平成13年度「第5回セミナー&相談会」報告
(今回は、講演のみを掲載しましたが、各々のお話の要約は住まい情報センターで閲覧できますので、ご利用ください)

新旧の標準管理規約の違いは?
管理規約は、「管理のための憲法」であり、区分所有者が自主的に定めたマンション生活上守らなければいけない規範です。マンション生活上の権利関係や管理運営の基本については区分所有法で定められていますが、個々のマンションで管理運営を行って良好な共同生活を営むには、その実情に応じたルールを定めておく必要があります。このルールが管理規約です。したがって、管理規約は本来、自分たちで決めなければなりません。しかし現実には非常に専門的な知識を要するため、結局は分譲会社など第三者が作成することになります。そうすると、いろいろと問題が生じてきます。そこで、国が昭和58年に作成したのが旧標準管理規約です。しかしマンション管理も年月が経つと、例えば老朽化や騒音、駐車場、ペットなど新たな問題が生じてきます。こうした問題に対応するために平成9年に改正されたのが、現在の標準管理規約です。
特に押さえておきたい条項
平成9年に改正された標準管理規約では、管理規約をマンションのタイプごとに分類して単棟型、複合用途型、団地型の3類型にし、タイプにより管理費などの徴収の方法をはっきり分類しています。その中で、特に押さえておきたい条項を説明させていただきます。(1)3類型(単棟型、複合用途型、団地型)に共通すること
「専用使用権」から「駐車場使用契約により使用させることができる」という文言に変わりました。これにより専用使用権を持っていた居住者が転居し、そのあとに新たに居住者が入った時には、公平に駐車場の割当を決めることになるわけです。 2.「専用部分のリフォーム工事に係る手続きの規定の整備」(単棟型17条)
リフォーム工事をするときに、理事長さんに承認を得なければ行ってはいけないという規定(17条)を設けていますが、仮にこの手続きがないマンションでは、やったもの勝ちになってしまうので17条の規定はなるべく早めに創設する必要があります。 3.「犬、猫等のペットの飼育に関する事項のコメントの明示」 (単棟型コメント18条関係)
ペットを飼うのであれば、使用細則に委ねるのでなく、ペットを飼っても良いという条項をちゃんと規約に設けようということですが、どのような条項を設ければいいかは書いてありません。ただ参考にするというのであれば、東京都衛生局が作成した「集合住宅における動物飼養モデル規定」があります。 4.「専有部分である設備の共同管理の規定の整備」(単棟型21条)
専有部分にある設備のうち、共用部分と一体となった部分(たとえば配管の枝管)の管理を、共用部分の管理と一体として行う必要がある場合は、規定を設けて管理組合、つまりみんなで一斉にやりましょうということにしたものです。 5.「長期修繕計画の作成等に関する業務を管理組合の業務 とする規定の位置づけ」(単棟型31条)
今年の4月からペイオフが解禁されます。もし預金をしている銀行が破綻した時は1,000万円しか保証されないとなると、長期修繕計画の作成時に十分に検討しなければいけない課題として残るかと思います。事例報告にもあったように、修繕委員会を設けるなどの対応方法がよいかと思います。 6.「総会の議決権の取り扱い」(単棟型44条)
旧標準管理規約では「1戸につき、各1票の議決権を持つ」となっていたのを、平成9年の改正では専有部分面積によって、つまり住んでいる面積の割合によって議決権も変えなさいと書いてあります。それの方が公平だからというわけです。しかし実際問題として1人ひとりの面積が変わらないのであれば、1軒、1票としていても特に問題はないと思います。
団地総会の議決権、議決事項等の取扱いについては、団地総会と棟総会とがあり、別々に実施されます。たとえばA棟の問題はあくまでA棟の議決で決めるようにと書いてあります。
条項で不明ならコメントを見る
今後、平成9年の標準管理規約に対応させる場合の注意点としては、必ず2条の定義にしたがって用語の使用を間違えないで書くようにしてください。用語が違っていると、結局有効に機能しなくなるという恐れもあります。標準管理規約は、国がお墨付きを与えてくれているので、これに準拠することで法律違反にもなりません。標準管理規約には必ずコメントが付いており、条項だけでは意味が分からないという場合は、コメントを見ればたいていのことは分かるようになっています。標準管理規約というのはあくまで手続きを定めたものですので、実際にそれを運用していかなければ、何の効果も持ちません。ただ標準管理規約に従うことによって手続きがスムーズになりますので、権利の実効性とか、運用がしやすいというメリットはかなり大きなものがあります。そこで皆さんがお住まいのマンションの規約はどうなっているかをもう一度見ていただいて、今後どのように改正手続きを踏んでいけばいいのかという検討をぜひ行っていただきたいと思います。
らいふあっぷ5号
平成13年度「第4回セミナー&相談会」報告
まず、区分所有法では、老朽、損傷などをしたマンションを復旧するために、「過分の費用を要する」時は、4/5以上の賛成で建替え決議ができることになっているわけですが、この過分の費用がどのくらいなのかが、法律では書かれていません。現実に過分の費用になっているかどうかをめぐって建替え決議が有効か無効かが争われている裁判がいくつかあります。
次に大部分の区分所有者が建替えに賛成し、一部の反対者がある場合、最終的に売り渡し請求を行って、すべてを賛成者の所有にすることになります。しかし、売り渡し額は時価ということになっているわけですが、折り合いがつかなければ、その金額を裁判所に決めてもらわなければならないということになります。裁判になれば、非常に長い時間と費用がかかります。また裁判例は多くなく、一定の基準や算定方式というものはできていません。
このほか、建築基準法上の問題や賃貸借契約をしていて、賃借人が立ち退きに反対するケース、オーバーローンによって二重三重の抵当権がついている場合の抵当権の処理など、法的に解決しなければならない多くの問題があります。
現在、区分所有法の改正が議論されていますが、まだどのように改正されるかについては定かではありません。一番重要なことは、区分所有者全員で老朽化や建替えといった問題について議論し、先を見据えて調査するなど認識を深めて進めていくということだと思います。
区分所有法はその権利を調整し、その指針として用意されているのが管理規約です。マンションは阪神淡路大震災でそのハードの強さを実証しましたが、その半面、管理規約や、合意形成などのソフト面は弱かったと思います。
マンションを再生するに当たって、管理組合が円滑に運営されていることが大切です。また、組合員に区分所有法を親しんでもらい、区分所有の仕組みをよく理解してもらうことも大事です。ヨーロッパのマンションでは、週に1回は集会を開いて、マンション管理にまつわるさまざまな問題を話し合っています。年1回だけの総会だけでは、あまりにも少な過ぎます。組合員が管理組合の活動に積極的にかかわることが基本です。
韓国では、増築を伴う修繕であるリ・モデリングが注目されています。マンションの増築について区分所有法は、ほとんど予測していません。マンションの効用を増すために増築するという場合は、所有権の根幹にかかわる問題なので、限りなく全員合意に近い形が必要だと思います。規約を整備しておかなければ、増築に賛成しなかった人は費用負担しなくていいのか、あるいは増築しないでもいいのか、こんな問題が起きてしまいます。
建替えがむずかしいから増築を考える といっても、増築も決してやさしいことではありません。とにかく人と人との関わりも、建物に対しても、いたわり合いながらリニューアルをして長持ちさせることが大切です。
らいふあっぷ4号
平成13年度シンポジウム 「大規模修繕と円滑な管理組合運営」
8月26日、大阪市立住まい情報センターで大阪市マンション管理支援機構シンポジウムが「大規模修繕と円滑な管理組合運営」をテーマに開催されました。会場は、管理組合役員を中心に200人を超え、盛況でした。支援機構を代表して大阪市住宅局から「シンポジウムを大規模修繕の参考にしていただけるものと期待しています」と挨拶した後、基調報告・パネルディスカッションを行いました。
平成12年末で、わが国のマンションは386万戸、約1000万人が住んでいます。築後30年を超えるマンションは12万1000戸、5年後には50万戸、10年後には93万2000戸になり、築年数の古いマンションが急増すると予測されています。管理組合の運営状況は、国土交通省の標準管理規約に準拠した規約を持っている管理組合は21%に留まり、役員の任期が1年で、報酬を払っていない組合が7割を超え、管理のノウハウが引き継がれていない実態が明らかになっています。
修繕積立金は、ほとんどの管理組合が「ある」と答え、その積立額も増加しつつありますが、その1戸当たり平均残金額は37万円程度で、まだ不足している状況です。修繕積立金の管理は、まだ預金口座が管理会社の名義になっているものがあり、通帳と印鑑を役員一人が保管している管理組合もあります。
大規模修繕の内容は、屋上防水が築後10年くらい、鉄部塗装は3年後、給排水工事は15年後くらいに実施されています。工事費用は、100戸規模程度で6000万円くらいです。建物診断を実施したのは7割を超えています。
工事資金の調達は、修繕積立金が8割で、修繕積立金だけで修繕費用をまかなえたのは44割。長期修繕計画を作成している管理組合は8割に達する一方、作成していない管理組合が14%ありました。
修繕工事に当たっての障害は、「資金不足」が多く、修繕時期を遅らせる理由になっています。修繕工事の検討開始から工事開始までの期間は平均16.9か月かけており、5割以上の組合がコンサルタントに相談しています。次回の大規模修繕への教訓は「適切な長期修繕計画を立てて、区分所有者に大規模修繕の必要性を知らせておく」が8割を超えていました。
また、今年8月にマンション管理適正化法が施行され、管理会社の登録制度と管理組合の相談に応じるマンション管理士の制度が設けられました。



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大規模修繕と円滑な管理組合運営 パネルディスカッション1


元木:マンションの社会ストックが非常に多くなり、それを大切にしておくことが重要なことです。全国のマンションは約400万戸、国民の12人に1人がマンションに住んでおり、わが国の住宅の非常に大きな存在になっています。しかし、集合住宅に住む習慣が日本にはなかったため、集合住宅のルールになじんでおらず、また老朽化するマンションがどんどん増えるという問題があります。
当面の重要課題は、大規模修繕を適切にやっていくことに尽きると思います。マンションには区分所有に起因するいろんな問題があります。法律的な意味で「マンションとは何か」ということを紹介していただきたいと思います。
松村:マンション関係の法律と現実のギャップは大きいと感じます。マンションには快適、安全、プライバシーの保証といった専用部分の利点のほか、共用であり、共住であり、共同管理でもあります。昭和58年の区分所有法の改正では、マンションの共同管理に注目し、居住者の共同性を強く打ち出し、居住者は管理組合に入り、共同の利益に反して使用してはならないとしています。
今日のテーマである大規模修繕は多くの場合、共有部分の変更を伴いますので、通常なら居住者の3/4の賛成が必要です。修繕積立金を取り崩す時も同様ですが、修繕を行う前にきちんとした合意を作っておかないと紛争になり、修繕が遅れ、使いにくく、価値が下がってしまうことになります。リニューアルし、より良い状況にして長く維持していくことが大切です。
元木:そもそもコンクリートでできているマンションがなぜ大規模修繕が必要なのでしょうか。
西野:建物はできた時から劣化が始まります。コンクリートはアルカリ性で、時間とともに中和の方向に進みます。中和が進んでアルカリ度がプラス・マイナスゼロになってやがて酸性の方向に進み、中の鉄が酸化しサビが生じ、体積が膨張してコンクリートを破壊してしまいます。マンションは建設されて10年くらいで修繕することになりますが、劣化も時間の経過とともに様相が違い、10年、20年、30年という節目ごとに修繕の内容も違ってきます。
外壁の場合、10年目だったら表面クラックを樹脂で補修しますが、20年経つと外壁貫通クラックが生じ、コンクリートの強度が問題になり、強度を保つような補修が必要になります。屋上防水も10年ごとに張り替える必要があり、20年から30年経つと給排水管関係も問題になります。長期修繕計画を立て、それを適切にやっていくことが重要です。マンションのストックが非常に多くなり、これからは建物評価が一般化してきます。きちんとした修繕計画によって管理されたマンションとそうでないところでは評価に大きな差が生じてきます。
元木:大規模修繕は大変な仕事だと思いますが、どの辺が大変なのか話してください。
西野:入居者の修繕に対する認識には“温度差”というものが、どこのマンションにもあります。どれだけ共通した認識が持てるかが全てではないかと思います。場当たり的に対処するのではなく、的確な修繕計画を立てることが大切で、そのために、まず現況調査をすることが必要です。管理組合の皆さんには、事前に入居者がどんな点に、問題を感じているかアンケートをとっていただきたいと思います。また、日常のメンテナンスにかかわる部分と、構造、躯体にかかわる問題に分けて修繕計画を立てていかねばなりません。とくにマンションは工事代金の中で足場代が大きなウエートを占めますので、いくつかの工事項目を束ねてやれば効率よく工事ができます。後は、管理組合の中で合意形成をいかに作り上げるかが重要です。
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元木:大規模修繕に入る前に、管理組合が機能しているのか、修繕積立金があるのか、といった問題があります。実際に大規模修繕をやられた皆さんにその苦労を話していただきたいと思います。
内藤:デベロッパーにも責任があると思いますが、きれいな台所や風呂などのことは言うけれども、管理組合や長期修繕計画のことはチラシにも載っていません。住民の管理意識が薄いというのが最大の問題であり、自覚を持ってもらう必要があります。分譲マンションに入る資格がない人が余りにも多いというのが現状です。アメリカのように入居する時に誓約書を書いてもらって、管理組合の活動をしなければいけないということにならないでしょうか。管理組合の活動を義務づける法的な整備も必要だと思います。また一番難しいのは人間関係の問題だと思います。
浦岡:私どもの場合は、管理組合が管理会社任せでした。建物診断業者も、その系列会社で、工事費用は概算で7000〜8000万円かかるということになったのですが、その内容の説明もないまま、定時総会も抜きで業者選定まで進めてしまおうとしました。そこで修繕委員会を作って、始めからやり直そうということになりましたが、委員会は女の人ばかりでしたから、業界用語が全然わかりませんでした。 欠陥の問題や工法などの勉強をして、実地にテストして工法や工事業者を選び、当初の予算の半額の3500万円で、大規模修繕を終えることができました

元木:大規模修繕する際にどんな設計図書が必要なのか、西野さんから説明していただきます。
西野:設計図書には建築確認申請書と施工図があります。建築確認申請書によって、その敷地にどのような規制がかけられているかがわかります。建ぺい率、容積率、マンションを建てる時近隣とどのような取り決めを行ったかもわかります。また、どのような構造で作られたかも分かります。実際に工事に入った時には施工図が必要です。施工図というのは、建設業者が施工中に収まりを考えて作る図面で、それを竣工時に集大成したのが竣工図です。設備系統などを現況通りに図面に載せています。修繕計画にとっては非常に貴重な資料です。
元木:今、設計図書の大切さが言われましたが、その保管状況はどうでしょうか。
Bコーポ理事長:設計図書は大切に保管し、修繕工事には活用しています。

元木:大規模修繕に入る前に気になるのが修繕積立金です。内藤さんのところは足りなかったようですが、どのように対処されましたか。また、滞納されている方にはどのように払っていただきましたか。
内藤:未収金があったので、まずそれを徴収するところから始めました。何回か話し合い、理解を得て払っていただきました。20数年も修繕していないので3〜4年しかもたないかもしれないということを、住民の皆さんに意識づけしていきました。つまり意識の共有化をして、数年かけて住宅公庫から借り入れを受けられる水準まで修繕積立金の値上げを行い、借り入れを受けて修繕を行いました。
元木:滞納している人が督促に応じない場合は、どうなるのか法律的な解説をお願いします。
松村:理解を求めて払ってもらうのが一番大切です。法的に決定的な方法はありません。基本的には裁判で判決をもらわねばなりませんが、滞納といっても少額ですから、裁判に訴えても費用に見合いません。簡単にしようと思えば支払い催告手続という方法があり、裁判所に書面で申請し、書面審理で「催告」を出してもらいます。強制執行は専有部分、または動産を差し押さえて競売にかけるということになります。これを簡易に行うには区分所有法に先取り特権というものがありますが、未払いの住宅ローン抵当権があると、先にそちらに取られて配当が受けられないということもあります。管理費などを未払いのまま転売した場合には、その物件を買った人に未払い分を請求することができます。

元木:修繕委員会の必要性について説明してください。
西野:最近は修繕委員会を作っている管理組合が多いですね。委員会が各種の資料を用意していただいて、どこを修繕するのか明確に話していただけ、調査や修繕をスムーズに進めることができます。理事会から離れた修繕委員会というのは公平性を保つ上で非常に効果があります。
元木:劣化診断ではどのようなことをやるのですか。
西野:劣化診断はまず目視で行い、クラックがある時はコア抜きをして、鉄筋やコンクリート、クラックの状態を把握し、強度テストも行います。このほか、超音波による鉄筋量の測定なども行います。コア抜きで1カ所5万円、超音波は1日30〜50万円といった金額です。
元木:工事業者の選び方はどのようにされましたか。
Bコーポ理事長:フローリング工事業者は、その専門業者団体の床材工業会に複数の業者を紹介してもらい、その中から選定し、全住戸を同じ職人で工事をし、公平を期しました。
元木:工事のチェックはどのようにするのですか。
西野:監理という仕事ですが、どういう仕事をどういう工法でやるかを確認する仕事です。特に業者が毎朝、職人にどんな指示を出し、夕方にどんな風に仕上がったかを確認するのが監理です。その状態を管理組合に報告します。それを毎日きちんと繰り返すことが大切です。
←パネルディスカッション平成13年度「第3回セミナー&相談会」報告
マンションは、道路や橋と同じようにストックされた社会資本として、将来にわたって低廉な価格で、修理、維持していくことが大切な課題になっています。わが国には570万戸の住宅ストックがあり、これまで毎年120万戸の住宅を造り続けてきました。最近、建物の欠陥問題が大きな問題になってきました。
昨年、住宅品質確保法ができ、構造と漏水に関して、無条件に10年間品質を保証することになりました。そして住宅に関して最も多いトラブルが「漏水」です。マンションを管理する上でも、最も大きな事柄だと思います。漏水は築年数に関わりなく非常に多いトラブルです。
漏水の原因になるのがコンクリートのクラックです。鉄筋コンクリートはクラックを避けることはできません。このほか、汚損、欠損、そして設備の老朽化によるトラブルがあります。そのトラブルは、管理組合の皆さんが解決しなければなりません。問題が生じた時は、専門家に調査、工事計画、設計、それに工事管理などを依頼された方がいいと思います。専門家にもいろいろありますので、トラブルの内容をよく調べ専門分野に詳しく、信頼性が高く、アフターケアがよく、何度も来て頑張ってくれる、いわば町医者のような施工業者を選ぶのがいいと思います。
漏水などのトラブルが生じた場合には、住まい情報センター、大阪建築士会には無料の相談もありますし、弁護士会にも相談窓口があって、社会的な支援ネットが構成されていますので、よく相談されて問題の解決に勤めていただきたいと思います。
現在マンションは全国に380万戸以上あり、1000万人以上がマンションの所有者です。問題は中古マンションが急増していることです。そして管理いかんによっては、スラム化が生じる可能性が出てきました。とくに阪神大震災によって、建て替えと管理の問題がクローズアップされました。
マンションの価格の決まり方は、新築がコストの積算によって決まるのに対し、中古は需給関係によって決まります。現在は一方的な買手市場で、資産価値と市場価値の間には大きなギャップが生じています。中古マンションについては、資産価値から利用価値に意識を切り替えるべきだと思います。利用価値とは、住み心地です。
マンション管理に関心のある人は、1割しかいないといわれています。それを1/3にしてほしいと思います。多くの住民が管理に関心を持つことが、マナー、ルールを守り、住み心地を向上させることにつながります。
管理の目安としては、長期修繕積立金があります。住宅金融公庫の優良中古マンションの条件をクリアしていることが最低条件です。
管理状態の評価は、日常生活上のルール、マナーに問題があるだけで評価が下がり、複合的なトラブルが多いとなれば、評価が大きく下がります。管理費や積立金の滞納が10%以上ある場合は、スラム化を容認していると捉えられます。「15年以上大規模修繕をしていない」や、「管理組合があっても機能していない」などは極端に評価が悪くなります。行き届いた管理が結果的に資産価値を守るのです。
らいふあっぷ3号
平成12年度「第2回セミナー&相談会」報告
もし、管理会社の名義になっている管理組合の預金通帳を差し押さえられたら、それを取り戻すのは非常に困難です。役員個人に預けている場合も、ある日、突然連絡がとれなくなってしまうという事態が起きないとは限りません。預金は、印鑑と通帳は別々に管理して「ちょっとやそっとでは下ろせない」というシステムを作ることが重要です。
また、管理会社に業務委託をするのはいいのですが、管理業務にはどのようなものがあるのか、組合員が把握しておくことが重要です。ビジネスですから管理会社を替えることは問題はありません。その場合は、相見積もりを取ることも必要です。現在の管理のあり方の何が問題なのかを十分に分析して対応していただきたいと思います。
次は「滞納管理費は誰が埋めるのか」という問題です。管理費や修繕積立金については、区分所有法(マンション法)によって「先取特権」が認められています。この先取特権はマンションが転売された場合、特定継承人、つまりマンションを買い取った人に請求することができます。仲介業者にはマンションの売買の際、重要事項説明書によって、購入者に対し管理費などの滞納があることなどを説明しなければならないことになっています。続いて「修繕積立金は誰のものか」という問題です。修繕積立金は将来の修理のために備えたもので管理組合の資産です。修繕積立金は管理組合のもので、転売するからといって個人に返還できるものではありません。
次に管理組合にとって「予算と決算はどちらが大切か」という問題です。管理組合は、大阪市などの行政と同じ事業体です。つまり、事業を行うための組織です。その予算とは「こういう事業をやります」ということを、お金で表したもので、まさに事業計画そのものなのです。利益を上げることが目的の会社なら決算が大切ですが、管理組合では予算が重要です。
管理組合のほとんどの業務は、委託することができますが、監事だけは委託することができません。監事の権限は非常に重く、管理組合が適切に運営されているかどうかを監視する、いわばお目付役です。もし、不適切な運営が行われているなら、管理組合に提言し、必要なら総会を召集することも権限も持っています。
また、名義人である理事長が死亡した場合、相続という問題が発生するわけですが、相続人がマンションの権利関係の書類に判を押すのを嫌がったり、外国に住んでいたり、中には刑務所に入っているというケースが起こり得るわけです。こうした場合、その手続きは非常に困難な事態になります。法人化しておけば、こうした問題を避けることができます。法人化に要する費用は、管理組合側がきちんとした書類を作成すれば、15万円前後でできると思います。以上のような点を参考に法人化について一度検討されてはいかがですか。そのお手伝いを司法書士が行います。
