平成15年度「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」 報告

マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会
 今回の基礎講座では、新しく管理組合の役員になられた方などを対象として、マンション生活における法律の基礎知識、大規模修繕の進め方、管理組合会計など、適正な維持管理を進めていく上で必要となる基礎的な知識について、専門家がわかりやすく説明しました。計3日間にわたり合計9講座を開催し、3日目には総会の模様を実演し、問題点について専門家が解説する「模擬総会」を開催し参加者からも大変好評をいただきました。
 また1日目の10月26日には個別相談会も開催し、法律・管理・技術の各分野において専門家から具体的なアドバイスが行われました。

出演者

■永野 倫子 大阪司法書士会  
■中岡 博之 大阪土地家屋調査士会
■笠井 靖彦 (社)大阪府不動産鑑定士協会
■川畑 雅一 (社)大阪府建築士会
■海野 敦 住宅金融公庫大阪支店

解説者

久保井 ■久保井 聡明
 大阪弁護士会
石原 ■石原 健次
 近畿税理士会
岡本 ■岡本 森廣
  (社)大阪府建築士会

マンションの概要

  • マンション名/「らいふあっぷコーポ」
  • 建物概要/鉄筋コンクリート10階建・総戸数120戸・築14年
    駐車場40区画、駐輪場(自転車180台・バイク25台)
  • 管理形態/全面委託で管理会社から管理員1名が常駐
  • 管理規約/平成9年に標準管理規約に準拠して改正
  • 管理組合役員/理事10名、監事1名で任期は各1年
  • 議決権/1住戸につき1議決権
  • 長期修繕計画/あり
  • 管理組合の設立経緯/分譲当初は管理組合がなく、2年後の91年5月に区分所有者有志が管理会社のサポートで設立総会を開催、 管理組合が発足した。

【第1場面】受付対応での問題
 (賃借人の扱い、共有者がある場合の扱い) (写真)


ポイント


総会議案の大規模修繕について意見を述べたいという、委任状を持たない賃貸居住者の総会への出席について


解説


 賃貸居住者の総会への出席については、区分所有法と管理規約に書かれています。法律には、「区分所有者から承諾を得て、専有部分を借りている人は、その会議について利害関係があれば、集会に出席して意見を述べることができる」とあり、管理規約でも同趣旨の規定があります。この“利害関係を有するかどうか”によっては総会に出席する権利もあるし、意見を述べる権利もあるということになります。
 大規模修繕が法律上の利害関係があるかというと、いろいろ法律的な見解がありますが、法律上では、典型的には建物の使い方とかペットの規約を新たに定めることは利害関係があるといわれています。しかし大規模修繕について、修繕委員会を作るというだけで賃借人に法律上の利害関係があるとはいえないでしょう。権利としての出席は困難です。しかし、管理規約でも理事会が必要と認めたものは総会に出席することができると書かれてあり、大規模修繕をするにあたり居住者の意見を聞くのはとても大事なことです。ただ、あらかじめ理事長にその旨を通知しておかなければなりません。


ポイント


総議決権行使者として、あらかじめ届け出された母親のかわりに来た、共有者である娘の総会への出席について


解説


 管理規約の44条の2に「住戸1戸につき二以上の組合員が存在する場合の議決権の行使については、あわせて一つの組合員とみなす」とあります。また次の3項で「一つの組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければいけない」と書かれています。今回のケースのように“議決権行使の選定者以外の人が来ている”場合は、法律上では娘さんは代理できないという解釈になります。ただ、母親が急用で娘さんが出席した場合でも一切認めないのは現実的ではありません。
 そこで、とりあえず出席してもらい、後日お母さんと娘さんの連名で、この総会については「娘を議決権の行使者にする」という書類を提出してもらうことにします。一般的には、共有の場合、どちらを議決権の行使者にするかは毎年の総会ごとに指定してもらうのが一番望ましいのですが、実際にはそれは大変なので、最初の段階で議決権行使者の届出を出してもらい、その後、交代するという連絡がない以上、当初の指定が有効だと考えて扱えばよいと思います。議決権行使者を指定せずに、一方の人が出席したら、事実上その人に議決権行使を認めたとしてもかまわないし、認めるべきだろうといわれています。 【第2場面】開会と議長、書記、議事録署名人選出
 (議長選出、議事録署名人の選出、議決権数)


ポイント


総会における議長の選任について


解説


 議長については、区分所有法では「規約に別の定めがないかぎり、管理者または集会を招集した区分所有者の一人がなる」と書かれています。これに対し、標準管理規約では「議長は理事長が務める」と規約されています。したがって「規約の定めにより私が議長を務めます」と理事長が言って進めれば足ることです。ただ、現実的には総会を円滑に進める知恵として、そのことを出席者にはかるものだと理解すればいいと思います。そうすれば例え「異議あり」の声があっても、「規約上私がやらせてもらう」ということで、適法な総会として進めていくことができます。 (写真)


ポイント


議事録署名人の選出について


解説


 議事録は規約上は議長が作成し、議長及び総会出席の理事から議長が指名する2名がこれに署名押印しなければならないとなっています。 議事録は、議事進行役の議長に代わり、実際は書記が作成して議長名で出しますが、その経過が正しいかどうかをチェックするために2人の議事録署名人が署名押印します。


ポイント


総会成立に必要な組合員数や議決権数の考え方について


解説


 普通決議の要件について「区分所有者の頭数と議決権の両方の過半数を満たして初めて決議ができる」とする区分所有法は現実的ではないので、標準管理規約では「総会に出席した組合員の議決権の過半数でよい」となっています。しかし、そうすると極端に出席人数が少ない場合でも決議できることになります。さすがにこれは問題だということで、標準管理規約では「議決権総数の半数以上」が出席して、初めて管理組合の総会が成立し(定足数)、その過半数で決議できるとなっています。
 ただ、分譲業者がその分譲マンションで多くの住戸と議決権を持っているなど特殊な事例があった場合、この標準管理規約のような定めをしてしまうと、分譲業者のいいなりになっていくという危険があります。そのあたりはマンションごとに考えていく必要があると思います。
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マンションの円滑な維持管理・再生をめざして


元木:マンションの維持管理や修繕、建替えについては、人材や技術、組織面でまだ十分なシフトができていないというのが実態です。管理組合と事業者の中間にあるコーディネーター、NPOのような方、こういった方々が組み合わさって自律的にマンションの修繕や建替えというものが進んで行くという体制がここ10年くらいで整備できれば、良好なマンション生活が続いていき、日本の住宅の資産としてしっかりと機能していくことができると思います。

生駒:やはり管理組合の皆さんに基本的な知識をまず知ってもらい、それから運営に関心を持っていただく、そのために広報でしっかり伝えていくことが重要でないかと思います。また管理会社や専門家をうまく活用していくことも重要です。住まい情報センターは、そのための必要な情報を入手でき、あるいは悩んだ時に相談できる場所として、また支援メニューの紹介・提供、いろんな専門家団体・事業者団体との繋ぎ役としての役割を果たせるよう頑張っています。 今後ともぜひ活用いただければと思っています。

岡本:専門家は、皆さん方に理解してもらえる易しい言葉で説明でき、能力が十二分に発揮できるように自己研鑽に努め、皆さん方のパートナーとして応えられる体制作りがいると思います。それと、パートナーを選ぶ際に、選定理由を説明できる資料・情報を集め、皆さん方が判断できる能力を身につける必要があると思います。

八杉:管理も大変ですが、建替えも確かに大変なんです。ただいずれも先送りができないという問題だと思います。再投資は必要ですが、自分が住み続けたい地で再投資をこんな風にしようという明るい展望を持って建替えを進めていくことも考えられます。

池上:どちらにしても、非常に体力や辛抱が必要だし、争いごとを作って喧嘩をしてしまったら終わりです。初めから計算してできるものではないし、正直、長期間かかる問題だと実感しました。

葛籠:私の所も平成2年から取りかかり、大規模修繕工事が終わって竣工祝賀会をしたのが平成7年1月16日でした。翌朝が例の大地震でまたひび割れの補修工事を行い、大変な道のりでした。でも9年経っても大きなひび割れがなく、廊下も防水もよくきいているし、しっかりと修繕ができています。やはり2回か3回くらいは大規模修繕を行い、その後に建替えに向かっていくのが当然でないのかと思います。

海野:今日の資料にも実際の広報の事例がありますが、常々広報されていたということが、それぞれの修繕や建替えの成功の一因かということも感じました。それから専門家の協力なしではやはり進められなかったというお話、専門家以外では難しいというアドバイスの両方がありました。専門家の力は大事かと思います。それからパートナー選びのコツを大切にすると円滑な再生ができるのかなと思います。日頃から、お住まいのマンションをいかに適切に維持管理していくか、愛着を持って管理をしていくことが非常に大切なことかと思います。今後、修繕あるいは建替えということに関して前向きに皆さんの関心を高めていっていただければと思います。
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マンションの円滑な維持管理・再生をめざして


葛籠:私のマンションでは、これまでの修繕積立金では工事の資金が足りないという建物調査診断の結果で1住戸平均50万円の負担が必要になり、その回収方法がわからなくて、専門団体に相談に行きました。その結果、皆さんに情報公開していくのが一番ということで各階で懇談会をして、徴収する方向で意見がまとまり解決ができました。

海野:建替え事業で、実は大変苦労をされたとお聞きしている池上さん、実際はいかがだったんでしょうか。

池上:合意形成がポイントですね。まず賛成、反対の決議を急がず、みなさんにいつでも拒否権は使えますからと強調しながら、話を聞いて下さいとアプローチをしました。建替え事業とはこんな手順で進められ、こんな新しいマンションが入手できるという具体的な資料やイメージを十分理解してもらい、さらには皆さんの住まいへの希望を聞いてデベロッパーと話し合いながら、全員参加で設計プランを作り上げていきました。
 その設計プランが完成した後で皆さんの自覚と責任感で賛否の判断をしてもらいました。そのためデベロッパーのA社には、仮決定という形で全面的に協力してもらいました。またローンや税金や相続問題など打ち明けられないプライベートな理由で反対されている場合もあるため、第三者のデベロッパーに個人の相談会を行ってもらいました。そのうちに十分理解していない人も消極的な人も納得されてきて、第3回アンケートの時には反対者は1人だけになりました。それも、最終には拒否権を使わないということで、総論的にはみなさんが賛成ということになりました。その後さらにみなさんの意見を取り入れて、デベロッパーと賛成の方は合意書を交わすことになりました。新しいマンションを購入される方は一軒一軒その条件が違うため、総会決議ではなく個別の合意で全員が賛成していただきうまく成立しました。
 また、コンサルタントを初めにつけて、プロと素人の折衝で何とか後押ししてもらって対等にやってこれたのも成功の要因だと感じています。 
八杉:困ったことというのではありませんが、管理と建替えとの違いのポイントをお話ししておきましょう。管理も建替えも合意形成が非常に大切で、管理の場合は長期修繕計画を立てて建物の資産価値を維持する。その中で管理規約に基づき管理会社との二人三脚で、生活共同体をうまく形成していくということにつきると思います。ところが建て替え替えというのは、資産価値の更新、現地に再投資するということです。再投資の自己負担額は、1000万円を超えます。これは余剰容積がない場合を前提にしています。建物がその効用を維持し、回復するのに過分の費用を要するに至った時、建替えが視野に入ってきます。維持管理でいくのか建替えでいくのかということは、費用の過分性の意識を皆でどう持つかということにつきると思います。私はこれが一番大事だと思います。管理組合と信頼のできるコンサルとの二人三脚で、費用はこれだけかかるという具体的な概算をきっちり示さないといけません。何回もそういう会をもって詰めていくことが建替えに至るのには大切なプロセスだと思います。この現地をこよなく愛するという意識を持って取り組むという強い絆が、維持管理からもっと深い繋がりになり、建替えへ進んでいくと思います。

岡本:長期修繕して立派にしても耐震補強はどうにもなりません。私達の経験からしても30年代のマンションは、大きな地震には耐えられません。そうなると建替えを考えざるを得なくなりますが、人間はいろいろな考えを持っています。そういう時に一つの目的を共有しながら進める方法は、やはりPRだろうと思います。
長期修繕でも4、5年前から進めないと出来ないですね。
その時にホームページ、もしくはメール、掲示板とさまざまな方法で、「こういう状態であるとみなさん方の生活・建物にこんな不具合が生じるよ」ということを専門家や行政の力を得て、皆さんに理解してもらうという努力が欠かせないと思います。
 それと、建替えや改修をうまく進めるには、理事会組織とは別に委員会などを設立し、いろいろな業務と責任を分散することです。理事の役割は、むしろ住環境を良くしていきたいと皆さんの気持ちを高めていくことだと思います。

海野:ところで、現在大阪市で行っている支援策はどのようなものがあるかご紹介いただきたいと思います。

生駒:まず、この住まい情報センターで無料相談を行っており、随時行っている一般相談と、弁護士・建築士等による専門家相談があります。次に本年6月からスタートした分譲マンションのアドバイザー派遣制度ですが、これは建替えや計画的な修繕に対して支援をしようということで、勉強会などの講師として無料で派遣する制度です。
 同じく本年6月から建替検討費の助成制度、これは基礎調査などに対して助成する制度です。また情報収集や勉強していただく場が非常に重要ですので、このマンション管理支援機構と連携して、いろんな広報誌の発行やセミナーの開催を協力してやっていきたいと思っております。
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マンションの円滑な維持管理・再生をめざして


岡本:私達が建築士会で相談を受けていますと、長期修繕をやることになったが、何から手をつけていいのかわからないというのが現状です。長期修繕計画がない所もたくさんあります。管理会社による長期修繕の見積りが安いのか高いのか相談に来られます。長期修繕になると200戸以上の場合は、億を超える場合もあります。しかし、管理会社が建物調査をしっかりとやっていない場合もあります。
 それと、理事は2、3年、短い所では1年くらいで交替されます。そうすると長期修繕や維持・メンテナンスに関する記録が伝達されません。長期修繕をやられた結果も蓄積されていないため、再度長期修繕をやる時にもう一度建物調査をしなければならない。管理組合が、先ほど八杉さんが言われた自己責任を果たしていないというのが現状です。
生駒:この4月から6月のマンション管理の相談事例を全般的に見るといくつかの点にまとめられると思います。まず1つは、やはり役員の方々以外は自分達のマンションに関心が低いという実態です。2つ目に管理組合の内部で、理事者と区分所有者との信頼関係ができていないケースがいくつかあります。3つ目に理事会でのことが各区分所有者になかなか伝わっていないということがあります。4つ目に修繕計画などは専門家の知識を必要としていることです。 これらから、私なりのマンション管理のポイントとしては、1.区分所有者が自らのマンションを良くしていこうという意識を持つこと。2.組合活動を情報公開し、常に区分所有者に伝わるよう努力し、日頃からの良好なコミュニティをつくること。3.組合として管理会社を良きアドバイザーとしてうまく活用すること。4.技術的な分野で、第3者的な立場として建築士など専門家を上手に活用すること等があげられます。これらは、建替えを推進していく場合も共通のポイントではないかなと感じております。
元木:築年数の古いマンションがたくさん増えると何が問題かということですが、まずマンションという所有形態が1戸建てと決定的に違い、自分の所有物を自分で自由に処分できないという事です。共有物を処分する時は共有者全員の合意が必要です。修繕や建替えも民法では全員同意でないとできません。マンションという新しい居住形態ができた時に民法だけでは対応できないため、昭和37年に区分所有法ができ、昭和58年に大規模修繕や建替え決議について全員同意の部分が改正されました。 ここでようやく修繕や建替えというものを意識しはじめたということです。
 それから大量のマンションストックの適切な管理について、国としてマンション管理適正化指針を出したり、マンション管理士という資格を作ったり、あるいは管理会社の登録というような内容で、マンションの管理適正化法が平成12年に成立しました。さらに管理の先にあるものは、やはり建替えです。できるだけスムーズに建替えができるように法律を整備したのが、マンション建替えの円滑化法です。この円滑化法を活用すると、区分所有法に基づき5分の4の賛成で建替え決議をされたマンションでは、マンション建替え組合として都道府県知事認可をしてもらって法人格を得ることができます。それによっていろんな契約がスムーズに結べたり、意志決定ルールが明確になって建替えの事業が進みやすい。それともう一つの要点は、権利変換計画。これは、いわゆる現行のマンションの土地と建物の価値を新しく建設されるマンションの土地持ち分と建物持ち分に変換をするものです。今まで、老朽化等により建替えられたマンションは、ほとんど容積率が余っていますが、今後は、容積率に余裕がなく事業費を自分で持ち出さなければいけないマンションが増えてくるわけです。こういう状況を踏まえ建替えを円滑に進めるために円滑化法ができたわけで、建替え時には、共同施設整備費などに国と地方合わせて3分の2の補助金を受けられる補助制度もあります。また修繕・建替えを判断するマニュアル、建替えの合意形成を円滑にするマニュアルも作っております。大阪市はもっと積極的にいろんな事をやられていますが、全国レベルでも地域レベルでもこういうマンション関係の団体が集まった協議会というのもあり、これらがうまくかみ合って機能していけば、将来的には自己負担を伴いながらも自律的な建替えというものの枠組みができるんではないかと期待をしています。

海野:つづきまして、事例報告をいただいた葛籠さん、池上さんに実際に事業を進めて行く中で困ったこと、またその解決策などをお話しいただければと思います。 
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マンションの円滑な維持管理・再生をめざして



海野:現在、築20年を超えるマンションは約60万戸といわれていますが、これが10年後には160万戸になり、国にとっても大変大きな問題です。そこで、マンションの維持管理を適正に行い、円滑に再生をするため、最近になってマンション管理適正化法・マンション建替え法が新しく制定され、区分所有法も大改正されました。今日は大規模修繕やマンション建替えの経験者をパネリストに迎え、マンションの維持管理・再生について、お話しいただきたいと思います。
八杉:まずはマンション価格の現状をご認識いただきたいと思います。平成11年を100にすると、新築はマイナス7.6%落ち、中古は同22.1%落ちています。平均単価もそれにつれて下がっています。これはあくまでも平均値なので当然上下はあり、それがやはり管理の善し悪しになるかと思います。マンションの資産価値は、住み心地であって快適性の価値です。収益性のための維持管理であるビルと違い、分譲マンションは大規模修繕が近づいてくるまでは、まず外圧がありません。 そうすると維持管理の意識が希薄になりがちです。築15年以上経過しているマンションで、大規模修繕が行われず、長期修繕計画もないマンションは、いくら専有部分がリフォームされていても、近隣の類似マンションの半値以下になる場合もあります。これからのマンションは、維持管理の大競争時代に入っていくことになります。
 資産価値を高める管理組合のあり方は4つあります。
●管理組合と管理会社の信頼関係
管理組合は自己責任をはたし、管理会社は説明責任をはたすという対等な関係で、いい二人三脚ができることが大切です。
●長期修繕計画と修繕積立金とのリンク
長期修繕計画に対して修繕積立金の積立状況を理事会は検討して、集会で全員に説明する必要があります。
●住民のマナーと管理規約の改正
ペット・騒音・駐車場などマナーの問題に関して、住民相互の交流を図るとともに規約を改正できるものはしていく。
●セキュリティの確保
中古マンションは新築と比較して一般的にセキュリティが劣るため、住み心地・快適性・安全性の面からきちんとした対応が重要です。
 コミュニティの形成は建替えの際の合意形成にもつながっていくため非常に大切です。
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平成15年度シンポジウム                「マンションの円滑な維持管理・再生をめざして」

マンションの円滑な維持管理・再生をめざして
8月24日開催の2003年度シンポジウムは「マンションの円滑な維持管理・再生をめざして」がテーマ。大阪市住宅局からの挨拶の後、大規模修繕・マンション建替えを経験された2管理組合からの事例報告があり、続いてコーディネーターに住宅金融公庫大阪支店の海野公共業務課長、パネラーに国土交通省より元木課長補佐をおむかえし、事例報告者や専門家らを交えてのパネルディスカッションが行われました。その要約をご紹介します。
事例報告1:葛籠洋子
 私達のマンションは、昭和56年に入居開始し現在築22年になります。平成6年に第1回大規模修繕を実施するため、平成3年4月に大規模修繕実行委員会をつくり、管理会社とゼネコンと設計監理の専門家の3社に建物調査診断の見積りをとり、最も安い業者へ発注しました。診断の結果、至急に補修が必要ということで同じ年度に、建物調査診断を行った業者に一部改修工事を発注しましたが、満足な出来ではありませんでした。委員会の反省会で、工事見積り上での現地調査もれ、工期の遅れ、工事の手抜きなどがあげられ、我々素人が工事監理をするのは困難だとわかりました。そこで大規模修繕の必要性を勉強するために、全員参加の学習会を開催し、工事見学会に参加し、居住者の理解と協力を得るためには広報紙が一番大切であると感じました。そこで広報紙「マンション元気村」を作成しました。  広報紙の効果もあり、平成4年にもう一度建物調査診断を行いました。その調査方法は、最初に設計監理者が調査診断の目的や手順などの説明をした後、全戸にアンケート調査を行い、管理組合の立ち会いで専門家が調査診断を行いました。それで傷み具合や適切な補修時期と補修概算額を写真付きの書類で提出していただきました。
 診断の結果をもとに補修時期や費用が提示され、修繕積立金が1住戸平均50万円不足することが判明しました。そこで各階毎に説明会やアンケートを実施し、皆さんの理解を得て、一時金を2回に分けて納入してもらいました。
 工事中は施工業者と設計管理者と委員会で2週間に1度打合せを実施し、施工業者から2週間分の工事作業のビデオを見ながらの説明や、次の2週間の予定が報告されるなど3者での質疑応答型で進めていきました。  多くの工事見学会に行った結果、既存の補修だけでなく、改善する事例も知り、玄関にスロープや転倒防止柵を付けたり、道路から1階ホールまで点字ブロック設置、手すりにも点字シールをつけるなど、多くの改修を行って、今はそれらが有効に使われています。
事例報告2:池上和夫
 建替え前の団地は、昭和42年建築で住戸数64、府公社が建てる一般的な小規模団地でした。バブルの最盛期に建替えや増改築が話題になりました。そんな中、等価交換方式で追加資金なしで建替えできるという話を聞き、平成2年4月、区分所有者の有志で建替え検討委員会を設置することになりました。私達は素人なのでコンサルタントを要請することにし、費用が発生するため、管理組合の正式機関として建替え準備委員会を平成3年3月に発足しました。
 コンサルタントとして、設計事務所R社を選びましたが、バブルが崩壊し、約2年間、建替え準備委員会の活動を一時凍結しました。平成5年9月、準備委員会を再開し、コンペを行いデベロッパーA社を仮決定しました。私達委員会は専門的な知識がないため、デベロッパーと二人三脚で進める事にしました。
 まず、A社によりアンケート、基本構想説明会、個別相談会が実施されました。区分所有者のほぼ全員が総論賛成となった平成6年10月、A社及び販売を受け持つB社と基本協定書を締結しました。準備委員会も実行委員会に変わりました。A社と住民間で何度もキャッチボールを繰り返し、コンサルR社のアドバイスもあり、皆さんの納得できる案が出来ました。
 平成7年6月、希望住戸の申込みが行われ、60軒中53軒が新マンションを希望し、7軒の転出者がありました。
 平成7年8月、区分所有者とデベロッパーとの間で「建替え事業推進に関する基本合意書」の締結が完了し、合意形成が成立しました。引越し、管理組合解散、土地売買契約、新マンション購入契約と続き、平成8年3月、工事着手し、平成9年3月に竣工しました。経済状況の変化など様々な問題がありましたが、コンサルタントやデベロッパーと信頼関係を築くことができ、建替えを成功させることができました。
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マンションらいふあっぷ基礎講座


マンションの管理組合運営に関連して、区分所有法改正のポイントや管理会社の役割などをテーマとした講座を開催しました。席者からの「異議なし」の声により提案が承認される。
 「建物の区分所有等に関する法律」、いわゆる「区分所有法」は、一般にはマンション法とも言われており、通常の所有権と比べて、お互いの協力がなければ建物を維持管理していけないという意味で制約がかなりある区分所有という考え方の基本となる法律です。
 マンションでは個人が所有する専有部分と、廊下や階段等の法定共用部分、居住者の利便のために共用とした規約共用部分があります。それら共有部分の維持管理や団体生活の調整をするために管理組合があり、管理者を置くのが原則です。管理運営は、集会の決議と管理規約に従います。その決議については、普通決議と特別決議の2種類があり、一般的には普通決議、つまり過半数の多数決で決めます。特別決議は、規約変更などの重要なテーマのときに行うもので、各区分所有者の頭数と議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。
 次に、改正法の主なポイントを要約して紹介します。
●管理組合の法人化について
 以前は「区分所有者の数が30人以上であるものは、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人」とありましたが、改正により“30人以上”という要件が外れました。
●建替え決議
 建替えは5分の4以上の賛成で決議できます。旧来の様な過分の費用というような客観的な要件はなくなりました。以前は同じ建物の敷地に「主たる使用目的を同一とする」建物を建てなければいけないとありましたが、今回の改正により、隣接する敷地を買い足して建設する場合や、敷地の一部を売却して建設費用に充てることにより建替え事業を行うことも可能となりました。また「主たる使用目的を同一とする」という条件も外れましたので、例えば居住専用だったマンションを店舗付きにすることも可能になりました。
●その他の改正法のポイント
 例えば共用部分が誰かに壊されたときに、管理組合で損害賠償の裁判ができなかったのが、管理者である理事長さん等に委任することにより、その請求が出来るようになりました。また規約の適正化により、区分所有者間の利害の衡平を図ることが定められたので、分譲業者に著しく有利になるような規約は、場合によっては無効となることもあります。
 マンション管理において管理会社は、区分所有者の信頼のもと、管理組合の良きパートナーとして業務を推進すると共に、マンションの使用価値・資産価値を維持保全し、生活の安定と向上のため尽力しています。
■管理委託契約
 管理会社と契約する際に、次の注意点があげられます。
 1.管理委託費は安さだけでなく委託業務内容と委託料の関係をよく確認する。
 2.契約期間は1年とし、毎年更新する。
 3.年に1回や2回発生する費用については、一つの管理会社と包括契約するのではなく、一つ一つ吟味して決定する。
■管理組合会計
 必ず組合理事長の名義で口座を作成し、通帳と印鑑は分離して保管します(場所は金庫が望ましい)。滞納管理費等の督促では、管理会社に対し、3か月滞納で文書による督促、それ以上になると訪問による督促を行い、長期滞納者から返済計画をとるように依頼すればいいと思います(委託契約内容の確認が必要です)。
■長期修繕計画
 原則としては管理組合自らが作成するものですが、管理会社には専門スタッフがいますので、資金計画を含めて作成依頼すればいいと思います。
■苦情対応
 生活意識に起因する問題が一番多い苦情ですが、管理会社で処理できる問題は極力管理会社で処理しますが、そうでない場合は、管理組合に申し出ます。
 円滑なマンション管理を行うためには、管理会社とよく相談していただいて、日常の維持管理をすすめていくことが重要であると思います。
ミニ講座1 管理組合運営の知恵 委託管理会社に競争原理の導入でよい結果が
講師 村本 祥孝(むらもと よしたか)
淀川パークハウス管理組合 理事長

 当マンションは、大阪の北東、豊里大橋の近くに立地しており、住戸数は7棟全体で980戸、商業施設は15店舗のうち、現在は歯医者を含め11店舗が営業しています。424戸分の駐車場は、専用使用権付きの扱いで、マンション竣工時に販売されました。自転車は台数に制限を設けず置け、使用シール代を徴収しています。
 管理組合の活動状況としては、理事22名、監事2名で、理事会は月1回開催されています。管理委託業務は、過去30年間、A社に委託してきましたが、3年前に、これまでの管理状況、委託費を見直し、競争原理の導入によって、非常に良い結果が出ています。
 大規模修繕では、A社から過去30年間の修繕項目が出され修繕項目と周期が一覧表で全部分かるようになっています。
 居住者の広報は「広報誌よどがわ」をマンション竣工当時から発行し続けています。毎月1回第4土曜日に、ボランティア喫茶を開き、クッキー付きでコーヒー等を提供し、居住者のコミュニケーションの場としています。
 このマンションは、ここで育った子供達にとって故郷となるので、誇りと情熱を持って管理組合を運営していきたいと思っています。  
 ※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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マンションらいふあっぷ基礎講座


建物の維持管理に関連して、大規模修繕のポイントや共用部分の修繕への支援制度などをテーマとした講座を開催しました。
 阪神・淡路大震災から8年が過ぎてあのすさまじい惨状の記憶が薄れていますが、もし大地震がきた場合、昭和56年頃より以前に建てられたマンションには、耐震安全性に多少の問題があるとされています。長期修繕は、こうした問題に対しても、修繕や改修、改良の組み合わせで単独で補強する時よりも効率的に性能を上げることができます。また、建物のグレードアップで資産価値を高めることも可能となります。
 修繕を実施するためには事前調査が必要となりますが、手順として、まずヒアリングによる予備調査を行います。居住者全員に修繕工事の必要性を理解してもらうようにPRすることが必要で、居住者の了解を得た上で予備調査を行います。調査を実施する際、しっかりとしたパートナーを選び、必ず立会いましょう。目視をはじめ、様々な診断を行って、疑わしいものは再度二次診断という詳しい調査を実施することが必要です。
 そうした調査者の選定に際しては、調査箇所を的確に把握することができ、調査のための工法・コスト等について熟知している業者であり、かつ総会等で皆さんにきちんと説明ができるような技術者を公平・公正に客観的に選ぶことが重要です。
 さて長期修繕計画には、「修繕項目を明確化」「実施時期の明確化」「費用の明確化」の3つの重要なポイントがあります。このことによって集合住宅としての機能の強化と、快適で安全な生活の確保ができるわけです。そして場合によっては資産価値の向上にもつながることになります。また、長期修繕計画の3大効果としては、1つ目は建物の性能を居住者が認知することができ、2つ目は、修繕積立金の変更の際に、なぜ変更が必要かを明確に示すことができます。3つ目は、住民の理解、コンセンサスが得やすくなります。 
 長期修繕には、ペンキの塗り替えなら7年とか、防水工事なら10年から15年、外壁なら15年から20年といった目安があります。しかし、これは個々に差があります。例えば大阪湾に近いところと海から遠いところでは、同じ塗装でも耐久年数に違いがあります。
 いろいろな条件を考慮した長期修繕計画はすぐにできるものではありません。修繕を実施する時には、すぐに皆の合意が得られるように、常にあらゆる機会を捉えて、マンションの性能の改善、補修の必要性をPRし、きっちりとした長期修繕計画を作定しておくことが重要です。
 公庫が準備しているマンションの維持・管理、長期修繕への支援制度について説明します。
■維持管理基準の適用
 マンションを新築するときに、公庫では公庫融資利用のマンションについての維持管理基準(管理規約で定めるべき内容、長期修繕計画の基準が決められている)を定めて適用し、マンション事業者に守っていただいています。
■公庫マンション維持管理ガイドブック
 入居者への引渡し、管理組合による管理開始時に、「公庫マンション維持管理ガイドブック」を管理組合へ配布するよう事業者に依頼しています。
■公庫マンション情報登録制度
 マンションの維持管理内容が、公庫が定めている維持管理要件に適合していることを公庫の指定した機関にあらかじめ登録しておく制度です。
■マンションすまい・る債
 公庫が発行する、1口50万円の債券を管理組合が年1回、10年間にわたって購入していただき、利息を付けて公庫が買い戻す制度です。
・初回のみの積立てでも利用できること、中途解約でも元本割れ がないこと、定期預金以上の利回りがあることなど修繕積立金 のペイオフ対策として注目が集まりつつあります。
・公庫廃止の政府決定がされていますが、公庫が皆さんに対して 責任を果たさなければならないマンションすまい・る債などについ ては、公庫のあとにできる独立行政法人が、その責任遂行を引 継ぐことも政府決定されています。その意味でもマンションすまい・ る債は安心できるものとなっています。
■マンションリフォームローン
 分譲マンションの共用部分をリフォームする工事について利用でき、無担保コースでは、(財)マンション管理センターを連帯保証人にすることで、対象工事費の80%または、1戸当たり150万円を限度にお貸しします。
ミニ講座2 ガス配管の維持保全について
埋設管は20年、露出配管は30年を目処に計画修繕を
講師 佐々木 善文(ささき よしふみ)
大阪ガス設備技術部導管企画チーム次長

 ガス配管も古くなると腐食漏れを起こすため、給水管や配水管と同様に、計画修繕が必要です。
 ガス配管の資産区分は、敷地境界線から道路側の配管はガス事業者、敷地の内側については、住戸内は各区分所有者、共用部分は管理組合全体の資産です。敷地内のガス管は、ガス事業法に基づいて3年に1回定期点検を行っています。埋設管の材料としては、昭和50年までアスファルトジュート巻鋼管が標準でしたが、現在は、先の阪神・淡路大震災で被害を受けなかったポリエチレン管が一般的に使われています。埋設管は20年、露出配管は30年を目処に計画修繕に組み込んで下さい。
 ガス配管改善工事の手順としては、まず現場を調査し、改善工事の提案と見積書を提出し、工事契約完了後、工事を行います。
 改修の際、埋設部はポリエチレン管に取替え、旧型のガス栓は新しいヒューズ型のガス栓に取替えることをポイントとしていただければと思います。
 ※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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マンションらいふあっぷ基礎講座


マンションの財務会計に関連して、管理組合会計の実務などをテーマとした講座を開催しました。
 管理組合には、収益事業をされているところはほとんどないと思いますが、そういう意識はなくても一部で収益事業に該当するものがあります。この場合は必ず申告しなければいけません。例えば、会議室や集会所、駐車場等の貸付け、飲料水等の自動販売機の収入、バザーやレクリエーション開催の収入・・・これらが収益事業に該当すれば申告する義務があります。
 収益事業に該当するかどうかの判断基準は、
1.組合員、マンションの住人のみを対象としているか
2.無料もしくは、実費弁償、つまり利益・剰余金が発生しないか
3.バザー、コンサートなどの催し物は年1〜2回程度か
 上記1〜3に該当する場合は申告する必要はないと考えられます。ただし、例えばコンサートでかなりの収益が出るような場合は、事前に収益事業に該当しないという届出を出して、申告するかどうかの判断を仰ぐことになります。下記に、具体的な事例をいくつか上げておきましょう。
1)分譲マンションの屋上に携帯電話などのアンテナを立てるスペースを提供して、年間収入がある場合。これは収益事業の不動産 貸付業に当たり、申告する必要があります。
2)廃品回収に対して地方自治体から入る補助金は収益事業に該当しないので、非課税です。
3)駐車場をマンションの住民以外の人に貸付けた場合、住民より高い駐車場料金を取っていれば、外の人に貸付けている分だけでなく駐車場の収入全体が収益事業ということになります。
4)マンションの外部の方に会議室などの部屋を貸付けた場合は、席貸業になり納税義務が発生します。
5)管理組合会計で剰余金が出た場合に、国債を買ったり、一時払い養老保険に加入するケース。これはもともと原資が会費収入ですので、非課税です。元々のお金が非課税であれば、その利子収入についても非課税です。
 収益事業というのは、法律で三十三事業が定められています。先ほど話した収益事業に該当するかどうかを検討し、また、各税務署の担当課にご相談されてもよいと思います。
 次に、「決算書作成のポイント」ですが、ここで一番大切なのは、未収も含めて収入がきちんと計上されているかどうか、そしてその残高が本当にあるかどうかということが一番のポイントです。それから大規模修繕などは何千万円というお金が動きますので、どんな業者を、どんなふうに選定したかということをきちんと説明できる形で選ぶということが大切です。それがトラブルの元になることがよくありますから、注意してください。
ミニ講座3 マンション建替事業における高齢者向け融資について 高齢者向けの毎月の返済額が安い融資です
講師 林 宏幸(はやし ひろゆき)
住宅金融公庫大阪支店まちづくり融資課長副調査役

 昨年12月に「マンション建替え円滑化法」が施行され、マンション建替えにも、再開発で使われている「権利変換」という手法が取れるようになりました。
 マンション建替えに関して、「合意形成」と「資金調達」が2つの大きな問題です。マンションの建替え事業のあらゆる局面で必要な費用を融資対象とする公庫の「都市居住再生融資」があり、その中に「高齢者向け返済特例制度」があります。
 この制度は、建て替えるマンションに従来から住んでおられた60歳以上の方に、最大1,000万円まで融資でき、毎月の返済は元金の利息だけの支払いで、とても安くなります。
 元金はお亡くなりになられた時に、相続人が一括返済するか、担保提供された建物・土地の処分により返済いただきます。必要に応じて活用していただければと思います。
※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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マンションらいふあっぷ基礎講座

【第3場面】議案(第1号〜第3号)、事業報告、決算報告、監査報告(未払い金の扱い、未収金の扱い)

 副理事長から、2002年度の事業報告及び収支決算報告について提案がある。続いて監事から決算監査報告。この3つの議案に対して議長が出席者からの質問や意見を受け、理事から回答がある。(質問と回答は次のとおり)
質問1:「駐車場の補修工事が3月に終わったのに工事代金が未払いになっているのはなぜですか。」
回答1:「工事費の支払いが4月にずれ込んだためです。」
質問2:「未収金の内容と貸付信託とはどういうものですか。」
回答2:「未収金は管理費の長期滞納によるものです。貸付信託については、後日調べてお知らせします。」
質問3:「滞納金は回収が難しくても資産の部にあげておくべきなのですか。」
回答3:「本来回収すべきものであるのであげています。」
議長が他に質問がないことを確認して、採決に入る。出席者からの「異議なし」の声により提案が承認される。
解 説
 未払い金、未収金の問題ですが、工事費の「未払い」は、工事は終了したがお金はまだ払っていないということです。「未収」は、例えば管理費などで、当月は過ぎているけれどもお金が入っていない場合で、「前受け」は、仮に管理費や積立金を数か月分まとめて支払われた場合などを示します。また大規模工事などで着手金や中間金として支払う仮払い的なものは「前払い」金として処理します。この4つは収支報告書に計上する方がいいと思います。
その理由は議案書では、予算と決算の対比が大切だからです。予算というのは、来年度の行動計画を数字で表わしたもので、決算は予算に対してどれだけの活動を行ったのかを表わしています。先程の工事の未払いと管理費の未収についても、業務が行われているなら決算に入れておかなければなりません。
管理費の長期滞納による未収金の問題については、「回収の見込みがないのに…」という話が出ていましたが、区分所有法の「特定承継人の責任」という項目に、管理費が未収の場合は、特定継承人、つまりその住戸を次に買った人から取り立てることが出来るという規定があります。不動産業者は不動産の売買時に、重要事項説明書で未払い金があるということを次の購入者に説明しなければならないことになっています。したがって、管理組合は、決算報告書に未収金として総額を上げるだけでなく、回収可能かについて欄外に長期滞納金などの内訳を書いておく方が親切だと思います。 最後に貸付信託ですが、これは元本が保証された金融商品です。

【第4場面】議案第4〜6号と追加議案、ペット飼育細則、広報委員会設置(普通決議・特別決議・未通知議案の処理・可否同数の場合の扱い)


 第4号議案のペット飼育細則の設置の提案(現行規約では一般使用細則でペット飼育を禁止)を、議決権の過半数の賛成による普通決議事項として扱おうとしたことに対し、組合員が「ペット飼育問題は、大きな問題であり、4分の3以上の賛成で決める特別決議にすべきではないか」と提案がある。
 続いて、執行部から広報委員会設置の追加議案があったが、組合員から「欠席者は議決に参加できないので後日、臨時総会を開くなどして、改めて議決する場が必要ではないか」との意見が出た。

解 説
 区分所有法で規約の変更は、総議決権数及び総区分所有者の頭数の各4分の3以上の特別な多数決で決めなければならないと定められています。今回のペットの飼育細則を「規約」と考えるかどうかが問題となります。
 この点、旧建設省の標準管理規約の解説本にもペット飼育は大きな問題であるため、規約で定めるべき事項だとし、たとえ細則で定めるとしても、4分の3以上の特別決議とするべきだと書かれています。これが現在の一般的な考え方だと思います。このマンションは120戸ですので、この日出席した35名、委任状出席の55名で、総議決数の4分の3、頭数の4分の3をクリアするためには全員が賛成すれば、この提案が可決することになります。ただし1人でも反対すると、この提案は否決されたということになります。
 さて、2つ目の広報委員会の設置については、当日になって議案を追加提案したわけで、この場では議決できません。最後に可否同数の場合ですが、これは管理規約に「可否同数の場合には議長の決するところによる」と書かれています。

【第5場面】議案第7号の新役員選任と閉会(議事録の作成)


 新役員の選出は、理事を選出したのち一旦休憩をとり、その間に理事の互選により理事長や副理事長、各担当を決め、総会を再開。その内容を報告して総会を終了する。総会終了後に理事長から「議事録署名人は後日、議事録内容確認と署名押印をお願いします」と関係者への伝言があった。

解 説
  理事長が作成しなければならない議事録には、開催日時や議題、議論内容や結果など後々に議事録を見て、その経過を知りうる程度の要約を記載すればいいのですが、決議については有効性を明確にするため、総会時の組合員や議決権の総数、出席者数、そのうち代理人の出席数、また各議案ごとの賛成、反対数を必ず記載しておくべきでしょう。特に建替えや大規模補修など大きな問題では、議事録に賛成や反対、棄権した人の名前を記載しておくことが必要です。その議事録に記載された反対者に住戸の売り渡しを請求する根拠にもなってくるからです。
 議事録は総会終了後、速やかに作成し、決められた場所に保管しなければなりません。区分所有法の改正(平成15年6月1日施行)により、これまでは議事録は書面での保管だったのが、例えばワープロのフロッピーで保管するという方法も認められました。なお、議事録は組合員以外でも、利害関係者、例えば賃借人には理由があれば閲覧する権利があります。
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平成14年度「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」 報告


 今回の「らいふあっぷ基礎講座」では、新しく管理組合の役員になられる方などを対象として、マンションの維持管理に関する基礎的な内容を学ぶ講座を、計3日間連続して開催いたしました。いずれの日も定員を上回る参加者があり、非常に熱心に参加いただき、盛況のうちにすべての講座(合計9講座)が終了いたしました。
特に3日目の「講座6 模擬総会」では、一つのマンションを設定して、その管理組合における総会の模様をステージで実演することにより、総会運営、進行の仕方などを専門家の解説を交えてわかりやすく説明。参加者からも大変好評をいただきました。
 また、1日目の2月23日には個別相談会も開催し、法律・管理などの各相談において専門家から具体的なアドバイスが行われました。

主な出演者
■沖 健補 大阪司法書士会
■中岡 博之 大阪土地家屋調査士会
■笠井 靖彦 (社)大阪府不動産鑑定士協会
■川畑 雅一 (社)大阪府建築士会
解説者
■久保井 聡明 大阪弁護士会
■植田 卓 近畿税理士会
マンションの概要
・マンション名/「らいふあっぷコーポ」
・建物概要/鉄筋コンクリート10階建・総戸数120戸・築18年。駐車場、駐輪場
・管理形態/全面委託で管理会社から管理員1名が出向
・管理規約/平成9年に標準管理規約に準拠して改正
・管理組合役員/理事10名、監事1名で任期は各1年
・議決権/1住戸につき1議決権
・管理組合の設立経緯/分譲当初は管理組合がなく、2年後の 87年5月に区分所有者有志が管理会社のサポートで設立総会を開催、管理組合が発足した。

【第1場面】受付対応での問題(賃借人の扱い、委任状)

 理事が総会の受付をしている。
 委任状を持たない賃借人が「今日の議案にあるペット飼育細則の設置については、私にも関係があるので参加したい」と登場する。受付担当理事は「委任状がないと出席はできない」と断るが賃借人は納得できない様子。続いて、区分所有者の娘が代理で受付に来たが、委任状を持っていない。委任状の提出を求めると「家族でも委任状がいるんですか?」と聞かれ、理事たちは取り扱いに困る。
解 説
 法律では区分所有者が総会に出席することができるのは当然ですが、それ以外に賃借人等、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、総会の議案に利害関係がある場合には意見を述べることができます。また利害関係がなくても、賃借人に積極的に参加してもらうのは望ましいので、出席してもらう方向で運営することが良いでしょう。ただし、これらの場合は規約であらかじめ理事長にその旨を通知しなければならないとされていることが多いです。
 次に委任状の扱いですが、提出の義務付けは後々のトラブルを避けるためです。例えば、ある問題について「娘に一任した覚えはない」と父親からといわれた場合、それが有効票か無効票かが分からなくなるという事態を防ぐ意味で委任状を出してもらうわけです。
 総会は、区分所有者の権利や義務、また管理費の使途を決める非常に重要なものです。したがってその議決権を行使するために代理人等に委任状の持参を義務付けるのは重要なことで本来は、家族であっても区分所有者以外の人が出席する場合は、委任状が必要です。しかし、今回のように委任状がないから一律に「帰ってください」という対応をしてよいかは難しい問題があります。例えば「今日は出席してください。ただし後で委任状を持ってきてください」と対応するのが妥当だと思います。また委任状を出したが、本人が出席する場合は、本人の出席を優先しますので委任状が無効になります。

【第2場面】開会と議長、書記、議事録署名人選出(議長等の選出、総会の成立)

 司会者の開会宣言により、総会が始まる。理事長のあいさつに続いて議長の選出を行う。議長に承認された理事長に議事進行を交代。
 議長がまず、書記と議事録署名人の選出を行い、候補者を指名して出席者の承認を得る。次に議長が、「当マンションでは1戸につき議決権を1とし、議決総数は120です。本日の出席者議決権数は、委任状によるものが55と本日出席者の35を合わせて90であり、規約第45条に基づき、議決権総数の半数以上出席と認めますので、本総会が有効に成立していることを宣言します」と出席状況の報告と総会設立の宣言を行う。
解 説
 議事録署名者の2名に関しては、規約の48条2項に「議長及び議長の指名する2名の総会に出席した理事がこれに署名押印しなければならない」ということになっています。
次に総会の成立については、「議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない」とあり、これが定足数と言われるものです。議長が「総会が有効に成立している」と宣言したのは、このことを指しています。
 普通決議の要件については、区分所有法では、規約などで別に定めがない限り、「区分所有者及び議決権の各過半数で決する」となっています。つまり、出席した区分所有者の過半数ではなく、全区分所有者の過半数及び全ての議決権の過半数の両方を満たしている場合に議決は成立することになります。
 しかし、実際上この条件で議決を成立するのは厳しいため、標準管理規約では、1.議決権総数の半数以上を有する組合員が出席し(定足数)、2.出席した区分所有者の議決権の過半数で議決できるように定められており、そうしている管理組合が多いようです。
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第7回セミナー&相談会と交流会 2

交流会は、セミナーに参加された方のうち38管理組合の方が参加され、熱のこもった意見交換や経験交流が行われました。 交流会は、6〜7名で課題毎に6グループに分かれ、事務局スタッフが進行役となり、参加者の自己紹介やマンションプロフィールの紹介から始まり、各課題(1.管理組合運営 2修繕関係 3住まい方)を中心に交流が進められました。
また交流会場には、管理組合活動の紹介と広報活動の参考として、登録管理組合の発行した広報紙(誌)やお知らせ、「暮らしと住まいのしおり」等を展示し、自由に閲覧していただきました。
次に、意見交換された内容の一部をご紹介いたします。

意見交換の概要

管理組合運営
●理事の選任については、最初の1年を見習い理事とし、2年目を正理事とすることにより、理事業務の引継ぎや理事会運営をスムースにすることが出来ました。
●総会参加者が減少してきた場合の対策としては、住環境改善や徴収金額の変更など居住者の関心の高い議案があると、総会の出席率が高まります。総会後に懇親会を企画するのもよいのでは。
●理事会運営を女性と高齢者だけで頑張っていますが、今日のみなさんのお話しは、大変参考になります。
●管理会社まかせではいけない。理事会が主体性を持って判断することが大切です。
●高齢者で一人暮しの方が病気になり、役員が付き添い救急車で運びましたが、役員が出来る限度もあり、その対応の難しさがありますね。
●賃貸化や事務所化が進むと管理が難しい。規約と実態とがあっていないし、いろいろ問題を抱えて困っています。
●長年、自主管理で総会を開催せずに書面決議により、大きな問題もなく運営してきましたが、建物も居住者も高齢化が進んでおり、自主管理を続けられるか不安を感じています。
●管理実態を調べ、管理基準をつくり、管理会社5社から相見積りをとり、修繕積立金や管理費を見直しました。
●理事会とは別に事務局を設置して、見積り内容の検討など管理組合業務の一部を行っています。

修繕関係
●信頼できる業者探しとして、インターネットを利用し情報収集しています。
●バリアフリー工事(階段をスロープ化)のきっかけは、車椅子居住者の方の発案です。現在はお年寄りやみなさんによろこばれています。
●修繕業者選定の方法として、小規模な工事を頼んでみて、その出来を見て判断する方法をとっています。
●建物診断を行う場合、建物の外観だけではなく、できるだけ材質の変化も調査した方がよいと思います。
●建物の維持管理は痛みがひどくなってからでは遅い。これでいいのか常に心掛けることが大切です。無関心が一番困りますね。

住まい方
●子供が居る居ないで随分住まい方が違ってきます。普段からのお付き合いでお互いを理解することが大切ですね。そのための日常的なコミュニィティ活動が大切です。
●ペット委員会の構成を飼育者と非飼育者の半々とし、両者の意見を聞けるように運営しています。
●ペット飼育は一代限りとし、写真による登録制度を実施してみたが、うまくいかず、今度は登録料を徴収する案を検討中です
●ペット問題に対応するため、現在ペット規約を作成中です。
 1時間半という限られた時間でしたが、各グループ共、熱のこもった意見交換がなされました。

参加者アンケートでは、ほとんどの方が「大変良かった」「良かった」と答えており、その良かった点として、複数回答で9割の方が「他のマンションの実情がよくわかり、自分のマンションと比較することができた」と答え、3割の方が「直面する問題の対応等について良いアドバイスが受けられた」と答えています。また、次回交流会については、「必ず参加」「内容により参加」と答えた方が9割以上を占め、継続開催を希望されています。参加者の意見としては、「実際の経験によるアドバイスが有益だった」「交流時間が短かった」「同じ規模のグループ分けを希望」「テーマを決めずにフリーに話し合うのも良い」など。

初めての交流会の開催で、設営や進行で手間取ったり途惑うこともありましたが、皆さんのご協力で無事終了することができました。ありがとうございました。
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平成14年度「第7回セミナー&相談会と交流会」報告

恒例となったセミナー&相談会は、今回はセミナーに続いてそれぞれの管理組合の経験と知恵を交換し合う、初の管理組合交流会が開催されました。
セミナーでは、光華女子大学の平田陽子助教授に、マンション管理のソフト面ともいうべきコミュニティ形成について「マンション管理とコミュニティ形成」と題して講演していただきました。

マンション管理の三つの側面

 マンション管理を行うには三つの側面があります。その一つは維持管理(メンテナンス)、これは物の管理です。次に運営管理(マネージメント)があります。いろいろな問題について総会を開いて、マンションの管理方針を考え、決めていく仕事です。そして三つ目が生活管理、コミュニティライフ、コミュニティ形成の問題です。
 マンションにはいろいろな考え方、さまざまな年齢、最近では国籍の違う人など実にさまざまな方が住んでおられます。そういう人たちと人間関係を円滑にしていくためにはいろいろな問題があります。一つ間違うとトラブルになりますので、そうならないためにコミュニティをうまく形成していくことが大事な仕事になります。

管理組合と自治会

 マンションには所有者が作る管理組合という組織と、賃貸者を含めた居住者が作る自治会という2つの組織があります。そこに住んでいる人たちが近隣関係・コミュニティをより良くしたり、生活が円滑に進んでいくようにいろいろなことに取り組んでいく組織、それが自治会です。
 管理組合と自治会との関係はおおむね三つのタイプに分かれると思います。一つ目は、管理組合と自治会がまったく別の組織になっていてそれぞれ別々の活動をされているタイプ。二つ目は、管理組合の中に自治会的な部門があるというタイプ。そして三つ目は、マンションには管理組合しかなくて、地域の自治会に個人単位で参加しているというタイプです。
 マンションは一つの財産という側面もありますが、人間が生活する場でもあります。そこに住んでいて楽しい、ずっと住まい続けようと思うような住まいであることが大事なことだと思います。そのためには愛着を持つことです。
 一戸建てと違ってたくさんの人が住んでいるからこそ可能となる活動があると思います。

自主管理が日本のスタイル

 日本のマンションはヨーロッパに比べると、住民による自主管理という形態が多いように思います。ヨーロッパでは管理者がいて、その人が管理上の判断を下すのです。日本の集合住宅の歴史をみると、昭和30年頃に住宅公団が鉄筋コンクリート造の賃貸アパートを作り始めました。その管理を自治会に任せることになり、それが自主管理というスタイルを定着させるきっかけになったのではないかと思います。
 昭和30年代から40年代の始めにかけて分譲マンションが出てきたのですが、このときにも住民組織、管理組合に管理を任せるスタイルが住宅公団や住宅供給公社のマンションには多かったようです。

コミュニティの活性化が重要

 わが国では高齢化が進んでおり、今後は共同住宅の活性化が問題になります。建物が古くなると同時に居住者の高齢化が進むのは自明のことですが、コミュニティを円滑にして、高齢者にとっても住みやすい空間を作っていくことが非常に大事なことになってくると考えています。
 「集住」という言葉がありますが、マンションの生活は昔の長屋と似た面があるのではないかと思います。長屋には壁一枚隔てて迷惑をかけないように注意しながら暮らすという生活習慣があった集合住宅です。そういう住み方は現代版の長屋というべきマンションでも同じで、お互いの生活を理解しながら、気を遣いながら住むことが必要です。
 お互いの生活スタイルが分かっていれば、深夜の騒音でも許せるという側面があると思うのです。タクシーの運転手さんや看護婦さんだったら、深夜にしかお風呂に入ることができないかもしれません。お互いが分かり合えれば、受け止め方もずいぶんと違ったものになるのです。

コミュニティ形成の事例

 たくさんの世帯があるマンションで快適に住むためには最低限のルール作りが必要です。大阪の南千里のマンションでは、ペットを飼いたいという人がペット委員会を作って自分たちでペットの飼い方のルールを作り、ペットを飼うことを認めてもらったという事例があります。 
 自転車もマンションではよく問題になるところです。駐輪場の不足を共用自転車を持つことによって解決した事例があります。また、各家庭で不要になった本を集め、子供文庫として集会所に常備して貸し出しを行っているマンションもあります。
 玄関の階段をスロープ化してバリアフリーを実現し、お年寄りにも、ベビーカーを押すお母さんにも喜ばれているマンションがあります。また、マンションで週一回、高齢者に対するデイサービスを行っているところもあります。めにコミュニティをうまく形成していくことが大事な仕事になります。

情報の共有化と知恵の交換

 マンションでの生活を快適にするためには「情報の共有化」が欠かせません。管理組合新聞やニュースなどで、今何が問題になっているか、どんなことが話し合われているのかをこまめに知らせ、それが共通認識になっていれば、修繕などを行う際にもスムーズに進めることができます。また、さまざまな経験を管理組合間で交流する、「知恵の交換」も重要です。
 住民それぞれが自分のできるところでちょっとがんばる、面白いからもう少しやってみるということが大事だと思います。
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平成14年度「第6回セミナー&相談会」報告

 恒例となったセミナー&相談会。今回は各管理組合の役員が頭を悩ます「ペイオフ」問題に焦点を絞ってセミナーが開催されました。はじめに、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士でもある足立亜僖子さんに「ぺイオフとは何か」をテーマとして、資金保存の様々な手段についての長所短所などの解説をしていただきました。続いて住宅金融公庫大阪支店まちづくり融資課の横井聡輝さんが住宅金融公庫のマンション修繕債券積立制度を紹介。そしてマンション問題に詳しい弁護士の丸橋茂さんが「管理組合役員の権限と責任」について講演しました。  今日はペイオフ対策として、どんな選択肢があるか、それにはどんなメリット、デメリットがあるかということを中心にお話ししたいと思います。まず、ペイオフについておさらいします。
 金融機関が破綻すると、「1,000万円を超える元本とその利息等については、破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われますので一部カットされることがあります」ということになっています。金融機関は預金者が預けている預金に対して、一定の率をかけた保険料を預金保険機構に納めています。これは1,000万円までの預金を払い戻してくれるという保険です。
 金融機関が破綻しますと、預金保険機構は債務超過額を計算して、預金のカット率を決めます。つまり1,500万円を預金していた場合、1,000万円と、それを超える500万円に分けて考えます。そしてカット率が30%と決まると、1,000万円と、500万円が30%カットされた350万円の計1,350万円が払い戻されるということになります。
 海外銀行や日本銀行の海外支店の預金は保険の対象になりません。また、口座を細かく分けていても「名寄せ」ということが行われ、1預金者につき1,000万円と、その残りはカットされた額が払い戻されることになります。一方、その銀行に借金があった場合は預金と「相殺」することができます。マンション管理組合の預金も一般と同じあつかいです。ただ、預金の名義が理事長さんだった場合、「権利能力なき社団」として認められれば、理事長さん個人の預金とは別にされ、1,000万円までの元本と利息は保障されます。
 さてペイオフ対策として、どのような方策があるか検討しましょう。「資金を1,000万円ずつ複数の金融機関に分散する」。これならすべての資金を守ることができます。しかし、少額ならともかく管理は難しくなります。次は「2003年3月まで、定期預金を普通預金へ一時避難させる」です。2003年3月までは普通預金は全額保護されます。しかし、それ以降は同じです。3番目は「郵便局の郵便振替口座を活用する」です。これは全額を国が保障してくれます。しかし、利子は付きません。
 4番目は「格づけの高い金融機関に預け替える」です。「つぶれないだろうな」という金融機関にお金を集めることです。預金残高が多いと優遇を受けられることもあります。しかし、絶対大丈夫という保障はありませんから、格付け、自己資本比率、預金量の推移、株価などを監視して、経営が悪化してきたなと思えば、すぐに預金を引き揚げられるようにしておかなければなりません。
 5番目は「貸し金庫に入れる」です。安全ですが、利子は付きません。6番目は「積立火災保険」です。積立火災保険は定期預金より金利は高いのですが、保険会社がつぶれれば減額されるのは銀行預金と同じです。損害保険会社のチェックが欠かせません。また、いくつかの保険会社から見積もりを取って比較することも大切です。
 次は「国債・地方債を買う」です。償還まで持ち続ければ国や地方自治体が支払いを保証してくれます。しかし途中で売るとなると、市況によって元本割れということもあり得ます。8番目は「保護預かり専用の金融債を買う」です。債券を銀行が保管するもので、1,000万円とその利息は保障されますが、途中で解約すると手数料を取られます。金融機関によって商品名が違うので注意が必要です。
 ペイオフ対策には、これが一番良いという方法はありません。ペイオフを気にする前に、もっと重要な問題があります。管理組合の預金の名義が、理事長さんの名前になっているのかどうか。管理組合の中には、管理会社の名義になっているというケースがかなりあるようです。管理会社がつぶれてしまったら、このお金はまず返ってきません。
 ただペイオフについては、これからもいろんな動きが出てくると思います。機敏に動けるように常にアンテナを張っておいてほしいと思います。  最近、株主代表訴訟が増えています。株主が経営者の責任を問うために訴えるという事件ですが、管理組合でも役員が違法行為をすれば訴えられるのか、そんな認識が出てきたのではないかと思います。そこで、株式会社との比較で管理組合役員の責任について考えたいと思います。
 株式会社の役員、機関は4つあります。代表取締役、取締役、取締役会と株主総会です。管理組合は区分所有法で、管理者と集会の2つだけです。法律上で言えば、集会の決定事項以外は、管理者(理事長)が勝手に決めていいことになっています。しかしそれでは理事長さんも組合員も不安でしょうから、理事さんを何人か選んで理事会を作り、大事なことは理事会で決定するということになっているんです。ただし、理事さんの権限については法律上は何の規定もありません。
 株式会社の代表取締役には代表執行権、業務執行権というものがあります。代表権というのは「俺が会社なんだ」と言える権利のことです。つまり社長は事実上、対外的には何をやってもいいということになっています。それはマンンションの管理者も法律上は同じです。しかし、内容は全然違います。
 株式会社なら会社運営のために遠隔地の土地を買うこともありますが、管理者はマンションの共用部分の管理のためにある機関です。マンション以外の遠隔地の土地を買うということはあり得ません。管理組合はその目的が制限されているので、その制限を越えていれば無効になります。 会社と役員の関係は「委任」ということになっています。この場合、民法644条に「善良なる管理者の注意義務を負う」ということになっています。これを「善管委任」と呼びます。管理組合の理事さんには、特別な決まりはありませんが、民法の規定を準用するということになっていますので、この「善管委任」による義務が生じるということになります。つまり、委任された以上は、いいかげんなことはせず、仕事を一生懸命にやらなければならないという義務があるということです。ただし「あの理事長や理事が気にいらない」「能力がない」という理由で、更迭されるということはありません。管理組合の役員が不正なことをした場合、それを是正する手段は限られています。管理組合が役員を訴えることはできます。区分所有法では集会で原告となる者を指定できると規定しています。理事長さんを訴える場合でも、集会での決議が必要です。
 ところで、お金が使われてしまった後に、役員に対して直接賠償請求というのは管理組合の場合は難しいといえます。管理組合の場合、露骨な背任行為、横領がなければ、責任を追求されることはないと考えていいと思います。  マンション修繕債券は毎年1回公庫が募集する、利付の10年債で「マンションすまい・る債」と呼んでいます。10年間継続的に購入いただく積立債です。今年は、7月2日から10月11日まで郵便で受け付けています。1口100万円で45,000口、450億円を募集していますが、口数の制限はありません。
 特徴は「元本確実保証」です。2番目の特徴は「国債並みの運用利率」、年平均1.396%の利率です。3番目は途中換金されても、元本割れのリスクがないことです。国債なら市場動向によって元本割れのリスクもありますが、この積立債権は、第1回の債券購入から1年以上経過していれば、公庫が全て買い戻します。また、途中でやめたことに対するペナルティはまったくありません。
 住宅金融公庫は独立行政法人に移行することが決まっていますが、その債権、債務は適切に継承されることになっていますので、まったく心配はありません。