平成23年度「大規模修繕工事見学会」報告

2011年11月6日開催

●2 度目の大規模修繕工事で、さらに丈夫に快適に

 11 月6 日、大阪市阿倍野区のユーロハイツ文の里管理組合のご協力により、「大規模修繕工事見学会」( 主催: 大阪市マンション管理支援機構) を開催しました。ユーロハイツ文の里はJR 阪和線美章園駅から徒歩3 分の交通至便な地に建つ、築28 年、総戸数23 戸の分譲マンション。完成間近の大規模修繕工事現場には多くの参加者が訪れ、工事の様子を熱心に見学されました。

●努力とパワーで取り組んだ修繕計画

 ユーロハイツ文の里は1983 年竣工の後、2002 年に1 回目の大規模修繕工事をおこない、今回は2 回目の大規模修繕工事になります。工事は、劣化の進んだ躯体の修繕、シーリングの新設、内外壁や鉄部の塗装替などが中心で、これらを補修することで、さらに耐久性を高め、丈夫で外観も美しいマンションに衣替えすることを目的としています。
 現場の見学に先立って、ユーロハイツ文の里管理組合理事長より、今回の修繕工事に当たっては、2 年前の9 月に修繕委員会を立ち上げた後、大阪市の分譲マンションアドバイザー派遣制度を活用して勉強会を実施し、努力とパワーで最終的に現在の設計監理者および施工者と契約を結ぶに至った経緯を説明。それを受けて、設計監理者および施工者から、工事の具体的な内容をはじめ、補修の工法や工事の流れ、品質管理、安全管理などについての詳しい解説がありました。

●興味の尽きない工事現場の見学

 その後、参加者全員が3 班に分かれての見学会に移り、関係者の説明を受けながら、実際に工事中の補修現場の様子を見学しました。中でも、外壁塗装工事や塗膜防水工事での塗布量の確認方法や、カラースプレーを使用した補修箇所のマーキング、外壁塗装工程(下塗り、中塗り、上塗り)ごとの色替えなど、誰にも分かりやすい品質管理のやり方には皆さんも興味津々。見学の先々で、突っ込んだ質問が飛び交っていました。また、傷んだ目地や水回りへの耐久性の高いシーリングの施工や、外壁や天井部分のコンクリートの中性化に対する予防的措置、廊下照明のLED への転換、さらには打診棒によるタイルの浮きの検査方法など興味の尽きない内容に、参加者一同熱心に見入っておられました。
 今回参加された方の中には、それぞれのマンションで近々大規模修繕工事を控えていたり、修繕に対する具体的な知識を得たいとお考えの方も多く、終了後には「実際に役立てられそう」「参加した甲斐があった」「今後の参考にしたい」と好評の声が相次ぎ、とても有意義な見学会となりました。

<見学マンションと工事の概要>

ユーロハイツ文の里(大阪市阿倍野区文の里)
鉄筋コンクリート造
地上7 階
総戸数:23 戸
竣工年:1983 年
工事内容(1)仮設工事
(2)躯体修繕工事
(3)シーリング工事
(4)内外壁等塗装替工事
(5)鉄部等塗装替工事
(6)防水工事
(7)その他改修工事
(8)環境改善工事
工 期2011年8月22日〜12月10日予定

「マンション管理フェスタ2011」報告

防災情報も充実!平松市長もかけつけました。

   9 月4 日、賛助団体や協力団体等の支援を得て、第3 回目の「マンション管理フェスタ」を開催しました。当日は台風通過直後の不安定な天候にもかかわらず、280 名もの方々が参加され、発表会、講演のほか、専門家とのおしゃべりやマンション管理に役立つ情報コーナー、クイズラリーなど盛り沢山のプログラムをお楽しみいただきました。会場には大阪市の平松市長も訪れ、「私もマンションの住民。コミュニティの輪を拡げて『人の都 大阪市』をみんなで実現していきましょう」と挨拶。防災用品の展示にも関心が集まり、ご来場の皆様に改めて防災に対する意識を高めていただく有意義なひとときとなりました。

≪発表≫ フェスタで発表会!

フェスタで発表会! メインステージでは、「ローレルハイツ北天満」の皆様による太鼓演奏と、「エバーグリーン淀川」の皆様による日本舞踊とフラダンスが披露され、色鮮やかな衣装をまとった出演者の見事なばちさばきや優雅な踊りに大きな拍手が寄せられました。

≪講演≫ マンション管理と災害に強いコミュニティ作り
−東日本大震災をふまえて−

今回は、千里金蘭大学の藤本名誉教授が東日本大震災直後に視察された体験を基に、現地の分譲マンションの被災状況や当時の対応、災害に強いコミュニティ作りなどについてご講演。多数の写真をまじえての臨場感あふれるお話に、参加者の皆様は熱心に耳を傾けておられました。

専門家とお話してみませんか?!

大阪市マンション管理支援機構の専門家と自由におしゃべりできるコーナー。この機会を利用して、多くの参加者が専門家の方々とそれぞれいろんな相談やお話をされ、「役に立った」「来てよかった」と好評でした。
●大阪弁護士会
●大阪土地家屋調査士会
●近畿税理士会
●大阪司法書士会
●( 社) 大阪府不動産鑑定士協会
●( 社) 大阪府建築士会

マンションの取り組み紹介

津波想定避難訓練やコミュニティ活動など、マンションのユニークな取り組み事例がパネルでわかりやすく紹介されました。 

防災グッズ展示コーナー

東日本大震災を教訓に、「防災かまどベンチ」や「非常用飲料水生成システム」をはじめ、様々な防災グッズの展示が注目の的に。ここでも、来場者の防災への関心の高さがうかがえました。
●日本赤十字社大阪府支部
●大阪市消防振興協会



映像で見る、管理組合応援コーナー

災害対策、大規模修繕、建替え事例、超高層住宅まど、マンションに関する様々なビデオをご覧いただきました。

平成22年度「管理組合交流会&相談会」報告

会場での様子

分譲マンションの管理組合には、それぞれに様々な問題が発生します。管理組合の皆様が他の管理組合と情報交換を行い、今後の組合活動の参考としていただけるよう、交流会を開催いたしました。当日の参加者は23名。各グループでは、マンション管理の専門家による進行のもと、管理組合1年目の方から経験豊富な方まで、活発な意見交換が行われました。

 最後に、各グループから意見交換の内容の発表があり、コメンテーター(弁護士、建築士)から交流会の総括をしていただきました。その中で、マンションを長持ちさせるためには、人間が定期的に健康診断を受けるのと同じように、建物の点検・修繕を計画的に行っていくことが大切であることや、管理会社に任せきりにするのではなく、管理組合が主体となって自分達の財産を守っていく気持ちを高めることが重要であるとの話がありました。

平成22年度「マンション管理の基礎知識」基礎講座報告

  2010年度「基礎講座&相談会」報告  

開催日時:2010年11月6日(土)・13日(土)・20日(土)

11月6日(土)   11月6日に開催された設立10周年記念パネルディスカッションのテーマは「マンション管理を考える」。
これまで寄せられた相談の中から特に多かった事例について、マンション管理支援機構常任委員の専門家が様々な角度からディスカッションしました。

基調講演1 管理組合運営についての諸問題 [ソフト面の問題点]
管理組合運営についての諸問題 [ソフト面の問題点] 講師

滞納問題の予防にマニュアルづくりを
(講師)
大阪弁護士会
木野 達夫

区分所有者全体で構成される管理組合は、マンション管理の主体であるという意識が必要です。また管理組合では、始めに理事を選び、その中から理事長を選んで運営しますが、 区分所有者の総意が活かせる体制づくりが必要です。
管理規約はマンションの憲法のようなもので、強い効力を持ちます。 そのマンションにおけるルールが分かりやすく書かれていることが大切です。 管理規約の変更には全区分所有者の4分の3以上と議決権の4分の3以上の賛成が必要ですが、規約の精神に反していなければ、2分の1以上の賛成で成立する使用細則に定めることもできます。
「マナーの悪い区分所有者から違約金を取りたい」という相談がよく寄せられます。管理規約で規定されていればそれも可能ですが、どの程度で警告するか、強行措置を取るかは、 理事会や総会でよく話し合われたほうがいいと思います。悪質な区分所有者に対しては法的手段を取ることもできます。 管理費の滞納問題は予防が大事で、スムーズな督促活動をするためにも、1か月遅れたらこうする、2か月遅れたらこうするといったマニュアルの作成をお勧めします。
また、管理会社に対する不満もよく聞きますが、まず契約内容を確認しましょう。約束ごとが履行されていない場合は強く主張できます。管理組合と管理会社は契約関係であることを意識しておくことが重要です。

 

基調講演2 管理組合運営についての諸問題 [ハード面の問題点]
講師 長田 康夫(おさだ やすお)

情報発信と進捗状況の開示でトラブルを回避
(講師)
社団法人 大阪府建築士会
西野 宏

  大規模修繕の流れに沿ってポイントをお話しします。
まず、建物診断と居住者アンケートで建物の現状を把握します。修繕が必要かどうかは早く判断しなければ手遅れになりますので、的確に手を打つことが重要です。 次に、どの部分をどのように直すかを検討します。新しい建築技術や材料にシフトしていくこともマンションの評価を下げないために必要なことです。総会で工事の合意をとりますが、 意見を集約し合意を取ることは理事会の大きな役目です。
また、常に情報発信や進捗状況の開示を行っていれば、トラブルを回避することができます。工事予算を確認し、詳細な設計図を作ったら、公募の上、数社から見積りを取り、 技術力と経験の豊富な施工会社を選んでください。契約時にはコンサルタントに支払条件、工期、近隣の関係などを記載した現場説明事項を添付してもらいましょう。 工事内容、金額などは総会で決議し、資金の出し入れについてもきちんと決議してください。その後、住民説明会などの手順を踏んで工事に入ります。 「言った、言わない」と後でもめないためにも、施工側と施主側(管理組合)の進捗状況の打ち合わせの内容は、必ず文書化します。 一方、壁の内側など、事前調査で分からなかった部分に問題が発生することがあります。追加工事、追加金額が必要になるので、事前にコンサルタントや業者と相談し、 資金計画には余裕を持っておくことが必要です。また設備の入れ替えが必要となるおよそ25年目以降の修繕では多額の費用が必要となりますので、計画的な修繕計画が重要となります。
パネル
ディスカッション 管理組合の主体的な管理で資産価値も向上

【参加者】
〈コーディネーター〉
川畑 雅一氏(社団法人大阪府建築士会)

〈パネリスト〉
木野 達夫氏(大阪弁護士会)
西野 宏氏(社団法人大阪府建築士会)
沖 健補氏(大阪司法書士会)
笠井 靖彦氏(社団法人大阪府不動産鑑定士協会)
和田 淸人氏(大阪土地家屋調査士会)
吉岡 哲史氏(近畿税理士会)
清水 明氏(独立行政法人住宅金融支援機構まちづくり推進部)

講師 長田 康夫(おさだ やすお)
  ●「公正」「透明」な管理組合運営と滞納対応のマニュアル化
川畑マンション管理の諸問題について、ソフト面とハード面から、パネリストの皆さんにお話しいただきたいと思います。 まず、ソフト面について、マンションの理事長も経験されたことのある和田さん、お願いします。
和田私が理事長の時に心がけたことは、「私自身も区分所有者のひとり」ということです。また、「理事会が勝手に決めた」と言われないために「公正」「透明」をキーワードにしました。 私のマンションでは不法駐車の常習者に警告の紙を貼ったら逆にこちらが怒られたことがありました。しかし、私の代で決着をつけようと覚悟し、管理規約や駐車場使用細則のコピー、 本人が印を押した管理規約の同意書、区分所有法のコピーを添えて、「駐車をやめなければ不本意ながら法的な手段をとらざるをえません」ということを書いて投函したところ、解決しました。 区分所有者には、自分の財産を守るためにもっと管理に関心をもっていただきたい。それを継続的に発信するのが理事長の役割と考えています。
木野すばらしい心がけですね。理事や理事長に対する不満は、見えていないところで勝手にやっている、と思われるのが原因でしょう。 総会で決めるべきことを理事会で決めることは法に反しているので、重要事項は理事会で決めてしまわないよう、注意したほうがいいですね。迷うときは「原則として総会で決める」という運営が大事だと思います。
管理組合の資金管理の面ですが、「修繕はしたいがお金が足りない」という話をよく聞きます。築年数の古い、また大規模なマンションの多くは資金を持っていますが、 心配なのは新築分譲で、売る時に管理費と積立金の設定を低くしている業者がいることです。将来、修繕費が足りなくならないよう、資金計画は計画的に行ってほしいですね。
川畑資金に関して専門の立場である吉岡さん、資金を管理、運用する点で留意することはどのようなことでしょう。
吉岡管理費や特別修繕費等には消滅時効がありますから、1か月でも滞納がある場合は厳しく対応して、滞納がないよう心がけることが大事です。 管理費等の保管は信用できる金融機関を探し、1社だけでなく分散して防衛策をとっていただければと思います。共有部分についての火災保険や地震保険、 マンション総合保険といった保険に当てるのも資産運用のひとつです。住宅金融支援機構さんで扱っているマンションすまい・る債は金利もつきます。綿密に計画を立てても、 修繕費が足りない場合は管理組合向けのローンもあるということを知ってほしいですね。 清水すまい・る債は、修繕積立金を安全に積み立てていただくために、平成12年より発行しています。評価していただいている最大のポイントは安全性です。 現在(平成22年度募集分)は、10年満期まで預けた場合の利回りが0.563%。大口定期のプラス0.1%くらいです。分散化は一般的に必要だと思うので、一考いただければと思います。 全国の管理組合の1割くらいが利用されています。
川畑修繕積立金は滞納という問題があります。弁護士としてのご意見を伺いたいと思います。
木野滞納は予防が大事です。1か月遅れたら手紙を入れる、2か月遅れたら理事が複数で訪問する、3か月目はこうする、 というマニュアルを明確に作っておくと躊躇せずに行動に移せます。様子を見ようか、と言っている間に、気がついたら1年となってしまいます。法的手続きは何種類かあり、ひとつには調停があります。 裁判まではいかずに話し合い、裁判所から督促状を送ってもらう方法もあります。少額訴訟という簡易な訴訟も比較的使い勝手がいいのですが、判決が出ても回収は容易ではありません。 ですから、予防が大事なのです。また、管理組合と管理会社の役割分担を決めておくことが好ましいと思います。
和田理事会として大事なことは、区分所有者全員と管理会社に対して、滞納は絶対許さないという姿勢を発信することだと思います。私たちは管理会社に対して、 基幹事務は会計と出納と長期修繕計画の3つであり、お金のことを頼んでいるのだから滞納を何とかしてください、とお願いをして、結局2年くらいかけて大口と中口の滞納を全額回収してもらいました。 こういう姿勢を貫き通すことによって、管理会社が契約内容以上のことをやってくれた事例です。
笠井木野先生のマニュアル化に大賛成です。滞納には、「うっかり残高不足になってしまった」ものと、「ない袖は振れない」というものがあります。「ない袖は振れない」の場合は、 厳しい選択ではありますが競売の申し立てをするしかありません。競売で決着がついたら落札者から必ず、滞納分をいただいてください。本来の金額から滞納分の金額を引いた金額で売り出しをかけるので、 「引いてもらった分は返してください」と言えます。「ちょっと負けて」と言われるかもしれませんが、「裁判所は滞納分を引いているはず」と、管理組合は言うべきです。
ぜひ利用していただきたい機関をご紹介します。大阪市中央公会堂の近くにある弁護士会館の1階に、全国初の総合紛争解決センターができました。 ADR法に則ってできた調停機関です。これは非常に便利で、裁判外ですから気安く行くことができ、専門家が3人ついて相談に乗ります。
パネルディスカッション

●資産価値を高めるバリューアップ工事
川畑では次に、ハードの問題に移りたいと思います。住まい情報センターにも、大規模修繕について多くの相談が寄せられています。 大規模修繕と資産価値はどのような関係にあるのでしょうか。
笠井私は皆さんのマンションの価値を鑑定する立場です。中古マンションが新築マンションよりも高いということは、よほどのことがない限りほとんどないと思いますが、 しっかりした管理をしているマンションは値下がりが少ないと言えます。それは、適切な時期に適切な修繕を行った、あるいは適切な修繕を行いうるマンションです。そのためのキーワードは3つ。 (1)修繕積立金が積み上がっているか、(2)滞納はないか、(3)居住者の高齢化が進んでいないか、です。 特に、築年数が経過するとともに居住者が高齢化すると、年金生活者が増えます。年金生活者にとって一時負担金は負担しづらいものです。2回目、3回目の修繕にはお金がかかるということを念頭において、 綿密な修繕計画を立ててください。駐車場収入を修繕積立金にするというのもひとつの方法といえます。
西野大規模修繕では、「コンサルタントをどう探すか」という話が必ず出てきます。コンサルタントには、設計を監理し、マンションについてアドバイスができる、 経験を積んだ方が適切だと思います。探す方法は、公募をする、知人にコンサルタントがいれば検討する、周辺で大規模修繕をやっているマンションの管理組合に問い合わせる、の3つくらいです。 コンサルタントは、情報を集めて新しい建材や工事方法をマンション側に提供するという、非常に労力のいる仕事を行います。コンサルタントへの委託料の考え方はいろいろありますが、 一般的には工事費の7〜8%くらいと言われています。
川畑長期修繕というのは、現状を維持するに留まらず、マンションの価値をさらにアップするバリューアップのための資金計画も必要になってきますね。
清水私どもは昭和60年から共用部分リフォームの融資をしており、バリューアップ工事もあります。資産価値を高めるという観点に立った場合、IT化、耐震、 断熱などいろいろ要素はあると思います。それから共用部分の集会室、ごみ置き場、駐車場もそうですね。駐車場の例で言うと、最初は機械式駐車場だったが車の利用が減り、 メンテナンスの費用がかかるという場合があります。原状回復ではなく、メンテナンス費用がかからない自走式駐車場にするというのは、一歩踏み込んだ修繕だと思います。このように、 当初は予想していなかったことが必要になることもあると思います。急なことで積み立てがない時、ひとつの方法として「借り入れを活用しては」というのが私どもの提案です。
川畑マンション管理には様々な問題がありますが、主体はあくまでも管理組合であるという意識が必要であると思います。ディスカッションの内容が、 皆様の問題解決のヒントになれば幸いです。本日はありがとうございました。

11月13日(土)  

講座1 犯罪被害にあいにくいマンション

犯罪防止の4原則「光・目・時間・音」 (講師)
NPO法人大阪府防犯設備士協会
副理事長 清水 啓介

大阪府下における平成21年度の住宅対象侵入窃盗(空き巣・忍込み・居空き)の発生件数は5838件。1日換算にして約16件もの窃盗事件が発生しており、全国ワースト3位になります。 そのうち空き巣が4626件を占め、空き巣だけで被害総額は約28億円にも及びます。発生場所は、戸建てが56%、中高層住宅が26%。侵入方法と侵入場所については、戸建ての場合はガラス破り、 戸締まり忘れが多いのに対して、マンションの場合は大半が玄関の鍵を開けて入るという方法です。さらにどの住戸も同じ種類の鍵であるため、開ける手順が分かると横並びの侵入が可能となり、 被害が大きくなってしまいます。またマンション1階のバルコニー側は、施錠されていても足がかりがあったり、植栽などで死角ができたりします。 最上階であっても、屋上への通路が施錠されていないと屋上からバルコニーに侵入されるおそれがあります。
 犯罪防止には「光・目・時間・音」の4原則があります。具体的には、ライトで照らす、防犯カメラで監視する、防犯建物部品によって侵入しにくくする、 セキュリティシステムで警報音を鳴らすといったこと。なかでも5分以上かかると、7割の侵入犯があきらめるというデータがあり、侵入しにくいドア構造、建物構造がいかに大事かが分かります。
 防犯対策として、ハード面では、まずしっかり戸締まりをすること。次に補助錠やピッキングに強い鍵などの防犯建物部品、テレビドアホンなどの防犯システムを導入すること。 「侵入に5分以上耐え得る」ことを認定されたCPマーク付の建物部品もおすすめです。ソフト面では、近所での声かけ運動、見回りが有効です。
 最後に防犯モデルマンション登録制度について。大阪府防犯協会連合会認定の一級建築士と防犯設備士の審査により、犯罪にあいにくい構造、設備の基準を満たしていると認められるマンションを登録する制度であり、 是正すべき点のアドバイスも行っています。また大阪府防犯設備士協会が無料の防犯診断を実施しています。
講座2 管理規約の解釈、改正等について

トラブルを起こさないために きっちり決めて、しっかり伝える。 (講師)
大阪市立住まい情報センター
マンション管理相談員 宇都宮 忠

分譲マンションでは隣人同士が気持ちよく生活するためには、役員選出、ペット問題、駐輪場問題などについて管理規約や細則に定められたルールを守っていただく必要があります。 国土交通省からは標準管理規約が示されていますが、役員資格の見直しなどが近々行われる予定となっています。
現時点で、役員資格は、「現にそのマンションに居住している組合員」に限定されています。組合員の配偶者や賃借人は当てはまりません。建て替え推進決議をめぐって役員資格に関する訴訟が起きている例もあり、 注意が必要です。
しかし、組合員は仕事で参加できず、理事会に出席するのは配偶者という実状も多々あります。そこで、できるだけ居住組合員が役員になることを大前提に、 規約の変更によって役員の資格拡大を図るという方法もあります。平成20年の国土交通省の調査では、拡大範囲は同居配偶者や親族まで、同居の親族は成年に達した一親等までとしているところがほとんど。 役員任期は1年か2年の輪番制で、規約の但し書きによって留任を認めているケースが多いようですが、歯止めは必要と考えられます。
次にペット問題。ペットは生き物であり、簡単に解決できない問題です。最近の新築マンションではペットOKのところも増えてきていますが、勝手な飼育方法では他の住民に迷惑がかかりますし、 実際のところ苦情が出ているケースも多いようです。飼ってはいけないにしろ飼っても良いにしろ、きちんとしたルールを作り、それを守ってもらうことが重要です。ルールとしては、 (1)飼育禁止、(2)一代限りにつき承認、(3)登録などの一定条件に限って認めるという3つがあり、アンケート等で住民全体の考えを把握したうえで検討を進め、 掲示板や広報誌を利用して日頃から飼育のルールを周知しておくことが大事です。
最後に駐輪場と駐車場問題です。どのマンションでも家族が増えると自転車も増える傾向にあり、通行の邪魔になるといった問題が起きています。自転車置き場の利用料金を取っているマンションも多く、 有料にすることで一世帯あたりの台数が制限できるというメリットがあります。整備にあたっては自転車置き場の増設も考えられますが、共用自転車の活用も考えられます。
機械式立体駐車場は多くの維持管理費用がかかり、受益者負担を原則として、耐用年数からみた駐車場料金を一度検証してみる必要があるでしょう。

11月20日(土)  

講座1 マンションの資産を守るために

さまざまなリスクを想定し 情報を集めて対策を立てましょう。 (講師)
NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
溝部 理恵

 リスクを回避し、安全に生活を送っていただくために、マンション資産の守り方についてお話をします。
まず修繕積立金ですが、マンション管理組合理事長名で通帳をつくり、一つの銀行に多額の定期預金を預けておられる組合も少なくありません。 しかし、先日のペイオフ発動という事態になった場合には1000万円までしか弁済されません。一方当座預金等の決済性預金といわれるものは全額戻ってきますので、 両方を抱き合わせで持っておくことはひとつのリスク回避となります。分散することも大事です。1000万円以内を複数の銀行に預けておけば、怖れることもないわけですから。
では、リスクにはどんなものがあるのでしょう。まず倒産リスク。マンションの管理会社や建築設計事務所が倒産すると、あとあと面倒なことになります。資産を投資しているなら、 インフレや信用リスク。直接影響のあるものでは、災害リスクや建物劣化リスク。一番大変なのは滞納リスクで、将来の予定の変更を余儀なくされることも。 住環境の変化による市況変動リスクも考えておく必要があります。
マンションは個人の集まりで、いろいろな考え方をお持ちなので、まとめるのは大変な作業なのですが、こうしたリスクを納得してもらい、企業情報をつねにチェックして時には資産の保管場所を動かしたり、 万一に備えて損害保険を掛けたり、滞納者に法的措置を施す手続きを決めておいたりと、管理組合としてはさまざまな対策を講じていくことが大切なのです。
講座2 吹付アスベスト除去等補助制度

含有調査と対策工事の費用を大阪市が支援する制度です。 (講師)
大阪市計画調整局
建築指導部 黒川 寛浩

吹付けアスベストの有無を調べるには、まず建物の内外を見て、手で触ると崩れるようなものがあるかどうかを探し、あれば建物が建った時期や製品から確認してください。 一般的には耐火被覆材として、倉庫や駐車場、玄関扉横のメーターボックス、エレベーターシャフトやタワーパーキング内によく見られ、また、防音材・断熱材として機械室や電気室に使われていることもあります。 製品名などが分からなければ、専門機関による含有調査が必要です。その結果、アスベストがあると分かった場合には、除去、封じ込め、囲い込みといった対策工事が必要です。
大阪市では、露出した吹付け材等の含有調査や対策工事の費用を補助するアスベスト除去等補助制度を設けています。対象となるのは多数の方が利用する部位や共用部位、 メンテナンスで出入りする機械室・電気室で、調査は全額かつ上限金額(1試料あたり10万円、3試料以上25万円)まで、対策工事は3分の1かつ上限金額(戸建住宅20万円、 その他100万円)まで費用を補助します。補助には事前に現地確認が必要なのでご連絡ください。
講座3 築20年からの大規模修繕工事

100年持たせる強い思いで 長期計画を立てることが大切。 (講師)
社団法人大阪府建築士会
今井 俊夫

 2回目の大規模修繕工事をいまからやろう、でもどうしたらいいのか? そういう待ったなしの課題を持っている方も多いと思います。しかし、今日はわかりやすい内容で、できるだけ問題提起していこうと思います。
まず、2回目の大規模修繕工事で必要なことは、コミュニティを活用することと、少子化・高齢化への対応を踏まえた工事内容とすること。また今後20年、30年を見越した計画を立てることです。 おおまかなもので構わないので、建物維持管理に関して、築50年を見据えた、長期計画があるということが大切なのです。
実質的な修繕積立金は、一戸あたり月1万円は最低ライン。できれば駐車・駐輪場使用料、管理費余剰金繰り入れなども含め月1万3000円を確保します。 2回目の大規模修繕工事の費用は、1回目をきっちり行えば案外少なくてすみます。逆に1回目をなおざりに行えば2回目はかなり厳しくなります。長期修繕計画を踏まえて、 その範囲であわてずに、適切な修繕をやっていくということが重要なのです。
では、マンションはどのくらい持つのか。重要なのは「どれくらい持たせたいか」という意識です。たとえば、法隆寺は世界で一番古い木造の建物で、築後1300年以上経っています。 これは、棟梁が近くに住んで毎日見回って直す。50〜60年に1回、瓦の修繕をしたり、約400年ごとに解体修理という大規模修繕工事を繰り返す。斑鳩の人たちがこの寺を誇りに思い、 「持たせよう」としてきた結果です。同様に、マンションも、住んでいる人たちに建物を持たせる意志があり、適切な修繕をおこなえば、100年以上充分持つのではないかと、私は思っています。

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平成22年度「大規模修繕工事見学会」報告

「大規模修繕工事見学会」報告
約10年ごとの大規模修繕工事で長く快適に住まえるマンションに
7月31日、大阪市住之江区の新北島コーポ管理組合のご協力により、大規模修繕工事見学会を開催しました。新北島コーポは、地下鉄「住之江公園」駅から徒歩8分、4棟から成る総戸数435戸の分譲マンション。竣工から34年が経過し、今回で3回目の大規模修繕工事となります。 現場のようす

●丈夫で長持ちするマンションに

 新北島コーポでは入居開始から30数年が経過し、これまで定期的に大規模修繕が行われています。それでも経年により外壁やコンクリート躯体、バルコニーなどの劣化が進行。3回目の大規模修繕工事は、これらを補修し、丈夫で長持ちするマンションへのオーバーホールが目的です。
 現場見学にさきだち、新北島コーポ管理組合の服部副理事長が、「コンサルタントの先生からアドバイスを受けながら抜本的な改修を進めています」と挨拶。続いて施工会社から、工事の趣旨や流れ、安全管理、補修工法などが説明されました。
 また、今回の工事では、計画段階で分からなかった部分的な鉄筋の腐食が、施工中に発見され、急遽、特殊工法を用いた補修を追加するというハプニングも。見学会でも特殊工法や、鉄筋コンクリートの劣化のメカニズムについての解説に時間が割かれました。

●実践的な現場見学に参加者も納得

 工事の見積り方法や耐震検査などへの質疑応答の終了後は、いよいよ3班に分かれての現場見学です。建物に入ると、壁の随所に緑や黄色のマークが。「ヒビ、浮きなど、補修部分の種類を色分けしている」との説明に、「これは分かりやすい」と感心の声が上がります。
 また、コンクリートの小さなヒビ割れと大きなヒビ割れとで、それぞれ異なる方法で補修している現場を見たり、「モルタルの浮き」を叩いて音を聞き、浮きが発生している部分への注入作業をすぐ傍で見学するという実践的な体験は、参加者がそれぞれのマンションで大規模補修工事を実施する際の良い参考になった様子。

 見学後の質疑応答では、工事費用や居住者の属性など具体的な質問があり、工事費用は1世帯当たり約60万円であること、また300人前後の高齢者が居住しており、高齢化社会を象徴するような年齢構成になっていることなどが紹介されました。
 今回の参加者には、同じような課題をもつ管理組合の皆さんも多く、関心の高さと前向きな姿勢が印象的な見学会となりました。

<見学マンションと工事の概要>

新北島コーポ(大阪市住之江区新北島)
1、2号棟:鉄骨鉄筋コンクリート造・11階建
3、4号棟:鉄筋コンクリート造・7階建
管理事務所棟:鉄筋コンクリート造・2階建
総戸数:435戸
築35年(1975年竣工)
工事内容(1)躯体修繕工事
(2)シーリング新設打替工事
(3)外壁等の塗装替工事
(4)鉄部等の塗装替工事
(5)バルコニーなどの防水工事
(6)その他改修工事
工 期平成22年2月20日〜平成22年9月20日予定 施 工 (株)カシワバラコーポレーション

平成21年度「基礎講座&交流会&相談会」報告

2009年度「基礎講座&交流会&相談会」報告

会場の様子分譲マンション管理組合向けセミナー。
基礎講座では、適正に管理組合運営を行うための基礎知識を分かりやすく学びます。また日頃の管理組合運営で発生する問題や悩みを語りあう交流会と、個別の問題を相談する相談会も開催しました。
開催日時:
2009年11月1日(日)・14日(土)・28日(土)

7月12日(日)
  平成20年度マンション総合調査からみるマンションの最近の現状、管理規約を見直すべき項目や見直すときの注意点、そして管理会社との上手な付き合い方をテーマに開催しました。  

講座 平成20年度マンション総合調査からみえてくるもの
講師 長田 康夫(おさだ やすお)

国が行ったマンション調査です。
管理組合運営の参考にしてください


(財)マンション管理センター
講師 長田 康夫(おさだ やすお)


 昭和55年度から始められたマンション総合調査です。
ほぼ5年に一度おこなわれており今回で6回目、前回は平成15年度に実施されました。管理組合と区分所有者へのアンケート結果となっており、マンションの管理状況や意識などが調査されました。 ●世帯主の年齢  「60歳代」が26.4%で最も多く、次いで「50歳代」が24.1%、「40歳代」が22.9%、「70歳以上」が13.0%、前回と比べ高齢化しています。 ●永住意識  「永住するつもりである」が49.9%。「いずれは住みかえるつもりである」が19.4%で、永住意識が高くなる傾向にあります。 ●管理費の滞納状況   3カ月以上滞納している住戸がある管理組合が38.5%。築年数、規模が大きくなるほど滞納住戸のある管理組合の割合が増えています。 ●長期修繕計画の作成状況   前回と比較すると長期修繕計画を作成しているマンションは78.1%から89.0%へ増えています。長期修繕計画の作成はかなり浸透してきています。 ●建替えの必要性   「建替えが必要である」は3%程度ありますが、「建物が相当老朽化または陳腐化しているが、修繕工事または改修工事さえしっかり実施すれば建替えは必要ない」と考える方が24.9%です。 ●専門家の活用状況   専門家を活用している管理組合は43.6%。このうち建築士の活用が一番多く、22.7%です。マンション管理士の活用は13.1%、「活用していないが知っている」が40.2%で認知は進んでいますが、まだまだ不十分です。
このほか、マンション居住の状況、マンション管理と管 理事務委託の状況、建物・設備の維持管理状況につい ての様々な項目について調査報告がなされています。

「平成20年度 マンション総合調査結果」はこちらから
講座 管理規約見直しにおける注意点
講師 宇都宮 忠(うつのみや ただし)

ぜひとも改正していただきたい
項目を紹介します


マンション管理専門相談員
講師 宇都宮 忠(うつのみや ただし)


国土交通省が策定をして公表している標準管理規約は、区分所有法の改正等を踏まえ、平成16年1月に改正しています。平成16年以降、ご自分のマンションの規約の見直しを行っていない管理組合は、この改正標準管理規約(以下、改正規約)を参考に点検していただくことが望ましい。管理規約条項の見直しを図るうえで、ぜひ改正してほしい項目をいくつか紹介します。 ●「総会の会議及び議事」条項の変更   議事の賛否が可否同数の場合は改正規約では否決としています。従前の議長が決するという定めは削除されています。
それから特別多数決議事項で、共用部分などの変更は、「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。」とされていましたが、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。」と金額に関する表記が変更されています。 ●「書面決議」条項の変更  区分所有法の45条が改正されたことに伴い、総会決議以外に、区分所有者全員の承諾があれば、書面又は電磁 的方法による決議をすることができるという条項が追加されています。 ●「議事録の作成・保管」条項の変更  以前の標準管理規約では総会議事録の署名押印者は議長と議長の指名する2名の総会に出席した理事でしたが、改正規約では議長と総会に出席した組合員ということで、理事という表現がはずされています。 ●「管理者=理事長権限」条項の追加   損害保険契約に基づく保険金の受領で、共用部分等に生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求 及び受領について区分所有者を代理するということで、理事長権限が少し広がっています。 ●「合意管轄裁判所」条項   合意管轄裁判所を管理組合の所在地を管轄する裁判所としておきますと、地元の簡易裁判所や地方裁判所に 訴えを起こすことができます。そうしない場合、訴訟相手が別の場所に住んでいると、そこを管轄する裁判所に訴えをおこさないといけません。こうなると非常に面倒です。

 以上の項目は、ぜひ規約の内容を確認していただきた いと思います。
講座 管理会社とのつきあい方
講師 和田 淸人(わだ きよひと)

管理会社と連携しながら
解決できた3つの事例


マンション管理専門相談員
講師 和田 淸人(わだ きよひと)


 わたしが理事長として心がけたことは2つです。1つ目は、区分所有者同士の対立は避けること。2つ目は、管理会社とは発注者と受注者の関係であることを忘れないことです。今日は、2年間の理事長の経験の中で、管理会社と連携しながら解決できた事例を3つご紹介させていただきます。  1つ目は滞納問題です。私が理事長に就任した時点で、滞納が52万円ありました。管理会社との管理委託契約書では、滞納者に対して電話、訪問、郵便の督促を行い、3カ月で免責となっています。そこで、管理会社に対して、マンション管理適正化法74条に規定された、再委託できない基幹事務(=会計、出納、長期修繕計画)はひとえにお金に関することであること、滞納問題の解決もそれに当たることを伝えてアクションをおこしてもらいました。結果的には2年後、52万円あった未収金を2万7000円まで減らしました。  2つ目は違法駐車です。警告の張り紙をしてもどうしても駄目な車がありました。いろいろ調べると区分所有者の息子さんの車でした。そこで区分所有者であるお父さんに入居時に提出した実印付きの管理規約同意書のコピーと一緒に「息子さんの違法駐車をやめさせてほしい」という文書を投函したところ、それから一切、敷地の中でその車を見かけることはなくなりました。  3つ目は、補修工事のトラブルです。4年ぐらい前の地震でマンションの外壁のタイルが崩落しました。前理事会が、管理会社経由でクレームをいれても、施工会社からは「それは天災ですから」と一蹴されました。管理会社がデベロッパーの子会社であるため、フロントマンが親会社にクレームを言いにくい状況も明らかに見えました。そこで、建築士に設計図書と現地を見てもらい、設計図書と現地との相違点について、管理会社経由でデベロッパーおよび施工会社に質問状をファックスしてもらいました。この時、フロントマンはメッセンジャーとして動いてもらいました。その結果、修理費用も全部デベロッパー持ちで、補修工事を完了させることができました。  管理会社はあくまでも受注者です。発注者である区分所有者が「自分たちのマンションをどうしたいのか」という合意形成をすることが重要だと思います。

7月25日(土)   ぜひとも知ってほしい管理組合会計の基礎知識と注意点、および大規模修繕工事の進め方や修繕積立金の設定をテーマに開催しました。  

講座 管理組合会計の基礎知識と注意点
講師 笹岡 憲一(ささおか けんいち)

予算準拠の原則と区分経理、
この2つは絶対に守りましょう


近畿税理士会 税理士
講師 笹岡 憲一(ささおか けんいち)


管理組合会計の基本原則ですが、会計基準がありませんので、公益法人会計の一般原則を適用して会計をしています。それよりも管理組合会計の特有原則の方が重要です。 特有原則には、予算準拠の原則と区分経理があります。予算準拠の原則は、予算の範囲内でいかに維持管理の費用を使っていくかというものです。予備費の科目を設けている組合もありますが、お薦めできません。 予算の範囲内で運営していくことがベストだと思います。区分経理は、管理費会計と修繕積立金の2つを必ずわけるということです。一緒にされているケースもありますが、これは必ず分ける必要があります。 ■こまめにチェックしてください  管理組合会計の注意点としては、チェックのクセづけが大事です。面倒くさい、忙しい、そんな時間はないという話になりますが、できるだけこまめにチェックする必要があります。 1年に1回よりは毎月する方がいいですね。たとえば預金残高の残高証明書をとってチェックする。未収入金表もチェックする。契約書も必ず内容をチェックし、把握しておくことが大切です。

 それから2期比較会計書類を作成していただきたいと思います。前期より自分の管理組合のお金がいくら増えているかなどが分かるようにする。これは非常に重要です。 そして内部けん制制度をしっかりしていただきたいと思います。いまだに通帳と印鑑を同じ方が保管している管理組合もあります。ひどい話になると、管理組合のキャッシュカードをつくっている。 できるだけお互いがチェックできるようにすることが大切です。
講座 大規模修繕工事と長期修繕計画、修繕積立金について
講師 末広 和雄(すえひろ かずお)

成功の決め手は資金計画。
均等積立方式がお薦めです


マンションリフォーム推進協議会近畿支部
講師 末広 和雄(すえひろ かずお)


■大規模修繕工事  大規模修繕工事がなぜ必要か。例えば外壁についてですが、使われているコンクリートが温度の変化を含む乾燥・収縮によってひび割れを起こします。これを放っておきますと、ひび割れから中に水が入り鉄筋が錆びてきます。鉄筋が錆びてくると建物としても弱くなり、放っておくとコンクリートが剥がれて落ちてきます。これを防ぐために定期的に修繕が必要になります。

 建物の保全には維持保全と改良保全があります。現況そのままの状態を維持しようというのが維持保全で、ようというのが改良保全です。
さらに維持保全には、予防保存と事後保全があります。予防保全は、悪くなる前に処置するものです。とくに給排水管や電気系統などの設備関係、生活に関わる部分は事前に直していかないといけない。事後保全は、悪くなったところを直しましょうというものです。

 保全行為の回数を多くすれば長く持ち、少なければ耐用年数が短くなります。保存処置をしなかったら30年、40年。保全行為があれば約60年、最近の建物であれば、コンクリートの性質がよくなっているので、70年、80年は大丈夫かなという状態になっています。
 一般的に、大規模修繕工事の周期は、10年から12年。国交省が出した「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」では12年とうたわれております。

 大規模修繕工事の検討を始めるきっかけは何でしょうか。一つは、長期修繕計画の中で修繕工事をする時期が近づいていれば、そろそろ考えていきましょうということです。もう一つは、至る所で不具合が目立ちはじめ、このまま放っておくと、住民が怪我をするとか、いろんな問題が出てきそうだということになれば、大規模修繕工事を検討しようということになります。

 大規模修繕工事の進め方は、(1)大規模修繕(検討)委員会の設置、(2)建物調査・診断の実施、(3)仕様書(案)の作成、(4)共通仕様書と内訳明細書の作成、(5)概算金額・資金計画の検討、(6)仕様書の確定、(7)見積参加業者の決定、(8)現場説明会開催・現地調査、(9)見積書提出、(10)プレゼンテーション・ヒアリングの実施、(11)施工業の内定、(12)工事説明会開催、といった流れで進められ、続いて工事着手、竣工・引渡しとなります。
 工事そのものは通常、4〜5カ月くらいで終わりますが、検討から含めれば全体では2年くらいかかります。だから12年目に大規模修繕工事を実施するとしたら、10年目くらいからスタートを切らないと、12年目に実際の工事をすることは難しくなります。

 また、大規模修繕工事を実施するにあたって、足場を組むなどの仮設工事が必要ですが、その費用が全体工事費の20%から25%かかることも覚えておいて下さい。最近の30階を超える超高層マンションの場合は、仮設工事にかかる費用は全体工事の40〜50%になることもあります。 ■長期修繕計画   大規模修繕工事はむやみやたらに実施するのではなく、長期修繕計画という計画を立てて、計画に基づいて実施しなければなりません。当然、実施するに当たってはお金が関わってきますので、そのお金をどうするのかという問題、資金計画もたてなければなりません。

 修繕計画には、修繕項目(何を、どのように直すのか)、修繕時期(いつ直すのか)、修繕費用(どの範囲をおおよそいくらで直すのか)を決めます。例えば、修繕項目では、屋上のアスファルト防水の部分を直しましょう。修繕時期では、大規模修繕工事に合わせて12年目、次は24年目に直しましょう。修繕費用は500万円をかけて直しましょう、といった具合に決めていきます。

 また、修繕計画は、1回作成したらそれで終わりということではなく、定期的な見直しが必要です。つねに現状の把握をして、必要があれば、改良も加えて、軌道修正をすることが必要です。

 そういった計画とおおよその費用が出ますと、10年間、20年間、30年間のトータルの修繕費用の累計金額が出てきます。それをもとに資金計画を立てます。成功の決め手は資金計画です。お金がなければ、決めたはずの修繕ができなくなります。  資金計画には、均等積立、段階増額積立、一時金徴収の3つの方法があります。均等積立は毎月一定額を積み立ていくものです。段階増額積立は、初年度は低くして、所得が上がっていくにつれ段階的に、積立金を上げていきましょうという考え方です。一時金徴収は、一定額を積み立てますが、大規模修繕工事を実施するに当たって、お金が足りない。だからその時に、戸数で割って、一戸当たりいくら出してくださいというものです。基本的には均等積立か段階増額積立のどちらかで実施されているケースが多いと思います。国土交通省が出した「長期修繕計画作成ガイドライン」では、均等積立方式が推奨されてます。

 ちなみに大規模修繕工事で使うお金は、1住戸あたり平均80万円前後と言われています。平均ですから、5戸、10戸の小規模のマンションだとそれ以上のお金がかかりますし、400戸、500戸の大規模マンションだと、スケールメリットで下がる傾向があります。修繕積立金の参考例として、255戸の物件のケースでは、修繕積立金の月額は、専有面積1m2当たり161円。75m2で1万2000円となっています。
建物の構造や建物劣化の原因など、予備知識についても分かりやすく説明
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7月25日(土)  

ベイシティ大阪管理組合
理事長 嶋川利昭

「大規模修繕を12年目に実施しましたが、区分所有者に1級建築士の専門家もおられたため、比較的スムーズにできました。
現在、築17年目に入っているため、電気や機械など設備関係の交換時期にきています。今年はインターホン、来年は地デジに取り組む予定です。
悩みは賃貸率が高いため無関心層が多いことでしたが、最近の賃貸率低下とともに改善され、前回の理事会の出席率は100%でした」


ベイシティ大阪管理組合
監事 葛籠洋子

「集会所がないことが最大の悩みです。総会や打合せ会は玄関ホールなどで行っています。
過去に10年間ほど自主管理を行った時期があり、全員で清掃を始めましたが、それをきっかけにコミュニティがまとまり、広報誌の発行を始めました。
この他にも駐車場で焼肉、ゲーム大会、ガレージセールを行ったり、盆踊りや大阪市が推進している「子ども見守り 隊」などを通じて地域とのコミュニティも深めています」


会場の様子 管理組合報告後の会場との意見交換では、理事の選び方や広報の方法(回覧板、全戸配布など)、ユニークな事務局制度、管理組合ホームページなどについての質問や意見交換が行われました。
続いて、規模別に4つのグループに分かれて意見交換を行いました。コミュニティ活動や管理組合会計、ペット問題など、自分たちのマンションが抱えている問題を中心に活発な話し合いがありました。 様々な解決のヒントを得ることができた様子でした。

各グループで話し合われたテーマ

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