ず組合理事長の名義で口座を作成し、通帳と印鑑は分離して保管します(場所は金庫が望ましい)。滞納管理費等の督促では、管理会社に対し、3か月滞納で文書による督促、それ以上になると訪問による督促を行い、長期滞納者から返済計画をとるように依頼すればいいと思います(委託契約内容の確認が必要です)。
■長期修繕計画
原則としては管理組合自らが作成するものですが、管理会社には専門スタッフがいますので、資金計画を含めて作成依頼すればいいと思います。
■苦情対応
生活意識に起因する問題が一番多い苦情ですが、管理会社で処理できる問題は極力管理会社で処理しますが、そうでない場合は、管理組合に申し出ます。
円滑なマンション管理を行うためには、管理会社とよく相談していただいて、日常の維持管理をすすめていくことが重要であると思います。
ミニ講座1 管理組合運営の知恵
委託管理会社に競争原理の導入でよい結果が
当マンションは、大阪の北東、豊里大橋の近くに立地しており、住戸数は7棟全体で980戸、商業施設は15店舗のうち、現在は歯医者を含め11店舗が営業しています。424戸分の駐車場は、専用使用権付きの扱いで、マンション竣工時に販売されました。自転車は台数に制限を設けず置け、使用シール代を徴収しています。
管理組合の活動状況としては、理事22名、監事2名で、理事会は月1回開催されています。管理委託業務は、過去30年間、A社に委託してきましたが、3年前に、これまでの管理状況、委託費を見直し、競争原理の導入によって、非常に良い結果が出ています。
大規模修繕では、A社から過去30年間の修繕項目が出され修繕項目と周期が一覧表で全部分かるようになっています。
居住者の広報は「広報誌よどがわ」をマンション竣工当時から発行し続けています。毎月1回第4土曜日に、ボランティア喫茶を開き、クッキー付きでコーヒー等を提供し、居住者のコミュニケーションの場としています。
このマンションは、ここで育った子供達にとって故郷となるので、誇りと情熱を持って管理組合を運営していきたいと思っています。
※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
講師 村本 祥孝(むらもと よしたか)
淀川パークハウス管理組合 理事長
淀川パークハウス管理組合 理事長
当マンションは、大阪の北東、豊里大橋の近くに立地しており、住戸数は7棟全体で980戸、商業施設は15店舗のうち、現在は歯医者を含め11店舗が営業しています。424戸分の駐車場は、専用使用権付きの扱いで、マンション竣工時に販売されました。自転車は台数に制限を設けず置け、使用シール代を徴収しています。
管理組合の活動状況としては、理事22名、監事2名で、理事会は月1回開催されています。管理委託業務は、過去30年間、A社に委託してきましたが、3年前に、これまでの管理状況、委託費を見直し、競争原理の導入によって、非常に良い結果が出ています。
大規模修繕では、A社から過去30年間の修繕項目が出され修繕項目と周期が一覧表で全部分かるようになっています。
居住者の広報は「広報誌よどがわ」をマンション竣工当時から発行し続けています。毎月1回第4土曜日に、ボランティア喫茶を開き、クッキー付きでコーヒー等を提供し、居住者のコミュニケーションの場としています。
このマンションは、ここで育った子供達にとって故郷となるので、誇りと情熱を持って管理組合を運営していきたいと思っています。
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