平成21年度「基礎講座&交流会&相談会」報告

2009年度「基礎講座&交流会&相談会」報告

会場の様子分譲マンション管理組合向けセミナー。
基礎講座では、適正に管理組合運営を行うための基礎知識を分かりやすく学びます。また日頃の管理組合運営で発生する問題や悩みを語りあう交流会と、個別の問題を相談する相談会も開催しました。
開催日時:
2009年11月1日(日)・14日(土)・28日(土)

7月12日(日)
  平成20年度マンション総合調査からみるマンションの最近の現状、管理規約を見直すべき項目や見直すときの注意点、そして管理会社との上手な付き合い方をテーマに開催しました。  

講座 平成20年度マンション総合調査からみえてくるもの
講師 長田 康夫(おさだ やすお)

国が行ったマンション調査です。
管理組合運営の参考にしてください


(財)マンション管理センター
講師 長田 康夫(おさだ やすお)


 昭和55年度から始められたマンション総合調査です。
ほぼ5年に一度おこなわれており今回で6回目、前回は平成15年度に実施されました。管理組合と区分所有者へのアンケート結果となっており、マンションの管理状況や意識などが調査されました。 ●世帯主の年齢  「60歳代」が26.4%で最も多く、次いで「50歳代」が24.1%、「40歳代」が22.9%、「70歳以上」が13.0%、前回と比べ高齢化しています。 ●永住意識  「永住するつもりである」が49.9%。「いずれは住みかえるつもりである」が19.4%で、永住意識が高くなる傾向にあります。 ●管理費の滞納状況   3カ月以上滞納している住戸がある管理組合が38.5%。築年数、規模が大きくなるほど滞納住戸のある管理組合の割合が増えています。 ●長期修繕計画の作成状況   前回と比較すると長期修繕計画を作成しているマンションは78.1%から89.0%へ増えています。長期修繕計画の作成はかなり浸透してきています。 ●建替えの必要性   「建替えが必要である」は3%程度ありますが、「建物が相当老朽化または陳腐化しているが、修繕工事または改修工事さえしっかり実施すれば建替えは必要ない」と考える方が24.9%です。 ●専門家の活用状況   専門家を活用している管理組合は43.6%。このうち建築士の活用が一番多く、22.7%です。マンション管理士の活用は13.1%、「活用していないが知っている」が40.2%で認知は進んでいますが、まだまだ不十分です。
このほか、マンション居住の状況、マンション管理と管 理事務委託の状況、建物・設備の維持管理状況につい ての様々な項目について調査報告がなされています。

「平成20年度 マンション総合調査結果」はこちらから
講座 管理規約見直しにおける注意点
講師 宇都宮 忠(うつのみや ただし)

ぜひとも改正していただきたい
項目を紹介します


マンション管理専門相談員
講師 宇都宮 忠(うつのみや ただし)


国土交通省が策定をして公表している標準管理規約は、区分所有法の改正等を踏まえ、平成16年1月に改正しています。平成16年以降、ご自分のマンションの規約の見直しを行っていない管理組合は、この改正標準管理規約(以下、改正規約)を参考に点検していただくことが望ましい。管理規約条項の見直しを図るうえで、ぜひ改正してほしい項目をいくつか紹介します。 ●「総会の会議及び議事」条項の変更   議事の賛否が可否同数の場合は改正規約では否決としています。従前の議長が決するという定めは削除されています。
それから特別多数決議事項で、共用部分などの変更は、「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。」とされていましたが、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。」と金額に関する表記が変更されています。 ●「書面決議」条項の変更  区分所有法の45条が改正されたことに伴い、総会決議以外に、区分所有者全員の承諾があれば、書面又は電磁 的方法による決議をすることができるという条項が追加されています。 ●「議事録の作成・保管」条項の変更  以前の標準管理規約では総会議事録の署名押印者は議長と議長の指名する2名の総会に出席した理事でしたが、改正規約では議長と総会に出席した組合員ということで、理事という表現がはずされています。 ●「管理者=理事長権限」条項の追加   損害保険契約に基づく保険金の受領で、共用部分等に生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求 及び受領について区分所有者を代理するということで、理事長権限が少し広がっています。 ●「合意管轄裁判所」条項   合意管轄裁判所を管理組合の所在地を管轄する裁判所としておきますと、地元の簡易裁判所や地方裁判所に 訴えを起こすことができます。そうしない場合、訴訟相手が別の場所に住んでいると、そこを管轄する裁判所に訴えをおこさないといけません。こうなると非常に面倒です。

 以上の項目は、ぜひ規約の内容を確認していただきた いと思います。
講座 管理会社とのつきあい方
講師 和田 淸人(わだ きよひと)

管理会社と連携しながら
解決できた3つの事例


マンション管理専門相談員
講師 和田 淸人(わだ きよひと)


 わたしが理事長として心がけたことは2つです。1つ目は、区分所有者同士の対立は避けること。2つ目は、管理会社とは発注者と受注者の関係であることを忘れないことです。今日は、2年間の理事長の経験の中で、管理会社と連携しながら解決できた事例を3つご紹介させていただきます。  1つ目は滞納問題です。私が理事長に就任した時点で、滞納が52万円ありました。管理会社との管理委託契約書では、滞納者に対して電話、訪問、郵便の督促を行い、3カ月で免責となっています。そこで、管理会社に対して、マンション管理適正化法74条に規定された、再委託できない基幹事務(=会計、出納、長期修繕計画)はひとえにお金に関することであること、滞納問題の解決もそれに当たることを伝えてアクションをおこしてもらいました。結果的には2年後、52万円あった未収金を2万7000円まで減らしました。  2つ目は違法駐車です。警告の張り紙をしてもどうしても駄目な車がありました。いろいろ調べると区分所有者の息子さんの車でした。そこで区分所有者であるお父さんに入居時に提出した実印付きの管理規約同意書のコピーと一緒に「息子さんの違法駐車をやめさせてほしい」という文書を投函したところ、それから一切、敷地の中でその車を見かけることはなくなりました。  3つ目は、補修工事のトラブルです。4年ぐらい前の地震でマンションの外壁のタイルが崩落しました。前理事会が、管理会社経由でクレームをいれても、施工会社からは「それは天災ですから」と一蹴されました。管理会社がデベロッパーの子会社であるため、フロントマンが親会社にクレームを言いにくい状況も明らかに見えました。そこで、建築士に設計図書と現地を見てもらい、設計図書と現地との相違点について、管理会社経由でデベロッパーおよび施工会社に質問状をファックスしてもらいました。この時、フロントマンはメッセンジャーとして動いてもらいました。その結果、修理費用も全部デベロッパー持ちで、補修工事を完了させることができました。  管理会社はあくまでも受注者です。発注者である区分所有者が「自分たちのマンションをどうしたいのか」という合意形成をすることが重要だと思います。

7月25日(土)   ぜひとも知ってほしい管理組合会計の基礎知識と注意点、および大規模修繕工事の進め方や修繕積立金の設定をテーマに開催しました。  

講座 管理組合会計の基礎知識と注意点
講師 笹岡 憲一(ささおか けんいち)

予算準拠の原則と区分経理、
この2つは絶対に守りましょう


近畿税理士会 税理士
講師 笹岡 憲一(ささおか けんいち)


管理組合会計の基本原則ですが、会計基準がありませんので、公益法人会計の一般原則を適用して会計をしています。それよりも管理組合会計の特有原則の方が重要です。 特有原則には、予算準拠の原則と区分経理があります。予算準拠の原則は、予算の範囲内でいかに維持管理の費用を使っていくかというものです。予備費の科目を設けている組合もありますが、お薦めできません。 予算の範囲内で運営していくことがベストだと思います。区分経理は、管理費会計と修繕積立金の2つを必ずわけるということです。一緒にされているケースもありますが、これは必ず分ける必要があります。 ■こまめにチェックしてください  管理組合会計の注意点としては、チェックのクセづけが大事です。面倒くさい、忙しい、そんな時間はないという話になりますが、できるだけこまめにチェックする必要があります。 1年に1回よりは毎月する方がいいですね。たとえば預金残高の残高証明書をとってチェックする。未収入金表もチェックする。契約書も必ず内容をチェックし、把握しておくことが大切です。

 それから2期比較会計書類を作成していただきたいと思います。前期より自分の管理組合のお金がいくら増えているかなどが分かるようにする。これは非常に重要です。 そして内部けん制制度をしっかりしていただきたいと思います。いまだに通帳と印鑑を同じ方が保管している管理組合もあります。ひどい話になると、管理組合のキャッシュカードをつくっている。 できるだけお互いがチェックできるようにすることが大切です。
講座 大規模修繕工事と長期修繕計画、修繕積立金について
講師 末広 和雄(すえひろ かずお)

成功の決め手は資金計画。
均等積立方式がお薦めです


マンションリフォーム推進協議会近畿支部
講師 末広 和雄(すえひろ かずお)


■大規模修繕工事  大規模修繕工事がなぜ必要か。例えば外壁についてですが、使われているコンクリートが温度の変化を含む乾燥・収縮によってひび割れを起こします。これを放っておきますと、ひび割れから中に水が入り鉄筋が錆びてきます。鉄筋が錆びてくると建物としても弱くなり、放っておくとコンクリートが剥がれて落ちてきます。これを防ぐために定期的に修繕が必要になります。

 建物の保全には維持保全と改良保全があります。現況そのままの状態を維持しようというのが維持保全で、ようというのが改良保全です。
さらに維持保全には、予防保存と事後保全があります。予防保全は、悪くなる前に処置するものです。とくに給排水管や電気系統などの設備関係、生活に関わる部分は事前に直していかないといけない。事後保全は、悪くなったところを直しましょうというものです。

 保全行為の回数を多くすれば長く持ち、少なければ耐用年数が短くなります。保存処置をしなかったら30年、40年。保全行為があれば約60年、最近の建物であれば、コンクリートの性質がよくなっているので、70年、80年は大丈夫かなという状態になっています。
 一般的に、大規模修繕工事の周期は、10年から12年。国交省が出した「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」では12年とうたわれております。

 大規模修繕工事の検討を始めるきっかけは何でしょうか。一つは、長期修繕計画の中で修繕工事をする時期が近づいていれば、そろそろ考えていきましょうということです。もう一つは、至る所で不具合が目立ちはじめ、このまま放っておくと、住民が怪我をするとか、いろんな問題が出てきそうだということになれば、大規模修繕工事を検討しようということになります。

 大規模修繕工事の進め方は、(1)大規模修繕(検討)委員会の設置、(2)建物調査・診断の実施、(3)仕様書(案)の作成、(4)共通仕様書と内訳明細書の作成、(5)概算金額・資金計画の検討、(6)仕様書の確定、(7)見積参加業者の決定、(8)現場説明会開催・現地調査、(9)見積書提出、(10)プレゼンテーション・ヒアリングの実施、(11)施工業の内定、(12)工事説明会開催、といった流れで進められ、続いて工事着手、竣工・引渡しとなります。
 工事そのものは通常、4〜5カ月くらいで終わりますが、検討から含めれば全体では2年くらいかかります。だから12年目に大規模修繕工事を実施するとしたら、10年目くらいからスタートを切らないと、12年目に実際の工事をすることは難しくなります。

 また、大規模修繕工事を実施するにあたって、足場を組むなどの仮設工事が必要ですが、その費用が全体工事費の20%から25%かかることも覚えておいて下さい。最近の30階を超える超高層マンションの場合は、仮設工事にかかる費用は全体工事の40〜50%になることもあります。 ■長期修繕計画   大規模修繕工事はむやみやたらに実施するのではなく、長期修繕計画という計画を立てて、計画に基づいて実施しなければなりません。当然、実施するに当たってはお金が関わってきますので、そのお金をどうするのかという問題、資金計画もたてなければなりません。

 修繕計画には、修繕項目(何を、どのように直すのか)、修繕時期(いつ直すのか)、修繕費用(どの範囲をおおよそいくらで直すのか)を決めます。例えば、修繕項目では、屋上のアスファルト防水の部分を直しましょう。修繕時期では、大規模修繕工事に合わせて12年目、次は24年目に直しましょう。修繕費用は500万円をかけて直しましょう、といった具合に決めていきます。

 また、修繕計画は、1回作成したらそれで終わりということではなく、定期的な見直しが必要です。つねに現状の把握をして、必要があれば、改良も加えて、軌道修正をすることが必要です。

 そういった計画とおおよその費用が出ますと、10年間、20年間、30年間のトータルの修繕費用の累計金額が出てきます。それをもとに資金計画を立てます。成功の決め手は資金計画です。お金がなければ、決めたはずの修繕ができなくなります。  資金計画には、均等積立、段階増額積立、一時金徴収の3つの方法があります。均等積立は毎月一定額を積み立ていくものです。段階増額積立は、初年度は低くして、所得が上がっていくにつれ段階的に、積立金を上げていきましょうという考え方です。一時金徴収は、一定額を積み立てますが、大規模修繕工事を実施するに当たって、お金が足りない。だからその時に、戸数で割って、一戸当たりいくら出してくださいというものです。基本的には均等積立か段階増額積立のどちらかで実施されているケースが多いと思います。国土交通省が出した「長期修繕計画作成ガイドライン」では、均等積立方式が推奨されてます。

 ちなみに大規模修繕工事で使うお金は、1住戸あたり平均80万円前後と言われています。平均ですから、5戸、10戸の小規模のマンションだとそれ以上のお金がかかりますし、400戸、500戸の大規模マンションだと、スケールメリットで下がる傾向があります。修繕積立金の参考例として、255戸の物件のケースでは、修繕積立金の月額は、専有面積1m2当たり161円。75m2で1万2000円となっています。
建物の構造や建物劣化の原因など、予備知識についても分かりやすく説明
建物の構造や建物劣化の原因など、予備知識についても分かりやすく説明
  
支援機構で実施したセミナーのビデオが住まい情報センターで視聴できます
詳しくはこちらから(PDFファイル)

7月25日(土)  

ベイシティ大阪管理組合
理事長 嶋川利昭

「大規模修繕を12年目に実施しましたが、区分所有者に1級建築士の専門家もおられたため、比較的スムーズにできました。
現在、築17年目に入っているため、電気や機械など設備関係の交換時期にきています。今年はインターホン、来年は地デジに取り組む予定です。
悩みは賃貸率が高いため無関心層が多いことでしたが、最近の賃貸率低下とともに改善され、前回の理事会の出席率は100%でした」


ベイシティ大阪管理組合
監事 葛籠洋子

「集会所がないことが最大の悩みです。総会や打合せ会は玄関ホールなどで行っています。
過去に10年間ほど自主管理を行った時期があり、全員で清掃を始めましたが、それをきっかけにコミュニティがまとまり、広報誌の発行を始めました。
この他にも駐車場で焼肉、ゲーム大会、ガレージセールを行ったり、盆踊りや大阪市が推進している「子ども見守り 隊」などを通じて地域とのコミュニティも深めています」


会場の様子 管理組合報告後の会場との意見交換では、理事の選び方や広報の方法(回覧板、全戸配布など)、ユニークな事務局制度、管理組合ホームページなどについての質問や意見交換が行われました。
続いて、規模別に4つのグループに分かれて意見交換を行いました。コミュニティ活動や管理組合会計、ペット問題など、自分たちのマンションが抱えている問題を中心に活発な話し合いがありました。 様々な解決のヒントを得ることができた様子でした。

各グループで話し合われたテーマ

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「マンション管理フェスタ2009」開催速報

「マンション管理フェスタ2007」開催速報 お役立ち情報がいっぱい!平松市長も見学に訪れました。


9月6日、第2回目の「マンション管理フェスタ」を、2年ぶりに開催。支援団体、協力団体が一堂に会したこのイベントに、250名以上の参加者が集まり、大いに賑わい ました。今回は、大阪市の平松市長も訪れ、「大阪市を暮らしやすいまちにしたい」と挨拶。また、メインステージではマンション内のサークル活動の発表や、「マンション管理とコミュニティ活動」をテーマにした講演会の他に、住まいに関する楽しい落語もあって、会場は笑いに包まれました。参加者からは、「前回よりも、さらにパワーアップした感じですね」「専門家の方に相談できて、ともて助かりました」「組合活動のヒントになりました」といった声が数多く寄せられました。

≪発表≫ フェスタで発表会!

フェスタで発表会!天神橋だんじり保存会「どうらく」の皆様によるだんじりばやしと、エバーグリーン淀川「ますみ会」の皆様による踊りが披露されました。

≪講演≫13:15〜14:15 マンション管理とコミュニティ活動

マンション管理とコミュニティ活動マンション学をテーマに研究されている藤本佳子教授(千里金蘭大学)が具体的な事例を交えながらコミュニティづくりの大切さについて講演されました。

≪発表≫14:30〜15:15 住まいの落語

住まいの落語落語家・笑福亭伯枝さんよる「牛ほめ」。間違いだらけの新築見舞いのはなしで、皆さん、大笑いの連続でした。

専門家とお話してみませんか?!

大阪市マンション管理支援機構の専門家6団体※と自由におしゃべりできるコーナーを設置。多くの方が熱心に相談されていました。

※大阪弁護士会、大阪司法書士会、大阪土地家屋調査士会、(社)大阪府不動産鑑定士協会、近畿税理士会、(社)大阪府建築士会

マンションの取り組み紹介

熱心なコミュニティ活動をされている管理組合をパネルで紹介。このほか、以前らいふあっぷに掲載された管理組合だよりも抜粋して展示しました。

マンション管理組合ミニ交流コーナー

コミュニティ作りのコツを、ほかのマンション管理組合 さんから聞いたり、成功事例や経験を伝え合うミニ交流会を5階の研修室で開催しました。後半は市長も参加して「マンション管理とコミュニティ活動」について意見交換を行いました。
支援団体・協力団体が、役立つ情報コーナーを設置 情報提供コーナー1

大阪市、大阪市住まい公社、(独)住宅金融支援機構からマンションの建替や改修、関連資金のことなどの役立つ情報を提供しました。

情報提供コーナー2

大阪市マンション管理支援機構の6賛助団体※の活動を紹介しました。
※(社)高層住宅管理業協会、( 社)大阪府宅地建物取引業協会、( 社)不動産協会、マンションリフォーム推進協議会、大阪ガス(株)、関西電力(株)

情報提供コーナー3

協力団体※により、地上デジタル放送、光インターネット、防犯関連の情報など、マンション管理に役立つ情報を提供しました。

※総務省、NTT西日本-関西、NPO法人大阪府防犯設備士協会、NPO法人大阪府錠前技術者防犯協力会。(財)マンション管理センター、大阪市消防局、(社)再開発コーディネーター協会、( 財)大阪府建築防災センター、(社)日本エレベータ協会関西支部

映像で見る、管理組合応援コーナー

大規模修繕工事・建替え事例・超高層住宅の防災対応など、マンションに関する様々なビデオを放映しました。

平成21年度「マンション管理の基礎知識」基礎セミナー報告

「マンションらいふあっぷ基礎セミナー」報告

会場の様子大阪市マンション管理支援機構・
大阪市立住まい情報センター主催

2009年度「基礎セミナー」
「マンション管理の基礎知識」

開催日時:2009年7月12日(日)・25日(土)

7月12日(日)   マンション居住者がお互いに快適に住むために、最低限知っておきたい法律知識、そして日常トラ第1日目ブル解決のヒントをテーマに開催しました。  

講座 マンションに住むということ
トラブルを避けて快適に住むために

基本的な法律について学びましょう



大阪弁護士会 弁護士
講師 木野 達夫(きの たつお)
■区分所有法の基本的な考え方  区分所有法の前に、一番の基本は民法になります。 民法の206条で「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権限を有する。」とされており、所有者が所有物をどう使うかは自由だというのが大原則です。
 しかし、マンションには複数の住戸が集まっていて、自分の所有する部分がどこまでなのかが必ずしも明らかでありません。まず所有関係を明らかにする必要があります。次に、ここはみんなの部分だとなった場合、誰がどのように管理するのか、だれが費用を出してどのように管理するのかも決まっていないとトラブルになります。
 また自分の所有する部分でも、民法の原則通り所有物は好きなように使っていいということではなく、やはり一定のルールが必要であり、その基本的なルールを定めたものが区分所有法という法律です。 ■管理規約   区分所有法につづいて重要なものは管理規約です。
区分所有法30条1項に規定があります。「建物の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」つまり区分所有法では大きな枠組みしか書いてないので、区分所有法に書いていないものについては管理規約で定めたらいいとあります。マンションについてのルールは自主的に管理規約で定めるということになります。
 管理規約は法律ではありませんが、かなり強い効力が認められています。区分所有法の46条1項に「規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。」と規定されており、管理規約を総会で決めたり変更した後に、マンションを購入して区分所有者になった方にも効力を有するということです。
 標準管理規約は、国土交通省が発表している管理規約の標準モデルで、それ自体は法律ではありませんが、実践的な内容になっています。この標準管理規約を参考にしている管理組合も多いと思います ■専有部分と共用部分   専有部分と共用部分について、基本に立ち返って考えてみたいと思います。たとえば区分所有者が自分の判断で変更できる部分はどこまでなのか。管理組合が立ち入ってもいい範囲はどこまでなのか。修繕などを行う場合に管理費から費用を支出するのはどこまでなのか。保険が保障する範囲はどこまでなのか。こういう観点で専有部分なのか共有部分なのかをみた場合に、後々問題になることがあるので、やはりきっちりと規約で定めておく必要があります。
 専有部分とは、構造上区分され、独立して住居等の建物としての利用ができることが要件になります。
 共用部分は3つあります。一つめは専有部分以外の建物の部分、二つめは専有部分に属さない建物の附属物、三つめは規約により共用部分とされた部分となっています。 ■共同生活におけるルール   マンションは近い距離でいろいろな方々が住んでおられるので、共同のルールを定める必要性が高いため、区分所有法では大枠の規定を設けています。
 基本的な規定が6条の1項です。「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」。当たり前ですが、建物の強度に問題が起きることをしては困りますし、共同の利益に反してはならない。宣言的な規定ですね。
 ルール違反があった場合どうすればいいのか。一般的には特別な法律がなくても、(1)違反行為を止めなさいと警告する、(2)規約に定めがあれば違約金を請求する、(3)違反行為の差し止めを請求する、(4)違反があって損害が生じたら、損害賠償請求をする、(5)違反行為者が不在で、緊急の場合には、同意なしに専有部分に立ち入る、といったことが可能です。 ■マンションの管理   管理組合は「建物、敷地付属施設の管理をおこなうための団体」と規定されています。分譲されて区分所有者が決まった段階で自動的に管理組合はできあがっているとみなされています。
 総会は管理組合の最高意思決定機関であり、重要な事項は総会で決めることになります。迷う場合は理事会ではなく総会で決議をとられるほうがいいと思います。
 管理会社の業務の範囲については、管理会社と締結した管理委託契約書に、管理会社がどこまでするかの範囲が定められています。ぜひ契約書を読んでいただきたいと思います。 ■マンションの管理の適正化の推進に関する法律   平成12年にマンションにおける良好な居住環境の確保を図るために、新たに「マンション管理適正化法」が定められ、管理組合の運営等について相談に応じる専門家としてマンション管理士制度が作られました。また、マンション管理業者についても登録を義務付け、適正に業務を行うように規定が定められています。
 管理組合についても「マンションを適正に管理するよう努めなければならない」とあり、法律としてはマンション管理士という資格制度をつくったり、管理業者を登録制にしたりしていますが、やはり最後は管理組合の努力がなかったらマンションの管理はうまくいかないという意味で書かれているのだと思います。
講座 日常のトラブルと解決のヒント

上手なコミュニケーションこそが
トラブルを解決するポイントです


講師 NPO法人 シヴィル・プロネット関西

 

■裁判以外での紛争解決方法を研究   シヴィル・プロネット関西では日常の様々なトラブルに対して、当事者同士の話し合いによる紛争解決方法を提案しています。トラブルについていろいろ研究しているうちに、その原因の一つは、コミュニケーションの問題があるんじゃないかと気づきました。トラブルになってしまうと、当事者間の対話関係が断絶し、当事者が感情的になっており、そのために話し合いができない。この状態からどうやって対話を復活させていくのか、ということを少し勉強していただければと思います。 ■挨拶はコミュニケーションの一つ   挨拶は、人間関係の土台を築く非常に素晴らしいコミュニケーションの一つです。コミュニケーションの話をする前に、「まず、挨拶をしてください」と言っています。ポイントをいつも語呂合わせでお伝えしております。「あ」は、明るく、「い」は、いつでも、「さ」は、相手より先に、「つ」は、ついでに一誉めです。その4つ、ちょっと覚えておいていただけますでしょうか。
 皆さんのマンションでは挨拶を、声に出してなさっていますでしょうか。挨拶一つでいろいろと変わってまいります。ただの挨拶と思わず、コミュニケーションの一つだと思って積極的にご利用いただけたらと思います。
 皆さんにこんなに挨拶をお勧めする理由は、挨拶のないマンションは些細なことが大きなトラブルになりやすからです。挨拶がないということは、コミュニケーションが普段からとれてないということですよね。同じことがあっても顔見知りだったら許せるのに、全然知らない人だったら無性に腹が立ったりするものです。 ■相手に認められないと苦痛を感じる   ではコミュニケーションについて少しお話をしたいと思います。ポイントは3つの「こ」です。まず「心」が大事、その次に「行動」、どんな行動をとるかということが大事、そして「言葉」選びも大事です。
 心理学の中で、交流分析という心理学がありますが、そのなかで「人は自分の存在を認めてくれるようなよい触れ合いがないと、心と体に障害がでてくる」というふうに言われています。自分を認めてもらえない状態に人間は非常に弱く、ものすごい苦痛を感じる動物なんだそうです。 ■言葉より大きな影響を与える「態度」   アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンという方が1971年に提唱した法則(メラビアンの法則)というものがあり、それは「曖昧なメッセージが発せられた時、人の行動が相手にどのような影響を及ぼすか」を調べたものです。
 それによると、目からの情報が55%、耳からの情報が38%、そして言語の情報が7%という結果が出ました。言葉と態度とで分けますと、言葉7%、それ以外の態度93%という率になります。
 ですから皆さんがお話を聞く時は、意識して態度を考えていただくことが大切だと思っています。まず相手の目を見ること。目を見るというのは他の誰でもないあなたの話を聞いていますという、これだけでメッセージなんです。その次、うなずく。これも大切なメッセージですね。これはあなたの声がちゃんと私の耳に届いていますということをお知らせしているわけです。そして相づちを打つ。これは相手のお話の内容がちゃんと伝わっているというショートメッセージです。それに加えて、相手のお話の内容を、たとえ自分と意見が違っても否定しないでとりあえずそのまま最後まで聞いてあげてください。 ■私メッセージで、お願いする   では最後に相手に届ける言葉についてお話をします。ここでは「私メッセージ」ということをお話したいと思います。これは私ということを主語にもってきていただくとわかりやすいと思います。あなたを主語にすると、相手を責めがちな感じになりがちです。実際に自転車の置き場の問題で考えてみたいと思います。
 まず、あなたを主語にすると、「あなた、ここへ自転車を置いたらだめでしょう」。これを、私を主語に変えてみます。「私はここに自転車をおかれると困るんです」。それに続けてお願いをする気持ちで言葉を続けます。「奥の駐輪場へ止めてくれませんか」。さあどうでしょう。皆さんならどちらで言われたほうが気持ちいいですか? 本日はトラブルを防ぐ聞き方、自分の意見の伝え方、そして話し合いというものに対しての考え方というものをお話ししてまいりました。トラブルの解決へのヒントとなればと思います。

7月25日(土)
建物の日常の維持管理を行う場合のチェックポイント、法律で義務づけられている定期報告制度、マンション管理が資産価値に与第2日目える影響などをテーマとして開催しました。  

講座 建物の日常の維持管理

日常点検を行っていると、
緊急時に慌てず迅速に対応できます


(社)大阪府建築士会 1級建築士
講師 今井 俊夫(いまい としお)

■建築設備の日常管理にタッチしよう  マンションの日常維持管理ですが、まずマンションの設備や施設は難しくないということです。
 自主管理の場合は、理事さん、役員さんが常日頃から建物設備の日常管理にタッチしておくことが重要です。大半は管理会社に委託し、日常管理は管理会社にまかせていますが、いざという時に管理会社任せにはできない状況も出てきます。深夜の漏水であるとか、思わぬ突発事故は、管理人さんがいる間に起こる保証はありません。少なくとも理事、役員さんは管理会社任せにしないでください。
 おそらくマンションの中の日常管理は、管理人さんがよくご存じだと思います。建物の排水の洗浄、消防点検、地下水槽、高架水槽の点検、いろいろな専門会社が日常の維持管理にかかわっています。どういう会社がどういう作業をしているか、まずそれを知ることが一番です。
 たとえば、エレベータやポンプ給排水設備などの点検報告書チェックはしていますか。点検報告書が出てきても、そのまま書棚にすぐに入れてしまうことも多いと思いますが、点検報告書に記載されている異常箇所など注意事項を見落としている可能性もありますから、毎回点検報告書を確認することは非常に重要です。 ■建物部位と施設・設備ごとに管理の要点を把握  建物の施設・設備について知るには、まず施設・設備ごとに要点を分類することが必要です。住棟、施設外構、建築設備のなかでは、給水設備、排水・通気設備、換気、空調設備、ガス設備などの項目があります。こういう分類に沿って維持管理を行うと、非常に貴重な建物の資料になります。いわゆる修繕カルテが皆さんの手で仕上がってくることになりますから、この項目はぜひ参考にしていただければと思います。

(1)住棟
1.屋上、塔屋、2.外壁、3.バルコニー、5.屋外の鉄骨階段(屋外の鉄骨階段は、建物の中で一番先に傷んでしまい、大きな修繕工事になる場合が多いので、注意が必要です)

(2)施設、外構
1.管理事務所、2.集会所、3.エレベーター機械室、4.電気室、5.受水槽ポンプ室、6.高架水槽、7.ゴミ置き場、ロータリードラム、8.駐車施設、9.駐輪施設、10.植栽、外構施設。
これ以外で、例えばプレイロットや別棟の付帯設備などがある場合はプラスアルファで考えていきます。

(3)建築設備
 建物の日常の維持管理というのは、6、7割方は設備の維持管理になります。
1.給水設備(ポンプ給水、揚水管、給水本管、系統バルブ、PS内系統縦管、枝管、量水器、止水バルブ)、2.排水・通気設備(汚水、雑排水立て管、排水横管(埋設管)、屋外会所桝、通気管)、3.換気、空調設備(管理事務所、集会所、共用トイレ等)、4.ガス設備(屋外埋設管、横引き、立ち上がり管)、5.電気設備(変受電設備、専用部分系統ブレーカ分電盤、送電配線、共用部分分電盤、照明等電気設備、テレビ共同視聴設備、電話設備、インターホン設備、防犯設備、避雷針設備)、6.消防設備(消火設備(消火器、屋内消火栓、連結送水管))、(警報設備(自動火災報知器、避難誘導備品))、(避難設備(避難設備、誘導灯及び誘導指標))、7.エレベータ設備、8.集塵設備 ■異常が起きたときでも慌てないですむために  日頃から緊急対策を検討して、日常点検をきっちりと行っていると、緊急時に慌てずに迅速に対応ができます。 「緊急時対応マニュアル」等を皆さんのマンションで独自につくって、それを運用していれば、皆さんのマンションで何がおこっても、たとえ大きな地震が起こっても、慌てることなく対応できると思います。
講座 特殊建築物の定期報告制度について

定期報告制度は、法律に定められた制度。
今年は、報告しなければならない年です。


(財)大阪建築防災センター
講師 大西 康之(おおにし やすゆき)

■定期報告制度とは?   定期報告制度は、使用されている建築物の維持保全のために法律で定められた制度です(建築基準法12条)。
また、建築基準法8条には、建物の所有者・管理者が建物の維持保全に努めなければならないと、あります。
 定期調査報告は3年ごとに行い、大阪府の場合は平成21年が共同住宅の報告する年です。また、新築の場合は建築確認完了済証の交付を受ければ、初めの対象年は免除になります。
 消防設備点検との違いは、消防設備は、消火・避難設備・警報などの設備の点検をしますが、定期報告は、建物本体の防火性能とか避難性能、それと建物の劣化損傷状況なども踏まえて建物本来の性能・耐力・使用状況などを現状把握することを目的にしています。 ■定期報告のしくみ   報告義務があるのは建物の所有者・管理者で、管理組合の場合は理事長です。調査は1級・2級建築士または特殊建築物等調査資格者が行い、所有者・管理者が押印し報告書を提出する必要があります。 ■対象の共同住宅と定期報告の構成   マンションは共同住宅という位置づけで特殊建築物に当たります。定期報告を出していただく対象は、階数と規模で決まっています。まず3階以上の共同住宅であるかどうか。3階以上の場合でも、1000m2を超えているかどうか。もう一つは、5階以上に共同住宅があれば、500m2でも対象になりますので気をつけてください。
 特殊建築物の定期報告には、建物本体のチェックが主となる、特殊建築物等の定期調査と、建築設備の定期検査があります。ただし、大阪府内の場合は非常用エレベーターが設置されているような高層のマンション(31mを超えているマンション)が対象で、それ以外のマンションは、建築設備の定期報告は対象外になっています。もう一つ、昇降機等の定期検査。これはエレベーターが設置されていれば定期報告をしていただきます。 ■定期調査の内容   定期報告の調査内容ですが、構成は常日頃の維持保全につながる内容となっており、全部で144項目あります。
基本的には調査項目の8割は目視でチェックをします。 敷地および地盤について、建物の外部について、屋上及び屋根について、劣化損傷状況や防火性能が保たれているかどうか、避難経路が取れているかどうかなどについて目視を中心にチェックします。
 建築物の内部についても、防火区画が改変されていないか、防火戸がちゃんと閉まるようになっているか。避難施設等については、一番大事なのは2方向避難ですね。階段等も2方向に逃げられるかどうか、そういったことを見ます。その他にも、石綿(アスベスト)が使われている場合はチェックしたり、避雷針や煙突、福祉の配慮などを見る項目もあります。
 皆様方には、今後も維持保全を続けていただきながら、定期報告制度のご理解を深めていただきたいと思います。
講座 マンション管理と資産価値
北谷 奈穂子(きたや なほこ)

競争厳しい中古マンション市場で
資産価値を左右するのは「管理」だけ


(社)大阪府不動産鑑定士協会 不動産鑑定士
講師 北谷 奈穂子(きたや なほこ)

■鑑定評価の3手法   私たち不動産鑑定士がマンションを鑑定評価をする際には、三つの手法で試算価格を出し、最終的にこれらを調整して評価額を決定します。

(1)原価法
 原価法は、費用性に着目して価値を評価します。新築時の販売価格は土地の値段、建物の値段、間接費を積み上げたものです。その後、築年数に応じて価値が下がっていきます。その減価を計算して積算価格を算出します。

(2)取引事例比較法
 取引事例比較法は、競争相手になる他のマンションと比較して値段を出す方法です。基本的にはライバルになるような取引事例を4、5件集めてきて、それぞれのマンションの持つ要因を細かく分析し、評価します。

(3)収益還元法
 収益還元法は、収益性に着目します。今住んでいるマンションが賃貸に出されたときに、いくらで貸せるのかに着目して評価を行います。 ■変更が可能なのは「管理」だけ   マンションの資産価値を形成する主な要素は、土地、建物、管理の3要素です。土地は、後から何とかすることはできません。理事長さんがいくら頑張っても、駅に1メートルでも近づけることはできません。建物も、基本の設計施工は、新築時に決まっています。ところが管理は、購入後、マンションが朽ち果てるまで関係しますし、どれくらい頑張るかによって資産価値が大きく左右されます。皆さんが頑張るとしたらここしかない、というふうに強く認識していただきたいと思います。 ■マンションを取り巻く状況   マンションは毎年20万戸が分譲されており、平成20年には545万戸を越えました。それにもかかわらず、一般世帯総数の推移を見ると、そろそろ天井で、これ以上増えない予測になっています。
 また、これからマンションを買おうという消費者の意識も、だんだん変わってきています。マンションを買う際に、専門家にお金を払って同行してもらい、問題のない建物かどうか、管理はどうか、修繕積立金はどうか、ということをチェックしてもらう人も見られるようになりました。
 消費者ニーズの高まりに伴って、情報開示も進んでいます。例えば、(財)マンション管理センターが行うマンションみらいネットでは、登録マンションの管理情報が詳細に開示されています。 ■管理は、コミュニティの形成から   鑑定士がマンションの評価をする際に、管理の善し悪しを判断するには、どこを見るか。日常管理では、エントランス、ホール、エレベーター、階段、廊下、建物の内部です。外部は、敷地内の駐輪場、植栽の清掃。郵便受けなどもチェックします。修繕という意味では、外壁、内壁、床のひび割れ、鉄部の錆、屋上防水のシートの剥がれ、水漏れなどの有無を見ます。
 また、長期修繕計画があればいいというものではなくて、それが必要にして十分な内容かどうか。その計画に対して積立金は十分かどうか。それから修繕費、管理費の滞納はないかを見ます。このように、日常の管理と修繕、それから滞納等の会計面などがしっかりしていれば、おおむね管理は良好じゃないかと判断します。 ■コミュニティを形成して頑張ってください   所有者全員が資産価値としての維持について自己責任の意識を持つことと、共同住宅に住んでいるんだという自覚を持って組合活動に参加してもらえる仕組みにしていくことが重要と思います。というのも、所有者の皆さんの合意が得られないと、必要な場合に管理費や積立金の増額ひとつできません。そうなると資産価値が守りたくても守れません。
 マンションの中で共通認識が生まれ、円滑な合意形成が生まれるには、コミュティの形成が大切です。いきなり「増額しますよ」と総会で無理に通すのではなくて、必要性を皆さんが納得し、その上で意志決定できるようなコミュティを形成できるよう頑張っていただきたいと思っています。  

 

平成21年度「大規模修繕工事見学会」報告

「管理組合交流会&相談会」報告
6月27日、大阪市マンション管理支援機構として第6回目の大規模修繕工事見学会をオークプリオタワー管理組合のご協力により開催しました。オークプリオタワーは、JR・地下鉄弁天町駅近くに建ち、SRC造地下2階・地上50階建・総戸数353戸の超高層マンションです。築16年を経過し、今回が初めての大規模修繕工事です。
5つのテーマについて活発に意見交換。他のマンションの実情から解決のヒントを

●9年前から積立金の改定に着手

地上50階建てのオークプリオタワーは、関西における超高層マンションの草分け的存在。
築16年を迎えての本格的な大規模修繕工事ということで見学会への関心も高く、定員よりも多くの参加者の方々が集まりました。
まずオークプリオタワー管理組合の高道理事長から、「超高層マンションの大規模修繕工事は、先行事例がなくて大変でした。私どもの経験が少しでもお役に立てばと思い、引き受けました」と挨拶が あり、稲嶺監事からは経緯の説明がありました。 「約9年間の助走期間がありましたが、最初に着手したのは、長期修繕計画の策定と修繕積立金の改定です」。最初1m2当たり50円だった積立金を100円、130円、150円と段階的に改訂しながら積立金を準備したことや、コンサルタントや施工業者の選定方法などについて説明がありました

●関西で初の「昇降式移動足場」を採用

続いて施工会社から、工事の手順や品質管理、近隣安全対策などについて説明。
住民のプライバシー確保と作業員の安全確保のための工夫として、ベランダのパーテーションの下部を開閉式にする工夫などが紹介されました。また、マンションの外壁工事の足場は、20階建てまで なら枠組足場が一般的ですが、ここは50階建て、高さ150m以上の超高層マンション。そこで風の影響を受けやすい吊り下げゴンドラ足場よりも安全で、多くの作業員が作業できる「昇降式移動足場」が関西のマンションで初めて採用されました。

●超高層マンションの工事現場を見学

3班に分かれての現場見学では、さっそく昇降式移動足場を下から見上げるなど興味津々。
外壁タイルの修繕工事の様子などを見た後で、マンション内に入り、外壁等の塗装工事、シーリング改修工事の様子などをつぶさに見学。また、昇降式移動足場のデッキも間近で見ました。デッキ幅は32mもあり、かなりの迫力です。
現場見学終了後は、質疑応答。修繕積立金の基準、業者選定方法、建物診断の方法、次回の大規模修繕工事の計画などについての質疑応答の後、無事に終了しました。参加者の中には、超高層マンションに住んでおられる理事の方もおられ、「とても参考になりました」と満足そうな様子でした。

<見学マンションと工事の概要>

オークプリオタワー(大阪市港区弁天)
SRC造・地下2階・50階建・総戸数353戸/築16年
工事内容(1)躯体及びタイル修繕工事
(2)シーリング改修工事
(3)外壁等塗替工事
(4)鉄部等塗替工事
(5)防水改修工事
(6)床改修工事
(7)その他改良・改善工事
工 期平成21年2月2日〜平成21年12月20日予定 施 工 (株)長谷工コミュニティ

平成20年度「管理組合交流会&相談会」報告

「管理組合交流会&相談会」報告
管理組合運営には様々な問題や悩みが発生します。
そこで管理組合の皆さんが、日頃どのような活動をされているのか情報を交換し、今後の組合運営の参考としてもらえるように交流会を開催しました。 5つのテーマについて活発に意見交換。
    他のマンションの実情から解決のヒントを
今回の参加者は43名。申し込み時に希望テーマをお伺いし、A.管理組合運営(滞納問題等)、B.管理組合運営(役員選任等)、C.管理組合運営(高齢者問題等)、D.修繕等、E. 住まい方(管理会社との関係等)の5つのテーマごとにテーブルを分け、各テーブル8人前後で話し合いを行いました。
 各テーブルでは、活発な意見交換が行われ、休憩中や交流会終了後も、話がなかなか途切れないほどでした。話しあった内容を各テーブルの代表者が発表し、質疑応答が行われ、最後にコメンテーターに総括していただきました。
 参加者のアンケートでは、「他のマンションの実情がよくわかり、自分のマンションと比較することができた」、「直面する問題の対応策について、よいアドバイスが受けられた」といった感想が寄せられました。

テーマA「管理組合運営(滞納問題等)」

  1. 管理会社との関係について
  2. 滞納問題について(滞納者への対応・総会での報告・未収金の回収方法など)
  3. 住民同士のコミュニケーションのとり方
  4. 総会への参加者を増やすには

まとめ

滞納問題については、滞納者といかに話し合いの接点をもつかに苦慮していることや、総会での報告の必要性、訴訟を行う場合の問題点や回収の可能性などについて、弁護士も交えて意見交換が行われた。
コミュニケーションについては、管理組合とは別に町会組織があり、2つの組織が連絡を取りながら活動している事例や、敷地内の草取りや広報紙の発行、修繕工事で対応しきれなかった部分の清掃活動等を通して、新しい入居者と管理組合、高齢者同士のコミュニケーションが図られている事例が報告された。

テーマB「管理組合運営(役員選任等)」

  1. 理事会の活性化について
  2. 名簿の作成について
  3. 管理会社との信頼関係について
  4. 大規模修繕と管理会社
  5. 役員選任の方法
  6. 管理組合法人について
  7. 長期修繕計画について

まとめ

理事(役員)のなり手不足の解決方法について。役員の選任については引継ぎのことを考えて3年交代にしている例が紹介された。
管理組合として情報をつかんでおくことの必要性があるが、住民名簿が個人情報の観点から作りづらくなっている状況が報告された。
長期修繕計画については国土交通省の長期修繕計画標準様式にあわせての見直しや、複数の修繕工事の周期をあわせることによりコストの削減、住民の中から建築士等の職業の人をブレーンに入れて組織をつくっていくことなどが話し合われた。

テーマC「管理組合運営(高齢者問題等)」

  1. 組合員の意識について
  2. 組合員の高齢化・無関心による理事のなり手の不足について
  3. 理事の役割、理事会活動の継続性について
  4. 管理会社との関係について
  5. 管理組合法人について
  6. その他(大規模修繕・耐震改修の実施、コミュニティ活動等)

まとめ

管理組合が抱える様々な問題について、1人で全てを解決していくことは困難であり、コミュニティ活動などを通して居住者間の横の繋がりを強く(仲間を増やす)して、管理組合全体で取り組んでいくことが重要。
管理会社に委託している場合であれば、管理会社の仕事を把握・確認すること。管理会社の業務の把握・確認ができているところは、管理会社の働きに満足している傾向がある。

テーマD「修繕等」

  1. コンサルの選定方法について
  2. 耐震診断結果に対するその後の方向性の検討
  3. エレベーターの保守管理について

まとめ

耐震診断をする際、耐震改修が必要との結果が出ても補修しづらいという問題や、既存不適格への対応などが話し合われた。
また、エレベーターの保守点検についてフルメンテナンス契約がよいのか、仕様の範囲内でメンテナンスを行い範囲外は別途費用が発生するPOG契約がよいのかについても意見交換がなされた。

テーマE「住まい方(管理会社との関係等)」

  1. 管理組合の理事の任期について
  2. 管理会社との付き合い方について

まとめ

同じ管理会社なのに一方ではとてもよく働いてくれる、一方では全然ダメということがある。これは管理会社の問題だけでなく管理組合の問題でもある。管理会社と対等につきあうには、理事がもっと勉強する必要がある。
管理会社の変更は慎重に進める必要があり、そのためには多くの情報を集めることが大切である。

コメンテーターまとめ

【弁護士】 役員や理事の頑張りをまわりがどうサポートするかも重要

 管理組合の運営にあたっては、一人で悩まず色々な方と情報交換しながら進めていただきたいと思います。理屈の問題で法律論、制度論とは違う次元の話しとしてコミュニティをどうやって作るか、また、役員や理事の頑張りをまわりがどうサポートするかも重要だと思います。
 退職後、地域社会に戻ってこられた団塊の世代の方など、様々な社会経験(建築知識等)を持っていらっしゃる方が管理組合に入って、積極的に参加していただくのも良いやり方なのかなと思いました。
 普段から管理費や修繕のことなどで議論されてまとまっている管理組合と、そうでない管理組合とでは、問題が起こったときの対応の仕方が全然違います。
 マンションには、近所付き合いがわずらわしいからという理由で入居されている方が、戸建てに比べて多いのかもしれませんが、出来るだけ普段からコミュニケーションをとるように心掛けていただくことが重要だと思い ます。

【【建築士】 ベストな情報を判断して取り入れるのが、管理組合の役目

有効な情報がたくさんあって、その有効な情報を取り入れて、最終的には管理組合として何がベストかを暗中模索しながら判断していかなくてはなりません。常に前を見ながらも、時折これまでの歩みを振りかえり、確認しながら進めていくことが、マンション問題・マンション管理では必要ではないかと思います。
 マンション同士の交流という点では、マンション管理フェスタという催しもあるので、そういう中で個別の交流が深まり、それが広がっていったらいいなと思います。

<個別相談会> 2月22日(日)開催

専門家から貴重なアドバイス
当日は専門家による個別相談会を実施。弁護士・建築士等の専門家から、9組(法律相談6組、管理一般相談1組、技術相談2組)の管理組合が問題解決のアドバイスを受けました。
相談内容は、管理費の未納、規則違反者への措置、ペット問題、管理人の時間外手当、修繕積立金見直しなどでした。

平成20年度「大規模修繕工事見学会」報告

大規模修繕工事見学会
入念な長期修繕計画に基づき
透明性と公平性を確保しながら取り組む。

11月29日、大阪市マンション管理支援機構として第5回目の大規模修繕工事見学会を朝日プラザペルソナージュ天下茶
屋管理組合のご協力により開催しました。朝日プラザペルソナージュ天下茶屋は、地下鉄・南海天下茶屋駅から徒歩7分の
場所に建ち、SRC造11階建・1棟・総戸数108戸のマンションです。築16年を経過し、今回が初めての大規模修繕工事です。

<見学マンションと工事の概要>

朝日プラザペルソナージュ天下茶屋(大阪市西成区天下茶屋)
SRC造11階建・1棟・総戸数108戸/築16年
工事内容(1)仮設 (2)下地補修 (3)シーリング打ち替え (4)外壁塗装 (5)鉄部塗装 (6)防水改修 (7)その他改修 (8)共用部分改善 (9)電気・給排水空調ガス設備改修 (10)その他(インターホン・防犯カメラ・直圧給水ポンプ・植栽・造園)
工 期平成20年8月18日〜平成21年3月20日予定
施工ビケンテック(株)

● 理事長自ら作成された資料をもとに説明

(写真) 総戸数108戸の朝日プラザペルソナージュ天下茶屋管理組合。まず理事長の金田さんから、自ら作成された資料「大規模修繕工事の計画と実行」をもとに説明がありました。
 参加者の皆さんが驚かれたのが、資料の充実ぶり。大規模修繕工事の概要はもちろん、管理組合の取り組み方、建設委員会の活動など細かく紹介されており、ほかにも実際に施工会社の公募や住民へのアンケートをした際の資料が添付された資料となっていました。
(写真) 今回の工事は、修繕にとどまらず、エントランスホール、管理事務所などの共用部分を中心に、より明るく安全性を高めるための改良工事にも力を入れている点も大きな特徴です。つねに透明性と公平性を確保しつつ計画を進めてきた金田理事長の説明を聞きながら、充分な修繕積立金や、綿密かつ入念な計画と実行ぶりに会場からは感心のため息が何度も漏れていました。その後の質疑応答では、修繕積立金の見直しをしたきっかけ、管理会社と大規模修繕との関係、長期修繕計画などについての質問がありました。

● 施工会社から映像で工事内容を紹介

(写真) 続いて施工会社から、現在行われている躯体修繕工事、シーリングの打ち替え工事などの模様を映像を使って、一つずつ丁寧に説明していただきました。動画なのでわかりやすく、参加者の方々も興味深そうにご覧になっておられました。

● 現場見学後の質疑応答で、活発な意見交換

(写真) そして、いよいよ現場見学。3班に分かれて、金田理事長、施工会社、監理事務所の案内で現場を周りました。塗装の過程や、補修の実演、タイルの補修の様子など説明を聞きながら熱心に見学。現場見学の後は、再び質疑応答です。施工会社の公募方法や、施工会社を選んだ決め手など、参加者からは熱のこもった質問がいくつもなされ、大規模修繕工事への関心の高さを改めて実感。そして予定の時間をオーバーする形で、無事終了しました。ご協力いただいた朝日プラザペルソナージュ天下茶屋管理組合の方々、および関係者の方々に心よりお礼を申し上げます。

平成20年度「基礎講座&相談会」報告

らいふあっぷ基礎講座&相談会
円滑な管理組合運営と適切な維持管理による快適なマンションライフをめざし 会場の様子
マンションライフにおいて発生する様々なトラブルを未然に防ぐためのノウハウを身につけることはとても大切です。建築や法律の専門家がそれぞれの立場から分かりやすく説明しました。

ご案内
10月25日・11月9日・16日開催「らいふあっぷ基礎講座&相談会」のビデオ視聴をしていただけます。
<場所> 大阪市立住まい情報センター4階 住情報プラザ内
<お問い合わせ>TEL:06-4801-8232
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セミナービデオ視聴のご案内] ※Adobe Readerが必要です。

11月16日

大規模修繕工事と長期修繕計画標準様式の解説をはじめ、修繕工事見積書の見方、建替えが成立する要件と手順など、大規模修繕と建替えをテーマに開催しました。 大規模修繕と長期修繕計画の見直し

●大規模修繕工事の必要性
 すべてのものには耐用年数があります。耐用年数に合わせて適切な時期に適切な手入れをしなければ、耐用年数に至らないうちに使い物にならなくなります。マンションの耐用年数は、部位ごとに異なり、それぞれの修繕周期があります。そして比較的規模の大きな修繕工事や改良工事をまとめて行うのが大規模修繕工事です。
●失敗しないための留意点
 業者の選定方法として、特命随意契約、見積もり合わせ、指名競争入札があります。一般的に考えて、いいと思われるのは指名競争入札です。そして最低価格を提示した業者に決めることになりがちです。しかし工事期間中の安全対策費用を見積もりの中に適切に計上しているといった業者の考え方も考慮して選定する必要があります。
 業者選定のポイントとしては、会社概要などから情報を得ることのほか、大規模修繕工事の元請としての実績があるかといったことがあげられます。それも自分のマンションの規模と立地条件等がよく似通った実績があれば、現地に足を運んで、その業者の評判を聞くことは非常に参考になると思います。それから事前に、管理組合としての評価基準や評価項目を作成しておき、ポイント制にして公開すれば全体の合意が得やすいと思います。
●大規模修繕工事がマンション管理への関心を高めるチャンス
 住みながらの工事を工夫することも大切です。大規模修繕工事をマンション管理への関心を高めるチャンスととらえ、工事の必要性の徹底、情報公開、協力体制づくりなどを通じて、組合員のマンション管理への関心を高めていただきたいと思います。それからマンションの質をあげること、社会のニーズに合った生活様式のレベルアップも必要です。高齢者対策としてのバリアフリーやセキュリティシステムの構築なども必要になってきます。
●長期修繕計画標準様式を利用しよう
 平成20年6月に国土交通省から、「長期修繕計画標準様式」と「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」が出ています。背景としては、マンションの快適な居住環境の確保、資産価値の維持・向上が問題となっていること、そしてそれには、建物の経年劣化に対応したタイムリーで適切な修繕工事の実施、適切な長期修繕計画の作成、修繕積立金の額の設定が必要であることなどが挙げられます。
 ポイントは次の3つです。1つ目は、管理組合等による長期修繕計画の内容の理解やチェックを容易にするために、作成者ごとに異なっていた様式について「標準的な様式」を策定したこと。2つ目は、長期修繕計画に設定する推定修繕工事項目の漏れによる修繕積立金の不足を防ぐため、標準的な「推定修繕工事項目」を示したこと。3つ目は、将来の長期修繕計画の見直しによる修繕積立金の額の増加が少ない「均等積立方式」により修繕積立金の額を算出するようにしたことです。
 管理組合の皆さんは、例えば、長期修繕計画の見直し等に関する業務を専門家に委託する際には、長期修繕計画作成ガイドラインを参考として依頼したり、出てきた長期修繕計画の内容をガイドラインを参考としてチェックすることもできます。ぜひ一度、ご覧いただき、参考にしていただきたいと思います。

わかりやすい修繕工事見積の見方

●工事の中身を知るのは、契約図書
 積算に関して、請負業者の見積額が高いのか安いのかというご質問をよく受けます。しかし一概に安いとか高いという判断はできません。それぞれ内訳書の内容を精査の上、高い、安いの判断ができると思います。通常、品物を購入する場合には、その品物を見ることができます。例えば、時計の場合には、高級ブランド品・国産品・まがい物の時計もあります。それを見て価値を判断されると思いますが、建設工事の場合には、できあがったものは見えません。そこでどういうものができるかというのを示したものが、契約図書になってきます。
●仕様書は仕事のレベルを示すもの
 見積書、あるいは工事費内訳書を作成するための根拠は、契約図書のみです。契約図書には、契約書と設計図面があります。契約書には、質疑応答書、現場説明書、契約書があり、設計図面は、図面、特記仕様書、標準仕様書があります。契約書には、請負金額、支払い方法、紛争処理等の方法が書かれています。契約書は、だいたいの場合、請負業者が用意してきますが、自分に都合の悪い項目というのは、削除されている場合が多いので、よく精査してください。仕様書は、図面に記載しきれない工事内容を規定したもので、仕事のレベルが記載されています。その内容によって工事の質が全く異なってくると思ってください。工事費内訳書は数量と単価の積の積上げで作成されますが、数量は数量積算基準により、単価は標準価格として刊行物に掲載・公表されています。
●まとめ
 一番問題になるのは、やはり契約図書の確認です。まず契約図書の内容を熟知してください。これは相当に根気がいりますが、よく見ていたただきたい。もしわからなければ、それぞれの担当者から説明を受けて理解してください。発注書の立場で、工事費内訳書の数量・金額、すべて根拠を明示するよう指示してください。それから、メーカーの指定など競争性を阻害する事項が書かれている場合は図面から削除するようにしてください。

建替えの検討に向けて

●修繕・改修か建替えかの判断
 一般的にマンションは、新築時から性能がじわじわと劣化して、大規模修繕を繰り返すことになります。修繕というのは、新築時のレベルに近づけるという程度の改善になります。一方、社会的な居住水準というのは、設備的な性能、耐久性、省エネ性などもろもろの水準が上がっていきます。単に従来の修繕というだけではなくて、改修という概念を入れて大規模に改修をして水準をあげていく、そういういうことが求められています。しかし、やはり最新の水準とはギャップがでてきます。築30年を超えると大規模改修で追いつかない部分がでてきますので、建替えも視野にいれて検討していただく必要性があります。つまり修繕改修か建替えかをどう判断するかですね。
 最初に、建築事務所などに建物の診断をきちんとしていただく。一方で、居住者の方々に現状のマンションでどういう不満を感じておられるかをアンケート等で調べていただき、要求改善水準の設定をします。そして修繕改修をすると、どれほどの改善ができ、どれだけのコストがかかるのかを調べます。それに対して建替えは、満足度が高いかわりにコストもかかります。両方を比較してどちらが有利か検討していただき、最終的に判断がつけば、管理組合総会で意思決定をしていただくことになります。修繕改修で形状又は効用の著しい変更を伴わない場合は1/2の普通決議、変更を伴う場合は3/4、建替えということになりますと4/5の総会決議が必要になってきます。
●建替えの方法
 建替えを行うには、「建物の区分所有等に関する法律」上の建替え決議を行うかどうか。これが大きな決め手になります。建替え決議を行わない場合はどうするかというとこれは民法の規定で、全員が一致して建て直す意思決定をしていただくことになります。しかし、この方法では非常に時間がかかるということで、建替え決議を行う方法があります。また、建替え決議をした後に、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の規定に基づき、「建替組合」をつくって、権利変換計画により権利の移動をスムーズに行う方法もあります。
●等価交換方式
 建替えの方式としては、従来からよくある等価交換方式というものがあります。これはデベロッパーがいったん土地建物を買い取ります。その評価は更地の土地の評価だけになります。買い取り価格はそこから建物の解体費用を控除した価格になります。そこに事業者がマンションを建てて最終的にその区分所有者が売った価格と同額の土地敷地利用権と建物区分所有権を与えるという契約です。この方式は最初にいったん事業者に買い取ってもらうことになり、事業者はこの時点で残っているローン、抵当権を外してくださいということになりますので、区分所有者はいったんローンを返済しなくてはなりません。
●建替組合方式
 建替組合方式は、従前の土地建物を評価して権利変換計画という書類で変換してしまうやりかたです。権利変換というのは、従前のマンションの区分所有権と敷地利用権を権利変換計画書と配置設計図という書類上で建替え後のマンションの区分所有権と敷地利用権に移行させる仕組みです。この場合、抵当権もセットでペーパー上のやり取りで処理できるというメリットがあります。等価交換方式より途中の資金的な負担を軽微にすることができます。

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平成20年度「基礎講座&相談会」報告

らいふあっぷ基礎講座&相談会
円滑な管理組合運営と適切な維持管理による快適なマンションライフをめざし 会場の様子
マンションライフにおいて発生する様々なトラブルを未然に防ぐためのノウハウを身につけることはとても大切です。建築や法律の専門家がそれぞれの立場から分かりやすく説明しました。

ご案内
10月25日・11月9日・16日開催「らいふあっぷ基礎講座&相談会」のビデオ視聴をしていただけます。
<場所> 大阪市立住まい情報センター4階 住情報プラザ内
<お問い合わせ>TEL:06-4801-8232
*詳しくはこちらをご覧ください。
  [ セミナービデオ視聴のご案内] ※Adobe Readerが必要です。

10月25日
国のマンション施策と今後についての解説はじめ、日常的にできる防犯対策とチェックポイント、関心の高い管理費等の滞納対策をテーマに開催しました。 国のマンション施策と最近の動向

 分譲マンションの現状ですが、平成19年末時点で、マンションは全国で528万戸、住んでいる方は1300万人にのぼります。これは日本全国の人口の約1割に相当します。このうち築30年以上経っているマンションは63万戸、これが5年たちますと100万戸を超えるのではないかと予想しています。また昭和56年に耐震基準を大幅に見直していますが、見直し前の基準で建てられたマンションが100万戸を超えています。
 マンション居住の動向としては、住民の高齢化、賃貸化、永住化が3つの大きな傾向です。
 そこで分譲マンションをめぐる課題として、国は何を重要だと認識しているか。そしてその課題に対して、どのような方向性で議論をしているのか。現在進行形の話でありますが、ご紹介したいと思います。
●長期修繕計画を普及させるために
 マンションを計画的に維持管理するには、長期修繕計画を作っていただくことが重要です。それも十分な計画期間を確保し、それに基づいて修繕積立金を積み立てていただきたいのですが、その長期修繕計画自体が不十分なところが多い。これが課題の一つ目です。これに対して国土交通省では、長期修繕計画の標準様式やガイドラインなどを作成し、平成20年6月に公表しています。また、長期修繕計画をつくるとこんなにいいことがあると実感していただけるような制度などをいま検討しています。
●上手に管理ができるための仕組みを
 管理組合の方々は管理の専門家ではないために、管理がうまくいっていないところがあります。そこで管理に精通した人が管理組合に入っていただく、ないしは理事長になっていただいて、代理で管理組合の仕事をしていただく仕組みが必要ではないかという議論があります。第三者管理方式とか管理者管理方式と呼ばれるものです。高齢化、賃貸化、空室化に伴う役員のなり手不足を解決する一つのオプションとして、こうした方式のルール化を検討したいと思っています。
●大規模マンションでの意志決定を円滑に
 最近、大規模な超高層タワー型のマンションが非常に多くなっています。一つのマンションの中に1000戸、2000戸といった多くの区分所有者が居住されており、合意形成が大変ではないか、何らかのルールが必要ではないかと考えています。そこで専門的に従事していただける専門部会や、理事会の中に諮問機関を設け、それを管理規約の中で明確化したうえで、ここで決めたことを、皆さんで行った決定とみなすといった方法が考えられます。多数の住民の方がいらっしゃる中で、円滑に意思決定をしていくための仕組みは、今後非常に重要になるのではないかと考えています。
●管理トラブルを現実的に処理するために
 騒音、ペット、管理費滞納など非常に多岐にわたる管理に関するトラブルが起こっています。そこで、駆け込み寺というか、何でもいいから話を聞いてもらえる、あるいはアドバイスをもらえる組織が整備できないだろうかと、現在検討しています。
●適切な維持管理や修繕・改修をするために
 高経年マンションは、適切な維持管理やバージョンアップをしていただきたいのですが、そこがうまくいっていません。例えば建物の高経年化とともに住民の方々も高齢化されていて、バリアフリーのニーズが高くなる一方で、現状ではわずかなマンションしかエレベーターが設置されていません。そこには、法律的な規制があったり、費用負担面で合意形成がとれないなど、さまざまな問題があります。それに対して何らかの仕組みがないだろうかと、これも検討しているところです。
●建替事業や団地再生を円滑に進展させるために
 改修や修繕で対応できないものは、建替えが必要になってきますが、建替えを含めた再生がなかなか進展していません。この建替事業にしましても、手続き面、規制面でネックになっているところをいま一つ一つ洗い直しながら考えている段階です。

マンションの防犯対策

 大阪府下において昨年1年間の空き巣等侵入窃盗被害は1万3600件、被害総額は約40億円程度です。また、侵入盗空き巣の62%がマンション等共同住宅で発生しています。そのマンション等共同住宅の場合、侵入口は出入口の扉が53%、窓が44%です。さらに4階建て以上のマンションでは、6割が玄関の扉から入られています。
 犯罪者が犯行を実行するのは、犯行をうまくできるチャンス、環境がある場合です。ですから防犯というのは犯行のチャンスの芽を摘むことが大切です。
 具体的な防犯対策としては、ソフト面とハード面の両方に目を向けていただく必要があります。ソフト面は、まず個人がしっかり防犯意識をもち、戸締まりを励行すること、そして挨拶など声かけを実践することです。犯人に犯行をあきらめた理由を聞くと、「ご近所の人に声をかけられたから」という答えが一番多いことからも声かけの大切さが分かります。次にマンションの管理区域を明確にする。例えばうちのマンションはここからですよと標識を立てる。また、掲示板などを活用して防犯に関する情報提供を行う。こうしたことが防犯対策につながります。
 ハード面では、お金のかかる部分ですが、補助錠(ワンドアツーロック)、窓の補助金具の取付や防犯フィルムの貼付、センサーライトの活用、防犯カメラの設置、防犯システムの導入などによって、抵抗性、監視性を高めていただきたい。マンションから犯罪が1件でも減ることを願っています。

滞納問題の解決に向けて

●滞納の予防策
 病気でもそうですが、滞納の対策としても予防が一番です。管理費等の自動引き落としはやっておくほうがいいと思います。たまたま通帳にはいってなかった、払いに行くのを忘れたといったことを防止できます。遅延損害金は、管理規約に定めておかなくても、民法の規定で、年5%がつきますが、管理規約にそこをきちんと書いておく方がよいでしょう。あるいは警告的な意味で、10%と高めにしておくことも考えてもいいかと思います。
●滞納状況の把握と対応のマニュアル化
 滞納状況を把握できるように会計処理をしておられると思います。1か月遅れたらどうするのか、2か月遅れたらどうするのか、それを理事会の皆さんで話し合うことになるのですが、そういう場合にマニュアルがあると便利です。また、管理会社との役割分担もきちんと決めておいたほうがいいですね。一般的には1か月遅れとかだと管理人さんが声をかけると思いますが、管理会社が全部やってくれるわけではない。裁判は管理会社ではできません。法的手続きを取るとなると理事長さんが代表者になります。
●滞納が発生した場合の対応策
 常識的に考えて、緩やかな方法から徐々に厳しい方法にいくのが一般的と思います。(1)電話による請求、(2)文書による請求、(3)個別訪問、(4)念書の作成の順に対応することが考えられますが、必ずしもこの順番でなくても、皆さんで話し合われたらいいと思います。ちょっと1回遅れているなという時に、まずは電話をすることになると思います。文書による請求は、一般的には通知文にして投函したり、普通郵便で送りますが、場合によっては配達証明付の内容証明郵便を利用されるのが効果的な場合もあります。また、管理費の場合は5年で時効が完成して請求できなくなりますが、念書を書いてもらうと時効が中断されます。
●法的措置
 以上の対応策をとっても駄目であれば、支払督促、少額訴訟、通常訴訟、民事調停等の法的措置をとらざるを得ません。どの手続きをとるかは一長一短で、弁護士や司法書士などの法律家に相談されるといいと思います。法的措置をとると、例えば裁判だと、最終的には判決が出て、強制執行ができます。ただし経済的事情で払えない方にそういう手続きをとっても回収できるとは限りません。費用もかかりますし、手間も結構なものです。その場合はコストと利益も考えなければいけません。

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「マンションらいふあっぷ連続セミナー」報告

マンション設備の維持管理について
快適なマンション生活を送るために、設備の維持管理は重要なテーマになっています。管理組合の役員になられた方などを対象に、専門家が様々な角度からマンション設備について取り上げ、わかりやすく説明しました。
7月13日(日)
自分のマンションの給排水設備配管や給排水方式を知ることの大切さ、そして維持管理に向けた資金計画、吹き付けアスベスト除去等補助制度をテーマに開催しました。 講座1 維持管理に向けた資金計画とすまい・る債

●維持管理から建替えまで、資金面で支援
マンション管理組合の皆様は、修繕積み立て用として、マンションすまい・る債を購入し将来に備えていただくことができます。また実際に修繕する段階では共有部分リフォーム融資があります。建替えでは住宅金融支援機構の融資を活用いただくことができます。
●マンションすまい・る債の6つのポイント
マンションすまい・る債は、毎年1回、私ども住宅金融支援機構が発行する債券です。ポイントは次の6つです。①お預かりした積立金は、機構の資産から優先的に弁済されることが法律で定められており、保全が図られています。②積み立てた債権は、機構が無料で保護預かりします。③管理組合のニーズにあわせた積立ができます。④毎年1回定期的に利息をお受け取りいただけます。⑤修繕のための中途換金は購入から1年経過で可能です。⑥各種特典が受けられます。詳しくは、ホームページ(http://www.jhf.go.jp)をご覧下さい。

講座1 吹付けアスベスト除去等補助制度
アスベストは、過去に壁や天井等の建材として幅広く用いられてきましたが、吸い込むといちじるしい健康被害を起こす恐れがあります。もしかしたら皆さんが管理しておられるマンションにアスベストがあるかも知れません。アスベストの有無の調査方法は、図面等を確認のうえ、専門機関での分析調査が必要です。分析の結果、アスベストがあると分かった場合、予防対策が必要です。対策工事としては「除去」「囲い込み」「封じ込め」の3種類あります。
大阪市では、アスベストによる健康被害に対する市民の不安を解消するために、露出した吹付けアスベストの含有調査と対策工事を行うときの一部費用を負担させていただいています。この事業は平成18年度から3年間の事業で、今年度が補助最終年度です。申込受付は11月末までです。申し込み前に事前協議が必要ですので、早めにご相談ください。詳しいことは監察担当にお気軽にお電話ください。
<お問い合わせ先・事前協議先>
大阪市計画調整局建築指導部監察担当
TEL:06-6208-9318

講座1 マンション設備の維持管理
●配管の種類は様々あります
主に給排水管の維持管理のご説明をさせて頂きます。一口に給水管といっても、道路から引き込んでいる本管、埋設されている管と、ポンプ室から屋上へと上っている管、各戸のメーターボックスの中に入っている配管、メーターから住戸の中の配管と、大きく分けてもそれくらいの種類がありまして、その配管がどういう材料かによって、傷み方と改修の仕方が変わってきます。従って、まず一番重要なのが、お住まいのマンションにどういう配管が使われていて、それがどれくらい年数が経って、どの程度痛んでいるか、ということを正確に知ることが必要です。
●給水管の種類と特徴
一般的に多く使われているのが、硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLP)です。鉄管の中に塩化ビニル管(塩ビ管)が挿入されて入っています。耐衝撃性塩化ビニル管(HIVP)は、錆びることはありませんが、ウォーターハンマーなどの衝撃で割れることがたまにあります。高性能ポリエチレン管は一番衝撃にも強く、耐久性もあります。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管は主に屋内の専有部分の配管で、最近のマンションはほとんどこの2つの種類のうちのどちらかが使われています。比較的自由に曲がりやすい管です。鋳鉄管は共用部分で、本管からの引き込み等で使われている、口径の太い管です。鉛管は、5年ほど前から国の水質基準が強化され、今は使用できません。
●排水管の種類と特長
排水管として主に使われているのは塩化ビニル管です。一般にVPと呼ばれ、材質は同じで厚みの薄いVUというものもあります。耐火二層管は硬質塩化ビニル管の周りに耐火被覆がされており、防火区画貫通に使用されています。配管用炭素鋼管は、いわゆるガス管、SGPと呼ばれている配管です。一番寿命の短い配管で、要注意な配管です。排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(DVLP)は、VLPと同様、鋼管内に塩ビ管が挿入された管で耐久性が高い管です。
鋳鉄管はトイレの排水などに使われている配管です。銅管は非常に耐久性の高い配管で、30年経っても心配いらないし、問題も起きていません。特殊コーティング管は一時流行りましたが、5年くらい前にメーカーが倒産して、代替部品がないため、今後の維持管理に気をつけていく必要があります。
●給水設備の給水方式
一般的なシステムは、高置水槽方式です。15年以上前のマンションはこの高置水槽方式が多いと思います。デメリットは、上階では水圧がかなり低くなることです。ポンプ圧送方式は、高置水槽がありません。受水槽で貯めた後、圧送ポンプを使って各戸に直接給水しています。大規模なマンションや超高層のマンションはほとんどすべてこのタイプです。
ブースターポンプ方式は、増圧給水方式とも呼び、最新の方式です。高置水槽も受水槽もなく、本管から各戸の蛇口まで水槽を経ずにフレッシュな水が送られてきます。直結給水方式は、大阪市では3階までポンプを使わずに上げられる形式です。タウンハウスや低層マンションに限られます。
●増圧給水方式に改修
増圧給水方式に変更する場合、最寄りの水道局に行き、事前協議をします。30年くらい経った古いマンションで、配管を替えるだけではなく、ブースターポンプを入れるなどの改修工事を同時にやれば、画期的な改修ができると思います。増圧給水方式の長所は、水の安全性が高いことと省エネの2つ。そして維持管理費の軽減で、水槽の清掃や水質検査がいらなくなります。また、上階の水圧の低さが解消され、受水槽ポンプ室の跡地が有効利用できます。耐震上も高置水槽を取ることで、若干のメリットがあります。
●排水方式
排水管は、住戸の中で流した水が高いところから低いところへ問題なく建物の外に流れていくことが基本です。ただ、排水管の方が給水管より問題点が非常に多いです。なぜ難しいかというと、自然の力でスムーズに水を流してやらないといけないということで、ちょっとでも勾配が緩いと水が流れません。また、緩いところに一気に水を流すと、ボコボコという音が鳴りますし、洗面所とか洗濯機のところに吹き上がってくるというようなことが起こりえます。そういうことを未然に防ぐことが必要になります。
●給排水管の更新と更生
「更新」は、配管を新しく取り替えることで、「更生」は配管を取り替えずに、配管の内部を樹脂でコーティングすることです。給水管ですが、基本的にはメーターまでの配管が共用部分で、メーターから内側の配管が専有部分です。給水管は原則、「更新」で対応します。中には管理組合が専有部分の配管まで直さなくてもいいとおっしゃる方もいると思いますが、住戸内の洗面所の床下などを各個人がまちまちにやるよりは、管理組合が専有部分を含めて給水管と排水管、できれば給湯管の3つの配管をまとめて交換するのがベストだと思います。また、「更生」についてですが、給水管の「更生」は、技術的にも改善され、改修工事の実績もできてきています。
一方、排水管の「更生」は、比較的最近の技術で、急速にライニング工法が普及してきています。排水管は取り替えようと思うと、台所からトイレ、洗面所、お風呂などすべて床下を通っていますから、リフォームするくらいあちこちの床をめくらなくてはなりません。その上、排水管の取り替えに、3日も4日も家にいないといけません。だから排水管は「更生」がベストだと思います。
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平成20年度「連続セミナー」報告

マンション設備の維持管理について
快適なマンション生活を送るために、設備の維持管理は重要なテーマになっています。管理組合の役員になられた方などを対象に、専門家が様々な角度からマンション設備について取り上げ、わかりやすく説明しました。
7月8日(日)
マンション設備のトラブルに対する対処法をはじめ、消防点検のポイントや防災訓練の大切さ、そして古くなったガス設備のリニューアルなどをテーマに開催しました。 講座1 マンション設備のトラブルの事例と対処法

●ペット、駐車場、騒音が3大トラブル
(社)高層住宅管理業協会が平成17年に苦情相談状況をまとめた資料をみますと、苦情が多いのは、まずペットの問題。そして駐車場の問題。これは違法駐車の問題です。そして音の問題。最近はこの音の問題が管理組合にとって悩ましい問題になっています。ペット、駐車場、騒音が3大トラブルといわれています。その他、水漏れなどの設備関係の問題や防犯対策の問題などがトラブルとして非常に多くなっています。
●トラブルの対応基本原則
トラブルの対応基本原則をご紹介します。まず対応ルート、すなわちトラブル時にどこに相談すればよいかなどを把握しておくことです。そして逃げ腰にならず積極的に迅速に対応することです。さらに管理組合の理事会などで経過の報告をしておく。このように初期段階から話し合いや分析を進めていけば解決の糸口が見つかります。こうしたことを積み重ねますと大切なデータになります。 お互いの言い分を聞き、2つ、3つと代替え案をだして話しあうことが大切です。さらに理事会、管理会社と密に連絡をとる。当事者同士で解決するのは難しいと思います。そして、理事会の役員になられた方は、管理規約と使用細則、それと管理委託契約書に目を通していくこと。法律的なことを知っておけば、逆に解決のためのアドバイスができるようになります。
●音の問題解決について
音の問題は、昨今、非常に大きな問題になっています。上下階でいろんな音がうるさいという話が聞かれます。洗濯機、ピアノなどの日常生活音の大きさを理解しておけば、音を出す側の意識も違ってくると思います。ただ、音の感じ方には非常に個人差があります。自分は不快に思わなくても、他の人は不愉快な音に聞こえることがあったりします。そういう時はどうすればいいのか。やはり日頃のコミュニケーションです。上下階でお互いが顔見知りになっておく。顔見知りになっておけば、トラブルにならずにすみます。
●設備関係の漏水トラブルについて
設備関係のトラブルですが、主に漏水についてお話しします。専有部分の漏水は、お住まいになっている方が気をつければ解決することはできます。もし機器類から水が止まらないときはどうするか。その時は止水栓を止めます。それともう一点は配管を壊したとか、何らかの事故で配管から水が漏れる時は、まず玄関を出た共用部分にパイプスペースがあります。そこに量水器があります。この量水器横のバルブを止めていただくと、共用部分からの水が供給されませんから水は止まります。緊急の場合は、こちらを止めていただくことが大事です。
●一番簡単な漏水の見分け方
機器類ではなくて配管のトラブルによって漏水をおこすこともあります。我家が漏水しているのか、配管が漏水しているかの一番簡単な見つけ方は、各部屋の機器を全部閉栓していただいて、量水器の蓋を開けてみていただく。そこでパイロット針がくるくる回っている場合は漏水している。全部閉めているのにここが回っているということは、どこかから漏水していることになります。
●維持管理は誰が行うか
私は維持管理なんて知りません、とは言えません。なぜなら、マンションの所有者である限り、必ず維持管理をする必要があると建築基準法第8条1項にあるからです。そして管理組合をサポートするのが、マンション管理士や管理会社、建築士などです。

講座 ガス設備のリニューアル 径年埋設内管対策について

平成に入ってから全国で古いガス管の腐食が原因でガ ス事故が起こっています。当時の通商産業省、今の経済産業省から全国のガス事業者に対して、古いガス管の改修を推奨しなさい、という指導がありました。そこで大阪ガスでは平成10年から、昭和56年以前に建築された建物の敷地内に埋設されている古いガス管を取り替える工事を進めています。
資産区分は、道路側のガス管が大阪ガスの資産になり、敷地境界から内側のガス管がお客様資産です。従って敷地内のガス工事費に関しましては、お客様に費用が発生します。4年前から改修費用の一部を、国が補助する「経年埋設内管対策補助金」があります。最大で工事金額の半額(上限1000万円)の補助が国から出ます。ただし、ガス管の埋設年が昭和50年以前であること、建物が鉄筋・鉄骨系建物であること、ガス管が建物の下に埋設されていること等の条件があります。皆様のマンションでも、対象になっているかも知れません。マンションの建築年数などを確認して頂いたうえで、私どもにご連絡いただければと思います。
<お問い合わせ先>
大阪ガス(株) 大阪導管部 設備改善チーム
経年内管改善グループ
TEL:06-6586-1107

講座 消防点検と日常の防火対策

●建物火災のうち約45%が共同住宅、併用共同住宅
大阪市内の火災の発生状況ですが、平成19年は1392件発生しました。そのうち建物火災が944件。この建物火災のうち約45%が共同住宅と併用共同住宅の火災です。これは分譲マンションだけではなくて、木造の共同住宅なども入った数字です。また、火災原因としては、放火が一番多くて、次にたばこ、天ぷら油、ガスこんろレンジの4つが多くを占めています。
●消防法に定める防火管理制度と点検報告義務
消防法では、防火管理の推進役としての防火管理者を定めて、消防計画の作成や、計画に基づいて防火管理上必要な業務を行うように義務づけられています。同じく消防法では、消防用設備等の種類ごとに、点検の内容と期間が定められています。外観点検、機能点検、作動点検は半年ごと、総合点検は1年ごとに点検することが、定められています。
●防火施設等のチェックポイント
防火施設は、火災の延焼拡大や煙の拡散を構造的におさえるもので、耐火構造の壁、床、防火戸、防火シャッターなどで構成されています。点検ポイントは、防火戸・防火シャッターに閉鎖障害がないかどうか、完全にぴたっと閉まるかどうかなどです。そして自動閉鎖装置、一般的にドアクローザーといいますが、これがきちんと機能するかどうかも点検のポイントです。
●避難施設のチェックポイント
避難施設としては、避難通路、避難口、階段などがありますが、バルコニーも一時的な避難場所として重要な部分です。多くの場合、隔壁があって、この隔壁を破って隣の住戸に移れるような構造になっています。このバルコニーの管理をしっかりしておかないと、火災が延焼拡大する可能性もあります。ですから日常、各ご家庭で可燃物を置かない等気をつけていただくことが大切です。
●自衛消防訓練
万が一の時に的確に組織だって動いていただくためには、日頃から自衛消防訓練を行うことが必要です。訓練には、通報訓練、消火訓練、避難訓練、そしてこの3つを総合的に行う総合訓練があります。時間をとっていただくのは大変だと思いますが、自衛消防訓練は人命の保護と災害の拡大防止のためにも必要なことです。組織だった活動ができるようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。

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「マンションらいふあっぷ連続セミナー」報告

マンション設備の維持管理について
快適なマンション生活を送るために、設備の維持管理は重要なテーマになっています。管理組合の役員になられた方などを対象に、専門家が様々な角度からマンション設備について取り上げ、わかりやすく説明しました。
7月26日(日)
いま話題の地上デジタル放送と電波障害対策をはじめ、マンション管理組合の損害保険の種類とつけ方、そして電気設備のリニューアルをテーマに開催しました。 講座1 マンション管理組合の損害保険
●マンション共用部分の損害
マンションの共用部分で保険の対象になる事故にはどういうものがあるのか。代表的な事故は火災事故です。風災事故は、台風が来たときに、物が飛んできて壊されるといった事故です。水災事故は、地下駐車場に水が入ってきて、電気式の昇降装置が壊れてしまう事故などです。給排水設備に生じた漏水事故で、共用部分の天井が濡れてシミができることあります。それから破壊行為等による事故として、落書きや、盗難に入ろうとしてエントランスを壊すといった事故があります。これらの事故は、すべて広い意味での火災保険の範疇になります。
●マンション内の賠償事故
もう一つは賠償事故があります。賠償事故には3つの類型があります。まず居住者間の賠償事故があります。それからマンション管理組合の管理に起因する賠償事故。例えば、壁の一部がメンテナンス不足のために崩落して、下の誰かにぶつけて怪我をさせてしまう場合。それから居住者によるマンション共用部分に対する賠償事故。エントランスホールで子どもが遊んでいて、何かを壊してしまう事故などが考えられます。これらはすべて保険の対象になります。
●マンション管理組合用の保険とは?
マンション管理組合用の保険ですが火災、落雷、破裂・爆発、風、ひょう、雪災、この6つの損害については住宅火災保険に伝統的な補償内容です。ちょっと補償を広げたものとして住宅総合保険がありまして、外部からの物体の飛来や水ぬれ、水害に対する損害も補償します。
ここまでが住宅総合保険の補償内容ですが、さらに各社、保険の自由化以降、いろんな保険を出しています。一般的に追加補償されているのが、電気的事故、機械的事故です。それから賠償責任について、特約の形でセットで保険に入ることができます。一般的にこれを全部一つのパッケージしたのが、マンション管理組合用の保険として販売されています。
●個別付保契約方式と共用部分一括付保契約方式
次にマンションの保険のつけ方ですが、まず区分所有権は、専有部分に対する所有権と共用部分についての共用持ち分、この2つからなっています。そこで保険のつけ方も2つあります。一つは、個別付保契約方式、それからもう一つが、共用部分一括付保契約方式と呼んでいます。個別付保契約方式は、マンションの居住者の方が、それぞれに自分の専有部分と共用持ち分にかける方法です。それに対して、専有部分については各区分所有者の方でかけていただいて、共用部分は管理組合がまとめてかけるのが共用部分一括付保契約方式です。保険上は、一括方式をお勧めしております。
●上塗り基準と壁芯基準
では一括方式で保険をかけようと決まった場合、共用部分はどこまで保険をつけるのか。エントランスや階段が共用部分だということはわかりますが、学説も分かれているのが、住戸の境界の壁の部分です。上塗り説と壁芯説の2つがあります。上塗り説は、境界壁はすべて共用部分で、上塗り部分だけが専有部分だという説です。学者の方は上塗り説を採られている方が多いです。壁芯説は、境界の壁の中心線を境界とする説です。学説は分かれていますが、保険上は上塗り基準でつけることをお勧めしています。
●ご契約金額の決め方
次にご契約金額の決め方ですが、まず新価と時価という考え方があります。同じ建物を再度建てるときにかかる金額、これを新価といっています。これに対して時価は、再調達価額から使用による消耗分を差し引いた金額をもとにつける方法です。新価でつけるメリットは、建て直す、あるいは修理するときに自己負担がない。一方、時価のメリットは、保険のご契約金額が低くなるので、安くかけられる。保険料が安いということです。我々は新価をお勧めしています。事故が起こったときに、保険金で全部まかなって頂ける。それが保険の使命と考えておりますので、ぜひ新価でつけられることをお勧めします。その他にも、全部保険と一部保険という考え方もあります。どういう契約方式になっているのかをよくご確認のうえご契約いただきたいと思います。
講座1 マンションにおける電気設備のリニューアルと増設について
古いマンションの電気設備には大きく3つの問題点があります。1つ目は経年劣化です。ケーブル劣化によって漏電する可能性、あるいはブレーカーの劣化によって遮断性能が劣化する可能性がありますが、通常は30年以上十分寿命がありますので、それほど問題はありません。2つ目は安全性です。昭和40年代に建ったマンションなどに、漏電ブレーカーや主幹ブレーカーが付いていない事例があります。漏電ブレーカーがない場合は、感電事故や漏電による火災の可能性がありますし、主幹ブレーカーがない場合は、一気に複数戸数で停電する可能性があります。3つ目は容量不足です。20、30年前は、電化設備が現在ほど使われることは想像されていなかったので、対応できないことが考えられます。
そこで安全性を高めるため、あるいは電気容量不足に対応するため、幹線改修、オール電化、厨房電化など、さまざまな電化リニューアル工事を行うことが考えられます。まず、自分のマンションがどんな設備かを調査しないといけません。管理会社や電力会社にご相談ください。長期修繕計画の中に、電気設備のリニューアルの計画を入れることを、ぜひご検討いただければと思います。
講座1 地上デジタル放送と電波障害
●放送のデジタル化の意義
現在、世界20カ国以上でデジタルテレビ放送が開始されています。さらに今後、順次デジタルテレビ放送が開始される予定になっており、放送のデジタル化は、世界的な潮流になっています。放送をデジタル化することで、どうなるかといえば、高画質・高音質の放送が可能になることはもちろんですが、その他に、データ放送でさまざまな情報がリアルタイムで入手可能になってきます。また字幕放送が標準装備されることで、高齢者、障害者に優しいサービスの充実が期待できます。それから携帯端末向けサービス、いわゆるワンセグといわれていますけど、屋外でも移動中でもテレビの視聴が可能になります。
●国民の理解とこれからの課題
アナログ放送終了時期の認知度は約64.7%、それからアナログ放送が終了すること自体の認知度は約92.2%です。デジタル受信機の普及が約3500万台、世帯普及率は43.7%になっています。送信エリアは、世帯カバー率が約93%。近畿管内でいえば、約750万世帯、95%がカバーされています。
受信側の課題の対策として、まず来年度までに5000円以下の簡易なチューナーを開発し、流通の環境整備を進めます。また、2009年度から生活保護世帯にチューナーやアンテナを無償現物給付することになっていますが、具体的な方法は、今後検討することになっています。
●受信者支援センターを設置
今後、地域特有の問い合わせですとか、個別具体的な受信方法に関する問い合わせなどが増加するものと見込まれます。こうした状況に適切に対応するためには、地域の実情に応じたよりきめ細かい対応が必要になってくるということで、今年の秋に全国に10箇所程度、受信者支援センターが設置される予定です。さらに来年度、各都道府県に少なくとも1箇所は設置されることになっています。
●集合住宅の共聴施設の現状
地上デジタル放送対応の現状ですが、対応済みの共聴施設は、改修不要と改修済みを合わせて約54%。半数近 くが改修が必要になっており、そのうちの約89%が改修計画が未定になっています。
また、比較的建築年数が新しい高層マンションは、改修不要又は、機器の調整程度で済むケースが多くなっています。逆に、VHFしか電送できない施設は、大規模改修になるケースが多いのですが、改修方法によっては少ない費用で行なうことが可能な場合もあります。
●都市受信障害共聴施設の地デジ対応に係わる考え方
基本的な考え方ですが、デジタル放送で受信障害が解消された世帯では、受信障害対策は不要です。それからデジタル放送でも受信障害が継続する場合は、受信障害を発生させる建物の所有者と受信者を当事者とする協議により対応します。つまり、あくまでも当事者相互による自治的処理が原則です。従って、協議が整った場合は、その協議の内容が優先されます。
費用負担の考え方ですが、個別受信との公平性といったものを考慮すると、当事者がそれぞれ応分に負担することが妥当です。具体的には、受信者はデジタル放送の受信に通常必要とされる経費、それから所有者は受信者負担分を超える経費をそれぞれ負担するのがいいのではないか、ということです。
また、2011年にいきなりテレビが見られなくなると大きな混乱が生じることになりますので、改修や個別受信への移行といったことに限らず、住民に対する説明をぜひやっていただくようお願いします。
●地上デジタル放送に便乗した悪質商法が頻発
地上デジタル放送の認知度もあがるにつれ、切替工事と称して、工事もしないで金銭を前もって支払わせるケースなど、悪質な商法による被害が発生しています。地上デジタル放送の対応で、総務省や放送事業者が、お金を請求することは一切ありません。被害に遭わないためには、よく分からないまま、請求に応じたり、お金を振り込まないようにすることが大切です。十分注意していただきたいと思います。