「マンションらいふあっぷ連続セミナー」報告

第3回 7月30日
「水漏れ事故の事例とマンション損害保険」

●マンション保険における水漏れ事故対応
 水漏れ事故はマンションの中のどこから発生するかわかりません。実際に夜中に水漏れが起こったときに、皆さん、慌てられるわけですが、実際、マンション保険にお入り頂いている中で、水漏れが起こった時に、使える場合、使えない場合、いろんなケースがあります。これを具体的にご説明させて頂きたいと思います。
 マンション保険には、次のような特約があります。「施設賠償責任保険」は、加害者側が管理組合様の場合に使う保険です。「個人賠償責任保険」は、住民のお住まいのところからの水漏れ事故の時等に使います。「水濡れ原因調査費用保険」は、水漏れ事故の原因を突き止めるために壁や床をはがすときの費用です。

●水漏れ事故例
 例えば、共用部分の屋上タンクないしは給水管や給湯管から水が漏れました。その水は、Aさんの住宅に被害を与えてしまいました。加害者は屋上タンクを管理している管理組合様です。Aさんは、管理組合様に対して、「うちの被害を全部弁償してくれ」と訴えることができます。管理組合様がマンション保険にご加入されておりますと、施設賠償責任保険の部分からAさんの被害についてお支払いできます。
 今度は、Aさんの住宅から水が漏れたと仮定します。階下にお住まいのCさんは、住宅を汚されてしまったわけですから、被害者です。AさんはCさんに対して修理代を全部弁償しなければなりません。ところがマンション保険がありますと、個人賠償責任保険で、Cさんの住宅の修理代を支払うことができます。次に、Aさんから漏れた水が共用部分に行ってしまった場合。管理組合様が被害者です。加害者は住民のAさんです。管理組合様は、住民に対して、弁償してくれ、と言わなければいけませんが、マンション保険がありますと、先ほどの個人賠償責任保険を使いまして、ここの部分は直します。
 今までは単純な水漏れということでご説明さし上げましたが、例えば、縦管の部分、横引き管の部分、どこから水が漏れたか分からないけど、被害者がいらっしゃるというようなケース、けっこうあるかと思います。原因をはっきりさせるために、あちこちめくり、いろいろ調査します。お風呂場の奥とかでしたら、そこを壊さないといけないわけです。そうしますと、下の階の修理代以上に、工事費用、調査費用が高くつきます。ところが、先ほどの水濡れ原因調査費用保険という特約が付いていますと、調査修理代金についても保険金から出ます。

●損害保険を付けることが、標準的な対応
 今まで区分所有法や標準管理規約などマンションに関する法律中で、管理組合様が共用部分にマンション保険をつけなければならないという記載はありませんでした。ところが、国土交通省が「マンション管理標準指針」を策定致しました。これは平成17年12月15日に公表されています。「管理組合が、マンションの構造、築年数、区分所有者の要望等を勘案し、適切な火災保険その他の損害保険を付保している」ことを標準的な対応と策定、ということで、管理組合様に何かあったときに、共用部分に損害保険を付けているのが標準的な対応と、初めて言及されております。
  マンション建物の適正な維持に向け、万一の場合の原状回復に損害保険の果たす役割は大きいと思われます。

「修繕資金の調達方法」

●工事費がかさみ、資金が足りなくなったら
 平成19年4月に住宅金融公庫は、独立行政法人住宅金融支援機構に引き継がれますが、今後ともマンション維持管理の支援を行ってまいります。
 さて、外壁工事や屋上の防水工事などは定期的に行われますが、そこに設備関係の工事が加わる20年後、30年後になると、どうしても工事費がかさみます。それまでは修繕積立金でまかなえた工事費が足りなくなり、一時的に借り入れに頼らざるを得ない状況が多々あろうかと思います。そんなときに活用をご検討いただきたいのが、公庫の「マンション共有部分リフォームローン」でございます。

●完全固定金利で、個人保証や担保も不要です
 マンション共用部分リフォームローンの特長として、次の4つが挙げられます。特長1は、最長10年間のローンで、完全固定金利です。固定金利と変動金利。住宅ローンは大きく2つに分かれます。民間金融機関が比較的多くだされているのは変動金利ですが、今のような金利の上昇傾向の場合は、固定金利にシフトするお客様が非常に増えています。特長2は、融資額は工事費の80%までで、1戸あたり150万円が限度額となります。平均すると、1戸あたり約40万というのがご利用実態です。
 特長3は、管理組合の法人格の有無は問いませんので、法人格がなくてもご利用できます。特長4として、融資には必ず保証人や担保がついて回りますが、(財)マンション管理センターが保証人になります。だから理事長様がご自分の専有部分を担保に入れたり、保証人になる必要はございません。
 他にも、ご利用いただける管理組合の要件等がございますが、ご利用をお考えの方は、気軽に私ども公庫へご相談ください。


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「マンションらいふあっぷ連続セミナー」報告

第2回 7月16日
「トラブルの事例と対処法」

●トラブル発生の要因とは
 今回は設備関係ということで、漏水をメインにトラブル事例をご紹介します。
 まずは、機器類が古くなったことが原因による漏水の例を挙げますと、ガス給湯器の給水管、袋ナット部の緩み、食器洗浄機の故障、ユニットバス周りのシール切れや壁面シートの剥離、洗面台の給湯側止水バルブの袋ナットの緩み、洗面排水管U字トラップ袋ナットの緩み、洗面台シャワーヘッドとホース接続部分の取付不良、流し下の給湯配管の接続不良、台所排水管の接続不良、ウォシュレットへ接続している給水管の袋ナットの緩み、エアコンのドレンホースの接続不良などがあります。その他に高置水槽や受水槽の劣化による漏水もあります。
 さらに、排水管、給水管、こういった管類のトラブルも非常に数多く起こっています。配管が古くなると、どうしても材料が劣化し、錆こぶができたり、ピンホールができて、それが原因で漏水を起こします。これらのことは、もちろんガス管にも同じことが言えます。
 また、漏水には「取扱不備」のケースもあります。例えば、単純ミスで漏水を起こす。洗濯機なんかですと、ホースの接続不備のまま水を流してしまう。給水栓を閉栓するのを忘れている。こういった単純ミスが原因で漏水を起こすというようなことがあります。

●さまざまなトラブル対応策
 専有部機器類の漏水の対応策としては、まず機器類についている止水栓をとめること。それでも止まらないときは水道メーターの止水バルブを止めること。こうすれば専用部へ水は行きません。この対応策をしっかり覚えておくことは、とても大切です。
 次に劣化配管の対応策としては、更生工事。これは配管内部をコーティングするなどして延命させる方法です。もう一つは、更新工事。これは取り替えることです。最近は、更生工事も更新工事も、費用的にはそう変わらなくなりました。それに最近は技術の進歩で優れた配管が出ておりますので、更新することを私はおすすめします。 
 ここで、漏水の見分け方をお教えします。本当に微量な漏水の場合はなかなか分かりません。水道メーターの下側になるパイロット針をみれば、使用中は普通動いているわけですね。そこで、使用している水栓(蛇口)を一度全部閉めてしまいます。それでもパイロット針または1指針が動いていれば、どこか漏れているということです。一度帰ってからメーターをご覧になってください。

●メンテナンスの管理責任者は、管理組合です
 
次に、維持管理は誰が行うのか、ということですけど、これは法律行為なんですね。建築基準法の第8条1項には、「建物の所有者、管理又は占有者は、その建物の敷地、構造及び建物設備を常時適法な状態に維持するように務めなければならない」となっています。そして、メンテナンスは、共有部は管理組合さんが全部責任をもってやるべきだと。ただし管理組合さんは、専門の方ばかりがおられるわけではありません。そこでサポートために、こういったマンション管理士、管理会社、建築士などがおられるわけですから、そういった方々の協力を得て、しっかり維持管理していて頂きたい、というのが結論です。

「事例から学ぶガス設備のリニューアル」

 ガス配管も、経過年数によって老朽化が考えられます。とくに埋設ガス配管は、土中の水分等の影響により腐食が進行し、ガスの漏洩につながる恐れも考えられます。大阪ガス管内では、幸いなかったのですが、九州や関東で、ガス管老朽化による死亡事故が発生しており、経済産業省から、全国のガス事業者に対して、地中埋設されているガス管の取り替えを促進しなさいという通達がございました。
 大阪ガスでは、平成11年から皆様にPRをしながら、おおむね20年以上経過した、主に埋設ガス配管の取り替えをおすすめしております。取り替えする材料には、腐食や地震に強いポリエチレン管を使用いたします。
 ちなみに、敷地外のガス管は大阪ガスの資産ですが、敷地内のガス管はすべてお客様の資産です。ですから改修費用もお客様のご負担になります。今後とも安心して都市ガスをお使い頂くためにも、ご自身で安全管理をするという考え方が大切です。実際、費用がいる話ですので、改修の検討をしていただき、改修時期などの相談をさせていただきながら進められればと思っております。よろしくお願いします。

「事例から学ぶ電気設備のリニューアル」

 古い集合住宅の課題として、近年の家庭用電気機器の急速な普及に伴って、住戸内の回路数が不足していること。分電盤さらには建屋内電気幹線(受電設備から各戸までの配線)の容量不足が顕在化して、各住戸で電気機器の使用制限のケースが発生してきています。それから旧式の分電盤にはメインのブレーカがない場合があり、電気を使い過ぎると、各住戸の影響が他の住戸まで影響が及ぶことがあります。さらに無理して電気を使うと、細い電気配線に過大な電流が流れることがあり、それと配線等の経年も影響して、火災発生の危険性も高まってきています。つまり、経年の集合住宅においては、現状では、現代の生活水準に合わなくて、そろそろリニューアルしないといけない時期にきているということです。
 これは関西電力の調べですが、昭和40年頃は、30Aくらいの分電盤で4回路というのが主流でしたが、現在では、最大で100A、24回路。これくらいの分電盤の容量が主流になってきています。通常のマンションでは60A、12回路くらいが中心です。
  リニューアルには、当然費用がかかります。関西電力では、貸付配線制度等を用意して皆様の電気設備リニューアルをお手伝いしておりますので、気軽にご相談ください。


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平成18年度「連続セミナー」報告

マンション設備の維持管理について
築20年、30年を超えると、マンションの設備も老朽化し、様々な問題が発生します。より快適で安心な暮らしをおくるために、また大切な資産価値を維持していくためにも、設備の維持管理は大切です。そこで3回連続セミナーを開催し、多角的かつ具体的に維持管理の方法をご紹介しました。

第1回 7月2日
「マンションにおける給排水設備の基礎知識とリニューアル」

●築20年以上のマンションが抱える問題
 配管の劣化は、誤解を恐れずに言えば、起こるべくして起こります。今皆様がお住まいのマンションで、どういう配管が使われているか、市水引込管や、揚水管、共用たて管、専用部分等部位ごとにきっちり理解することがまず必要です。今、ここに出席されている方のマンションは、ほとんど築10年以上、それも20年を超えるところが多いので、おそらく配管の水漏れとか劣化が、すでに問題になっていたり、「これからどうしたらよいのか」先の展望が見えずに戸惑っている状況と思います。その状況を踏まえ、今日のお話にさせて頂きます。
 過去の分譲された経緯で、何年頃に建ったのか、民間分譲なのか、公的分譲なのか。あるいは建築形状や階数などで、使われている管の種類がだいぶ違って来ます。10年、20年、30年前と、遡れば遡るほど、その当時は最新の技術ですけれども、今となっては「なんでこんなことをしていたのか」ということがたくさんあります。

●給水管の種類と特徴
 まず給水管ですけど、最も多いのが水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管。VLPと呼ばれる管です。中がビニールで、外が鉄という二重の管です。耐久性のある良い管ですが、ジョイント部分が錆びやすく、いま問題を起こしているのもこの管種です。次に、耐衝撃性塩化ビニル管。HIVPです。ビニル管は安っぽいイメージですが錆びないので、実は耐久性に非常にすぐれています。VLPとHIVPの2つの管が、約9割を占めています。2つのどちらかのマンションが多いので、一度、帰ってから、図面や今まで事故が起きた管を調べてみてください。
 あとは、使われているケースが少ないのですが、30年以上の前のところでは、メーターボックスの中に鉛管が使われているケースが時々あります。鉛管は、自由に曲がるから、メーターボックスの中のような狭いスペースでも配管がしやすく、当時はたくさん使われていました。でも今は、鉛管は使用が禁止されていて、基本的に取り替える必要があります。
 架橋ポリエチレン管とポリブデン管。両方ともプラスチックで、可とう性にすぐれ、自由に配管できます。従ってジョイント部分が非常に少なくて済む。ビニールパイプみたいに割れないし、非常に衝撃に強い。究極の管です。最近の新築マンションはほとんどこのどちらかの管が使われています。配管を今度取り替えるときは、これらの管をぜひおすすめします。
 鋳鉄管は、大阪市内で使われているケースは少ないが、自治体によっては引き込みは鋳鉄管でないと駄目というところもあるので、引き込みに限っては給水で鋳鉄管が使われていることもあります。

●排水管の種類と特徴
 次に排水管です。排水管も主流はビニール管です。VPとVUとがあります。VPは比較的肉厚のある配管で、VUはローコストにするために少し薄くしています。排水は水圧がかかりませんから、支持がきっちりしていれば、VPでもVUでもいいんですが、当然薄い方が割れやすいので、マンションでは一般的にVPを使います。
 ビニール管がなぜ割れるかというと、熱です。お風呂のお湯を流したり、台所で熱湯を流したりする。80度、90度のお湯が一気に流れてくるので、配管が伸び縮みします。それが10年、15年たってくると、ある日、突然、パチッとひびがはいり、じわじわと漏れることになります。基本的には錆びないので、事故が起きる確率は、20年過ぎて100件に、年に1件か2件以下という確率なので、25年たったから全戸取り替えようかというような必要性はないと思います。ビニール管が使われているから安っぽいマンションということではなくて、結果的にはいい選択、長持ちする、重大性の少ない配管です。
 耐火二層管は、ビニール管の外側に繊維モルタルの外管を被覆している火に強い材料です。本来の目的は耐火被覆なんですけど、遮音性もあります。配管用炭素鋼管(SGP)は、排水に用いると内面が錆びるため、耐久性に問題がある管です。SGPが使われているマンションは少なくないので注意が必要です。
 排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(DVLP)は、内面がビニールでライニングされた管です。水圧がかからないので、この小口面が多少錆びてきても、水は大量に漏れることは少なくあまり問題はありません。鋳鉄管(CIP)は、特に汚水管、トイレの裏にある管です。汚水は非常に酸もきついし錆びやすいので、昔から鋳鉄管を使っています。耐用年数は30年以上ですが、埋設排水管は20年もたないことが最近、実例としてわかりました。銅管は、耐食性や抗菌性に優れていますが、最近、銅管のジョイント部分(鋳鉄)から漏れるケースが最近よく出てきています。特殊コーティング管は、何社かメーカーがありますが、鋼状の非常に硬い鋼管の内面に、硬い樹脂をコーティングした管です。

●増圧給水方式に改修
 次に給排水設備のリニューアルについてです。最近はブースターポンプを取りつけ、受水槽高架水槽を設けずに直結増圧給水方式に取替えるケースが増えています。
 大阪市の基準で110戸までのマンションで施工できます。階数も15階程度までですから、この条件のマンションだったら、ブースターポンプ取り替えをぜひ検討してください。それ以上の戸数は水道局へ相談してみてください。
 ブースターポンプによる増圧給水方式の長所は、まず水の安全性が高いこと、省エネ、維持管理費の低減などです。さらに上階で水圧が低いのが解消されます。それと、受水槽ポンプ室の跡地が有効利用できます。建物の中に設置していたら、それがごそっとなくなりますから、集会場や倉庫に有効利用が可能です。外構に設置にしていたら駐車場にするとかもできます。

●給水管、排水管の更新と更生
 更新と更生。ともにわかりにくい業界用語ですが、更新は取り替えのことで、更生は内面ライニングのことです。
 給水管の場合の工事区分は非常に明快で、共用部分の工事をしようと思ったら、メーターまでの工事をすればいいし、専有部分の工事をしようと思ったらメーターから内側の工事をすればいい。管理組合としたら、専有部分の工事なんかほっておけ、という話が今まで主流でしたが、問題が起きるのは、専有部分が多いのが実情です。だから専有部分の改修も管理組合が主体的に取組むことが望まれます。一般的に共用部分は更新、専有部分は更生が多くなっています。
 排水管のライニングは難しい技術がいります。給水管のライニングは25年から30年ほどの実績がありますが、排水管のライニングは、ここ5、6年くらい。でもこれからは共用部分と専有部分の排水管の改修はライニングが主流になってくると思います。

「大阪市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」のご案内

●所有建物のアスベスト有無・飛散性をご存知ですか?
 アスベストを含む建材には、劣化や損傷により飛散するおそれのある吹付けアスベスト等と破損や切断のない限り飛散の恐れのないアスベスト成形品(ボード類)等に大別できます。建設時期や図面情報等からアスベスト含有の疑わしい吹付け材がある場合、専門機関での含有調査を行い、含有が判明したら、「除去」(当該建材を取り除く。場合によって要代替材)、「封じ込め」(特殊な薬剤を当該建材に散布し固める)、「囲い込み」(当該建材の周囲を囲い、飛散を防ぐ)の何れかの対策が必要です。

●今年度はマンションの定期報告実施年度です。
 地上3階建以上のもので1000m2または地上5階建以上のもので500m2をこえる大阪市内のマンションは、建築基準法12条に基づく定期報告を行っていただく必要がありますが、この報告事項にもアスベストの有無等が含まれています。

●法改正で増改築等時の対策が義務化:本市補助は期間限定
 建築基準法が改正され、吹付けアスベスト等がある建物には増改築・大規模改修等実施時にその対策を併せて実施するよう義務付けられます。
「大阪市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」(詳細は下欄「大阪市住宅局情報」参照)は、平成20年度までの時限制度。建物状況を把握され、必要に応じて本制度をご利用頂くなど、早期にご対応下さい。ご相談はお早めに、お気軽に。


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平成17年度「大規模修繕工事見学会」報告

大規模修繕工事見学会
修繕委員の募集、設計監理者、
施工業者の選定などに知恵を絞る。

3月18日、大阪市マンション管理支援機構としては、第2回目の大規模修繕工事見学会を、ベイシティ大阪管理組合のご協力により開催しました。ベイシティ大阪は、地下鉄朝潮橋駅から徒歩12分の場所に建ち、3棟でSRC造8〜21階建てからなる・総戸数435戸の大規模マンションです。築12年を経過し、今回が初めての大規模修繕工事です。

<見学マンションと工事の概要>

ベイシティ大阪(大阪市港区池島3-5-1)
SRC造8〜21階建て3棟/総戸数435戸/築13年
工事内容(1)下地補修 (2)壁面塗装 (3)鉄部塗装 (4)防水 (5)シーリング (6)取り替え修繕 (7)その他
工 期平成17年9月〜平成18年6月
設計・管理建物診断設計事業協同組合
アーバンスペース建築事務所
施工(株)長谷工コミュニティ

● 大規模修繕委員会設立までの経過説明

 まず、大規模修繕委員会設立までの流れを、佐古理事長からご説明いただきました。
 「2年前の総会で、築10年以上経過しているということで、11期の業務計画に建物診断を承認してもらいました。 管理組合だけの人間だけではできないので、3社のコンサルタント会社からプレゼンテーションを受け、実際に設計監理されたマンションを訪れ、そこの理事長さんや大規模修繕に携われた委員長さん等々から意見を聞きました。 費用については、調査診断と設計監理の見積もりを提出してもらいました。 その中で、建物診断設計事業協同組合(以下、建診協)アーバンスペース建築事務所に決めた理由は、費用の他に、大規模修繕時にマンションに足を運んでもらえる回数の多さでした。
(写真) そして、この時期に大規模修繕委員会を設立し、委員を公募しました。残念ながら立候補は1名だけでした。あとは、過去の理事経験者や建築の専門家などの方に依頼状を出したり、面接をさせていだいて、管理組合の理事2名も加えて、何とか9名の委員で発足しました。同時に委員会の目的や議決の総数などの内規を定めました」。

● 施工業者選定までの経緯説明

 次に、施工業者選定までの経緯説明を、平野理事からしていただきました。
 「一昨年の12月にアンケート調査を実施しました。 住まわれている方の関心も非常に高く、90%の回収率をあげました。 そして1月に建物診断調査とバルコニー立ち入り調査を実施し、劣化状況の確認をしました。 その後、3月に住民説明会を開き、写真やスライドを見て頂いて現状を確認してもらいました。
 それから本題である施工業者さんの選定に入りました。選定に当たっては、コンサルティング会社を中心に、共通工事 仕様書と見積書を作成。 そして年間2億円の工事実績や、直近の工事実績、資本金の規模など業者さんのレベルを決めて公募をしました。 応募企業は7社ありました。 選定には採点制を採用。 70点を工事金額、ヒアリング調査を20点、経営の健全性を10点とし、総合点で判断したわけです」。
 最終的に3社に絞り、同規模マンションの施工実績を見たり、ヒアリングをして、同じ採点制で、最終的にベイシティ 大阪の管理業務を委託されている長谷工コーポレーションに決まりました。

● 建物調査診断結果および工事内容の説明

 次に建物調査診断結果および工事内容の説明を、建診協の松本さんにしていただきました。
 「建物がコの字型に曲がっている他、海の近くで風も強くふいています。そこで調査診断も、通常ではやらない方法もやっています。 その前に管理組合さんからお話しがあったように、住民の方にアンケートをとりました。 回収率も90%もあり、おかげでいいデータを取ることができました。 バルコニーも60数件入らせていただいています。 高い意識を持った方がたくさん住んでおられ、とても役立ちました」と説明。 さらに診断方法と、具体的な工事内容、改修工事の手順などが説明されました。

● 活発な質疑応答

(写真) 続いて行われた質疑応答では、多くの質問が寄せられました。
 「うちのマンションでは、修繕委員のなり手がいないので悩んでいるところです。 どういう方法をとられたのか」と質問に対して、担当の平野理事から説明がありました。 「まず理事の経験者に手紙を書きました。 “こういうことで立候補者を募集していますが、ぜひご参加ください”と60通ぐらい出しました。 さらに個別依頼して最終的に9名の方に了解いただけました。 うち2名が女性ですが、デザインや色決めなどでは 女性の意見は欠かせません。 だから女性にお願いした方がいいと思います」。
(写真) この他にも、「共通仕様書はどんなふうに作られたのか?」 「竣工検査の基準は?」「材料の出荷証明と現物の検査をどうされたのか?」 など、かなり突っ込んだ質問もあり、それに対する答えがありました。

● 現場見学&質疑応答

(写真) そしていよいよ現場見学が行われました。
 当日は、あいにくの雨。 コース変更をしての見学でしたが、参加者は3つの班に分かれ、建診協の松本さん、長谷工コーポレーションの2名が班長となって参加者を引率。 班長による施工状況の説明に、参加者たちは興味深く見て回りました。 現場見学を終えた後で、会議室に戻り、再び質疑応答が行われました。 「塩ビシートを貼られている廊下の日常清掃と定期清掃の方は?」という質問に続いて、 「管理会社と施工会社が同じでは、管理会社にリードされて決めたのではないかと疑われる。 それをどう克服されたのか?」という質問に対して、佐古理事長より、 「業者選定に当たっては透明性の確保が何よりも大切。 決め方について居住者の皆さんに細かくご説明いたしました」との答えがあ りました。
 ちなみに当日は、26名の参加者がありました。 「管理組合の生の声が聞けて、とても参考になった」と大好評でした。
 今回、会場をご提供いただき、 とても貴重な体験をお話いただいたベイシティ大阪管理組合の皆様には、心よりお礼申し上げます。
(写真)

平成17年度「管理組合交流会&相談会」報告

「管理組合交流会&相談会」報告
分譲マンションの管理組合で抱えている課題について、 他の管理組合がどのように取り組んでいるのか情報交換することは、 管理組合運営を円滑に行うためには大変重要です。
支援機構では他の管理組合と情報交換していただく場を提供しています。 管理組合の日常活動の中での経験、悩みやアイデアなどについて、 意見交換していただく場として2005年度も交流会を開催しました。
また、個別相談会も同日に開催しました。
今交流会での意見交換では、それぞれの問題について経験者からのアドバイスや情報提供が受けられ、 悩みを共有しながら解決方法について熱心な発言がたくさんありました。 管理組合役員さんの生の声の一部をご紹介 します。

管理組合交流会

日時:平成18年2月26日(日)13:30〜16:30
場所:大阪市立住まい情報センター3Fホール
参加者:28名の参加があり、5組のグループに分かれて意見交換しました。
※交流会参加者は、原則としてマンション居住者とし、管理会社や管理員等の参加は不可としています。
参加費: 無料

大規模修繕関係

Q 大規模修繕(工事内容、業者の選び方)の進め方および状況 について、情報交換したい。

  • 過去に大規模修繕は1回実施した。外壁と共用廊下、照明設備、鉄部塗装の修繕を行った。 修繕委員会を立ち上げ、見積 を10社程とった。 業者の決定は、実績と社員の対応を見て、決めた。 工事着手後も、納品書などによって、支出金額と明細数量をチェックした。
  • 大規模修繕については2,3年後に考えている。修繕委員会を設置したところである。 今回は初めての大規模修繕なので、現在の修繕積立金で工事が賄えるのかどうか、 みなさんの経験談を参考にしたい。
  • 修繕なども、見積もりの取り方によって金額がまったく変わる。
  • 16年目に大規模修繕した。まず建築士に劣化診断してもらった。 64戸で3,000万円弱だった。
  • 構造1級建築士に劣化診断してもらい200万かかりました。 その建築士は仕様書まで作成してくれ、5社程度の相見積りをとった。
  • 素人では分からない事が多いので、月2.5万円(年間30万)でコンサルタントを常駐させている。
  • 地震で5階より上階のガラスが割れたのですが全て保険会社が補償してくれた。

耐震診断

Q 私のマンションでも耐震診断の声が出ています。

  • 耐震診断はまずは図面(書類)チェックから。 大阪市の建築指導部建築指導課では耐震診断の補助等も行っている。それから、構造計算→現場のチェックとなるが、これらは多くの費用がかかる。
  • 図面だけを信じてはいけない。大手の会社だからと言って安心してもいけない。

管理委託会社

Q 現在までの管理組合の運営等に関する書類が一切保存されていない。 管理会社は20年間変更していない。

  • 管理会社の変更に取り組んでいるが、私一人で検討している。 最近わかったのだが、管理会社と委託契約書を作成していないことがわかった。 調べてみると、設備点検や雑排水管の清掃など実施していないこともわかった。 どのように進めていくの がよいか、皆さんのアドバイスをいただきたい。

Q 皆さんのマンションの管理費を教えてほしい。

  • 当初契約では170万円/月だった。 これは、管理会社がすべての保守費用を負担するという内容だったが、 実際は何も保守することがないのに毎月払っている状況だった。 だから、会社を変更した。 そうしたら、55万/月になった。年600万円の経費が節減できた。

(写真)Q 管理会社の変更は大変か。

  • もちろん容易ではない。 みんなが払っている管理費が当初設定ではこういう形で支出されているということを、 全戸に伝えた上で、理事会で変更を決定した。

Q 管理会社の探し方を教えてほしい。

  • インターネットやこのような交流会で情報を集めている。
  • 管理会社は実務がよいところを選ぶべきである。
  • フロントマンの対応の良し悪しも大切だ。

管理組合運営

Q 役員の集め方と、住民の意見の集め方について、教えてほし い。意見箱を設置したが誰も入れてくれない。

  • アンケートをとることが適しているかも。あと、広報や掲示など で情報伝達も日ごろから意識しておくことも重要だ。

Q 管理費の滞納対策はどうしているのか。

  • 管理会社が理事名で督促を出す。管理会社が、相手と交渉も している。
  • 内容証明を送っている。
  • 滞納は時効5年ではなく、6ヶ月くらいが勝負の分かれ目であ る。あまりに滞納すると払えない。

住まい方

Q ごみのマナーが悪くて困っている。

  • ごみだしは1,2年かけてきれいに保つように管理を実践した結果、マナーが浸透してよくなった。
  • グループ長が責任を持って、当番制でごみ置き場の鍵を約束の時間だけ開けるようにしている。

Q ペット禁止マンションだが、内緒で飼育している事例が多い。

  • 高齢者も多く、ペットの飼育を無理に禁止できない。
  • ペットクラブを作って、ルールの徹底化を図っている。 人間に危害を加えた場合は、全面禁止にする約束とした。
  • ペットクラブを作ると、今現在持ってない人まで加入して、 ペットの数が増える事態 にもなるので、あまり賛成できない。
  • ペットクラブと管理組合は、接触しないことにしている。
  • 苦情等の窓口は、入居者同士だと角が立つので、管理人へ集約するようにしている。
  • 1代限りのペットを認めているので、固体判別のために3ヶ月ごとに写真提出させている。

その他

(写真)放置自転車問題・不法駐車対策・不法投棄・マンションみらいネットへの取り組み・ 外国人 の入居者の場合の言葉の壁、文化の違い・アスベスト問題・ 耐震問題・光ファイバーの導入などのテーマで意見交換ができました。

「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」報告

会場全員参加によるクイズ形式「マンション管理Q&A」


初の試みである「マンション管理Q&A」は、以下のように進められました。

  1. 大阪市マンション支援機構の構成団体である専門家団体より、専門分野に関連する問題を出題します。
  2. 専門家の方々の方から回答1と回答2をお答えいただきます。
  3. 会場の皆様は、回答1が正解だと思われれば赤の色画用紙を上げ、回答2が正解だと思われれば、青の色画用紙を上げます。
  4. 最後に専門家に正解の発表と、解説を行います。

全部で14問出題されましたが、ここでは紙面の都合上、5問に絞り、解説は省かせて頂きました。読者の皆さんもクイズに挑戦してみください。
(正解は、下段にあります)

出題(解説)者及び回答者
久保井

左から
大阪弁護士会/五島 洋
(社)大阪府不動産鑑定士協会/笠井 靖彦
近畿税理士会/中島 一晶

久保井


大阪司法書士会/沖 健補
大阪土地家屋調査士会/和田 清人
(社)大阪府建築士会/川畑 雅一

【問題1】
あなたは、交通接近条件、場所的環境及び購入予算限度額内にあると思っている右記2物件のうち、どちらのマンションを選択しますか?
久保井 【回答1】 Aマンション
同時期に建てられたマンションで、物件の概要(面積・間取り・階数位置)がほぼ同じであり、価格がBマンションより安いということであれば、Aマンションを選びますね。おまけに、修繕積立金もBマンションに比べて低いのも魅力です。ただ、ペット禁止マンションのはずがエレベーターから犬を連れた婦人がおりてきたというのがやや気になりますが。

久保井 【回答2】 Bマンション
大規模修繕計画が決まっているBマンションは管理がしっかりしているように思います。修繕積立金の価格もBマンションの方が高いのですが、これから古くなるマンションにとって管理がしっかりしていることは資産価値の上でも重要だと思います。それに引っ越してすぐマンションのハイキングにも参加できそうだし。
【問題2】テーマ:管理組合が行うコンピューター講座の収益
私達の管理組合は、集会所を利用して毎週1回、組合員であるA氏を講師として、コンピューター講座を開催しています。A氏に支払う講師料を差引いても1回の講座につき、1万円程度の収入がありますが、この収入に対して法人税が課税されるのでしょうか。
【回答1】 課税されない
コンピューター講座の実施は収益事業ではないから課税されない。
【回答2】 課税される
1回の講座につき1万円の利益があれば、年間で50万円程度相当な利益が見込まれるので、法人税が課税される。 【問題3】テーマ:マンションの大規模修繕工事の設計・工事監理と施工業者の決定について
●管理組合理事長の佐藤さんの悩み
「ライフアップ」マンションの管理組合理事長佐藤さん任期中に大規模修繕工事を実施する時期が迫っています。どのように進めれば良いのでしょうか。
【回答1】 建築関係の区分所有者に任せる
「ライフアップ」マンションの区分所有者である田中さんが建築関係の仕事をされているから、あの人にお願いして施工業者を紹介してもらって、その業者が大規模修繕工事を施工し、設計と工事監理を田中さんかその紹介の人に任せればいいと思います。田中さんは区分所有者だから安心だし上手くいくに違いないと思います。よって「建築関係の区分所有者に任せる」案を理事会に諮ればいいと思います。
【回答2】 第三者の設計事務所に委託する
ちょっと回りくどいかも知れませんが、住まい情報センターでは分譲マンションアドバイザーの派遣をしてもらえると聞いています。管理組合の理事会としても勉強して、やはり第三者の設計事務所に大規模修繕の設計と工事監理を委託し、施工業者も設計事務所と管理組合とで相談の上、決定するべきだと思います。よって「第三者の設計事務所に委託する」案を理事会に諮ればいいと思います。 【問題4】
隣接地の所有者から境界確認の書類に理事長の押印を求められました。従来から境界杭も入っており境界そのものには異論はないのですが、押印するについて、管理組合としてどのような手続が必要なのでしょうか?
【回答1】 総会の決議の上でなければ、押印してはいけない。
土地の境界は、区分所有者にとって重要な事項だから、総会の承認が必要である。
【回答2】 理事会決議のもとに、押印すれば良い。
境界杭により以前から誰もが認識している事実であるし、それだけのために臨時総会を開く必要はない。 【問題5】
管理組合の役員である監事は、理事会で議決権をもつのでしょうか。
【回答1】 議決権をもつ
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告する義務があるため、理事会の議決権をもつ。
【回答2】 議決権をもたない
監事は、理事ではないため理事会で議決権をもたない。

上記の問題に対する正解

【問題1】 → 2:Bマンション
【問題2】 → 1:課税されない
【問題3】 → 2:第三者の設計事務所に委託する
【問題4】 → 2:理事会決議のもとに、押印すれば良い
【問題5】 → 2:議決権をもたない
 ※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」報告

11月26日
管理組合会計の役割と特徴や、快適住環境推進運動の展開事例、そして全員参加型のクイズ形式によるマンション管理Q&Aなどをテーマに開催しました。 わかりやすい管理組合会計

 管理組合会計がどうも分からないという方もいらっしゃると思いますので、管理組合会計の根本的な考え方をご紹介します。そもそも管理組合の収入源は、原則的に入居者の方から徴収された管理費であり、それを1年間どうやって運営するのかを考えるのが理事会です。その運営に基づいて支出した分が、予算に比べてどうかを考え、それが適正かどうかを明示していくのが会計担当の方の役目です。さらにそれが最終的に正しいかどうかチェックするのが監事の役割です。管理組合会計の原則は、共用部分の維持管理をしながら、管理費の収入をロスなく使い、次の方にバトンタッチしていく。たくさんお金があるからバンバン使っていいというわけではなく、将来のことも考える責務もあります。
 会計の世界では全体損益計算と期間損益計算という考え方があります。全体損益計算は、会社であれば、設立から会社が倒産・廃業、解散するまでということになりますが、これでは、現在はどうなのかがわかりませんので、一定の期間で区切るのが、期間損益計算です。管理組合の場合でも月次の収支計算書で確認をし、1年間が終わったときに収支計算書の金額と予算とを対比する流れになります。例えば1年間が終わり、はっと気が付くと水道光熱費が予算オーバーということがあります。もし月次で管理していたら、途中の段階で気がついて、どこかに漏れがあるのか、読みが甘かったのか、ということがわかります。
 新聞などを見ていたら、某銀行で十数億の横領とかが起きる。それはチェック体制が甘いからです。一定のルールがない。継続性がない。明瞭性がない。誰が見てわかるように、要求されたときに今の実態がある一定の法則に基づいて同じ結果になるという状況を確保していないからです。
 会計は、数字を羅列して、ただ単に事後のことを帳簿につけることが目的ではなく、事後の帳簿、もしくはその事実に基づいて、将来どうしていくのかを見ていくことが重要です。だから継続性を無視したり、いい加減にするような方が役職についた時に困るし、もしやり方等がわからなければ分かる方に聞くなどして、正確性を高めていく努力をされないと、結局はご自身も含めて皆さんが困るようなことになります。
 管理組合会計は、できるだけ皆さんが拠出されたお金を無駄に使わないようにお互いが、いい意味の干渉をし合って、将来の自分達の財産を守るように使うための重要な得をするツールだと思っていた だき、管理組合会計にもう少し目を向けていただけたらと思います。

ミニ講座3 快適住環境推進運動の展開(項目)について
挨拶運動、講習会、防犯パトロールなど多彩に実施
講師 高田 修志(たかだしゅうじ)
エバーグリーン淀川地上館 管理組合 理事長

当管理組合(自治会協力)では、より快適な住環境を求めて住民全員参画により「快適住環境推進運動」に取り組みました。その内容は次の通りです。

  1. 「管理規約」に「コミュニティの形成と育成」の条文を追加し、意識付けをしました。
  2. 全住民対象に「快適住環境推進」の標語募集し、作品をエレベーターホールに掲出しました。
  3. 行動形態としては「挨拶運動」から入り、期間中理事・代議員、管理事務所職員よるデモンストレーションを行いました。日がたつに従って通学する小学生・中学生から自発的に「おはようございます」と声が出るようになりました。
  4. 住民のためのコミュニティサルーン(談話室・寛ぎの間)をあまり使われていない集会室を改装してオープンしました。
  5. この期間に定例となっている「防犯講習会」「救急救命研修会」の他に「健康管理講習会」を医誠会病院の先生にお願いしました。(好評)
  6. 「快適住環境」に対する論文(提言)を募集し、発表しました。
  7. 「防犯パトロール」も防犯協議会のメンバーで続けています。
  8. 迷惑行為排除のための「べからず集(28項目10項)」を手作り作成し、全戸に配り徹底を図り、毎月実行課題を設け促進することにしました。
  9. 各クラブ活動(老人会・踊りの会・卓球・テニス・少年野球・ペット飼育者連絡協議会)等の活性化
  10. 構内の整理・整頓、タバコのポイ捨て、犬の糞の片付等の清潔感の醸成。やはり結果を出すためには“継続は力なり”で根気よく続けたいと肝に銘じています。
 ※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」報告

11月13日
マンション共用部分の維持管理に対する住宅金融公庫のサポート体制や、大規模修繕の具体的な進め方などをテーマに開催しました。 マンション共用部分の維持管理にかかる住宅金融公庫の支援について

(1)新築 ………売主(事業者)が管理規約や長期修繕計画のお膳立てをして、マンション居住者の方に引き継ぐのが一般的です。新築分譲マンションを売る場合に、「フラット35」や「公庫融資」というローンをご提供するわけですが、そのローンのご提供の条件として、事業者に管理規約の整備と、長期修繕計画の策定を義務化しております。
(2)資金運用 …管理組合の運営で問題になってくるのは、修繕積立金の運用です。当公庫で修繕積立金の運用をサポートするツール「マンションすまい・る債」を用意しています。これは、住宅金融公庫が発行する債券(利付10年)で、定期的に継続購入(最高10回)し運用していただく制度です。
(3)修繕 ………例えば、修繕積立金のストックが足りない。あるいは、全部取り崩してしまうと、急な支出を考えると不安だ。あるいは、数年後の予定工事もまとめてやってしまいたいが、そうするとお金が少し足りない。こうしたケースで、私どもの「共用部分リフォームローン」の検討をしていただければと思います。
(4)流通 ………中古住宅を購入する際に「フラット35」や「公庫融資」をご提供していますが、どんな中古住宅でもご融資しているわけではありません。管理規約の整備、長期修繕計画の定、それから良好な維持管理状況(著しいひび割れがないこと等)の要件にあてはまるものに限定的にご融資をさせていただいています。
(5)建替 ………最後は、どこかで建て替えなければなりません。その場合に、私どものサポートの一つが「建替資金の確保」です。マンション建替資金融資は、最長35年、固定金利、融資額8割までというものをご用意しております。その中で必ず問題になってくるのは、高齢者世帯の資金問題です。それに対して「高齢者向け返済特例制度」をご用意させてもらっています。

大規模修繕の進め方 〜事例からみるチェックポイント

(1)現状の把握のために、居住者へアンケート。※アンケートには修繕箇所の指摘と、要望の2種類が出てくるはず。修繕箇所は即調査対象となり、要望は、今後を考える上での重要な手がかりとなります。
(2)現状調査を依頼する。
(3)修繕設計をする(設計者を選んだ後)。※足場の費用は高くつくのが一般的。足場を組んでしなければならない作業はなるべく一つにまとめて発注するが合理的な方法です。
(4)見積もりに参加する業者を選ぶ。
(5)業者を決めて、現場説明をする。
(6)見積もりを徴収する(設計者とともに)。※見積もり項目の明細書をつけるという条件を出すこと。一覧表にして項目ごとに比較対照することができます。
(7)業者を決定する。※大事なのは、業者の信用度。工事途中で投げ出されたら大変です。知り合いの金融機関を通じて業者の信用調査をかけること。
(8)理事会や総会に諮り、決議します。
(9)契約をします。
(10)工事に着工する。
(11)工事の設計監理と施工管理。※必ず設計図と違うことがでてきます。その時にどうするかというのが非常に大事で、業者任せにしないで設計監理者がおれば、施工管理者と打ち合わせをして解決することが大切です。
(12)竣工引き渡し。
(13)マンションの履歴を残す、保存する。※次回長期修繕計画は10年前後先になります。人も考え方も状況も変わりますが、今回修繕の記録と要望を履歴で残せば次回の参考になります。

 大規模修繕は、以上のような手順で進められます。1番目から13番目まで、その労力と時間は大変なものです。2〜3年くらいかかる場合もあります。理事会で大規模修繕に取り組むと、任期の都合で、途中で人が変わり、なかなか進まないこともあります。だから2年、3年続けられる修繕委員会を設けることをおすすめします。


ミニ講座2 電灯幹線の安全性向上と電気容量アップの改修事例
停電や火災を防ぐには電気配線の改修が必要です
講師 柳瀬 洋(やなのせよう)
(株)関西電力 法人営業部 公共営業グループ
 現在お住まいのマンションが、建築後25年以上経過し、電気配線の改修を行っていない。また、住戸内の電気配線がタコ足配線状態で、たびたび停電する。さらに個々の住戸の停電がマンション全体に波及する。これらの原因は、マンション建設当時と比べて、現在使用の電気機器の種類と容量が格段に増加したことによる電気配線の回線数及び容量の不足、及び短絡事故時の安全装置が無いことが原因です。このような悩みでお困りの皆様に、改修費用の一部(幹線部分の改修費用)を関西電力の「貸付配線制度」を利用して、初期投資額を抑えて改修した事例の紹介です。 ● 対象建築物 : 築30年、住戸数約170戸 ● 改修内容 : 住戸内の電気容量を約2倍12回線の分電盤(漏電ブレーカー付き) ● 貸付配線制度 : 関西電力がお客さまに代わって電気配線(幹線部分)を施工し、その配線をお貸し、さらに貸付配線のメンテナンスをおこないます。そして、これらに要する経費を原則として10年間の分割でお支払いいただく制度 但し、制度適用には条件があります。最寄の営業所にご相談ください。  ※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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平成17年度「マンションらいふあっぷ基礎講座&相談会」 報告


新しく管理組合の理事等役員になられた方などを対象に、適正な維持管理を進めていくために必要となる基礎的な知識を専門家がわかりやすく説明。計3日間にわたり合計9講座を開催し、最終日には、会場の皆様にも参加していただくクイズ形式の講座を開催しました。また別途、個人相談会も実施しました。

10月30日
多くの管理組合さんが悩んでおられる管理費等滞納への対策や、マンション管理の特徴とコミュニティ形成の重要性などをテーマに開催しました。 管理費等滞納への対策 〜トラブルの回避と解決〜

●滞納に対する予防策
 まず第一に、徴収方法です。滞納でよくあるのが、失念していることです。管理規約などを読めば修繕積立金とかが発生することは分かるのに、例えば「決議されて来年の4月から発生します」という時に、気づかないために、その分だけ払われない。そういう単純ミスによる、支払い忘れを防ぐためには、自動振替という方法を規約に明記しておかれるのが良いと思います。
 次に、遅れた分の遅延損害金です。通常裁判の中で「お金を払いなさい」という判決がでたときには、規約上の定めがなかった場合は、法律で年5%と定まっています。この利率を高めに決めておく。延滞利息は高い、早く払ってしまった方が得だという気持ちを滞納者に持たせることによって回収をよくする効果があります。
 それから、滞納があった場合をシミュレーションして、マニュアルを先につくっておくこと。そしてそれを各戸の入居者、区分所有者に知らせておきましょう。滞納するとどういった不利益処分を受けるかということを周知させることにより、抑止的な効果を期待できます。
●トラブルが発生した場合の解決策
  まず大事なのは、滞納理由を把握することです。理由を確認に行った時に、支払い忘れているなという場合は、その場で「一日も早く、できれば今週中に払ってください」という口頭での請求をしておきましょう。それでも払わないという場合は、文書による督促になります。通常は、[1]普通郵便、[2]配達証明(又は配達記録)付郵便、[3]配達証明付きの内容証明郵便、といった段階を踏みます。
 こうした措置をとった結果、分割弁済などの合意を取り付けた場合、「合意書」「念書」という形で文書化しておく必要があります。
 逆に、それでも駄目な場合は、弁護士に依頼したり訴訟手続といった段階に進みます。払うべきものを払わずにいる人に対しては、毅然とした態度をとることが重要です。訴訟手続等をとることは、他の滞納者に対しても「ここの組合は厳しい。うちも滞納しているけど、来月まとめて払ってしまおう」といった心理的効果をもたらす意味があります。

マンション管理とコミュニティ
 マンションは、100人いれば100様。いろいろな考え方の人がいます。住戸の間取りも1LDKから4LDKなどあり、収入階層も違います。もちろん、考え方、価値観、教育歴、ライフスタイルも違う人たちが入居します。一戸建てとマンションの違いは、マンションは、共同生活、共同利用、共同所有、共同管理するということです。このことが理解されないままに分譲マンションを購入されて入居するということから、マンションのトラブルが始まるわけです。
 マンションの問題は、メンテナンス、マネージメント、コミュニティなど様々ありますが、いま新たにエンバイアラメントの問題も出てきております。我国の生活上の3大トラブルは、音の問題、ペットの問題、それから駐車場の問題です。これは世界中どこでも起きている問題で、日本だけの問題ではありません。一戸建て以上に、居住者同士が仲良くしないと、マンションを上手く管理することができません。このことをよく理解していただきたいと思います。
 そしてマンションのコミュニティの形成がよいところほどトラブルの数は少ないのです。マンションのコミュニティライフは、まず顔を知ることから始まります。例えば、ガードマンが巡回し、監視テレビなどの防犯設備をつけます。それだけではセキュリティの確保はできません。つまり居住者の顔を知ることです。自分のマンションの居住者か、それ以外の人かを識別できることが重要なのです。
 わがマンションも小さいネットワークがあります。ニューイヤーコンサートや、高齢者のお食事会、子育てサークルなども開催しています。例えば高齢者の方で天井の電灯の電球の取り替えができない。そこでお助けバンクがマンションの中にあれば多世代の交流ができるのです。マンションを共同で管理することによって、よいコミュニティを作れます。よいコミュニティがあれば、快適なマンションライフが送れます。よい管理ができるということにつながるのです。
ミニ講座1 管理会社との委託契約更新の方法
契約の更新時に、重要事項説明が必要となりました
講師 田坂 昭博(たさかあきひろ)
(社)高層住宅管理業協会関西支部事務局長


 国土交通省が発表した、マンション標準管理委託契約書の第21条関係には「契約の更新時に重要事項説明が必要となったことを踏まえ、更新の申し入れ時期を3ヵ月前までと明記すると共に、自動更新条項を削除」となっています。この申し入れは、書面でも口頭でもかまいません。そしてなぜ3ヵ月前なのかというと、主に管理組合さんが契約更新を検討する日数を考慮して約3ヶ月にしています。これを例えば2ヵ月にしてもかまいません。第21条の二項には「暫定契約」があります。これは申し入れをしたのにもかかわらず、管理組合と管理会社の話し合いがうまくまとまらない。でも契約の期限が近づいてくる場合に、同じ条件でとりあえず数ヶ月間契約を延長しましょうというものです。もう一つ、よく問題になるのは自動更新です。自動更新の条文があるから法律違反だとはいえません。自動更新は、双方意義がない、何も申し出がなければ勝手に更新しますよ、という事です。ところが適正化法であらかじめ重要事項を説明しなければ契約の更新ができません。だからこの件で相談を受けた場合は、管理会社とじっくり話し合ってください、と申し上げております。  ※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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平成17年度「第11回分譲マンション管理セミナー」報告

分譲マンション管理セミナー報告   管理会社に不満を抱き、両者の関係がぎくしゃくしている管理組合が少なくありません。そこでもっと管理会社と上手とつきあっていくための考え方を、社団法人高層住宅管理業協会の入村理事に講演していただきました。 『優しく』そして『易しく』管理会社と上手につきあっていくために

● 日本は世界に20年強遅れている
 国際的に見た時に、今年の4月1日に全面施行された個人情報保護をはじめ、ISO、国際標準規格、会計基準の固定資産の減損会計など、さまざまなものは、実はもう20年以上前から多くの国々では法律化されて、それを常識としての動きにされていました。このような形で国際的に見て、日本は立ち遅れ、そして一挙にやらざるを得ない状況になってきているわけです。その中で管理業界というのを見ると、さらに遅れています。管理会社を統率するというか制約する法律は、平成13年、マンション管理の適正化法という法律が出来上がってからです。新しくマンションをお買い求め頂いた時の管理会社は、マンションにお住まいの皆様方が選んだ管理会社ではありません。管理の仕様も皆様方が選んだという状態ではありません。従いまして、設立総会の時に管理組合皆様方が、自分たちが選んだという状態をまず作って頂く。このことがものすごく大切なのではないのかと思っています。
● 管理とは、目的ではなく手段
 管理とはいったい何でしょうか。皆さんはマンションを買われたことが目的ではないはずです。毎日活き活きとした生活、そして安心した一日一日を過ごすこと、言ってみれば楽しい人生を過ごしていくこと。そのために手段としてマンションを買われていると思います。同じように考えてきますと、なぜマンションの管理をするのか。管理をすることが目的ではありません。安心な一日一日、そしてかつ活き活きとした一日を重ねていくために、かつ不動産としての資産価値を維持していくためであり、あくまで手段です。そしてその目的を実現していくために手段としてどの管理会社を選ぶかということが浮かび上がってくるわけです。
● 5年後、10年後こうありたいという“想い”が大切
 そう考えていきますと、年齢も性別も家族構成も違う多くの人たちが集まって成り立っている管理組合様、そのような人たちが共有できる想い。言ってみれば5後、自分たちのマンションはこういう状態でありたいよね、あるいは10年後こうしたいよね、この想いを共有して頂くことが必要になってきます。想いの共有があってはじめて先ほど申し上げました手段としての管理という部分が浮かび上がってくるわけです。
 そして管理組合様がお創り頂きました想いを、今度は管理会社と共有する。このことで初めてきちんとした、管理組合様も納得するマンション管理という業務ができるのだろうと思っています。そのためには管理組合様と管理会社が、この資料では「AU」と書いてありますが、「あう」という状態、わかりあう、あるいは想いを共有しあう。この状態が大変必要であるし、それが入り口だと思うわけです。
● よい管理会社の選び方とは?
  では具体的によい管理会社をどうやって選ぶのか。管理という仕事は、ものを売っているわけではありません。従いまして、単純に「にんげん」に行き着くわけです。管理組合の皆様方も人間です。人間対人間ということで考えた時に、相手にしていい相手、お付き合いしていい相手なのかどうなのか。ごく普通の感覚で管理会社を見て頂ければいいのではないだろうかと思います。
 皆様方、現に管理を委託されている管理会社の何人と会われていますか。100人、200人と会われている方はおられますか。おそらくおられないと思います。日常的に会うのは、5人とか、せいぜい10人くらい。その5人、10人がいいか悪いかで、実はいい会社かどうか判断されているのではないでしょうか。そう考えていけば、根本は簡単でして、その会社がいい人の集まりであるかどうか、ここを見て頂くのが一番間違いのないことだろうと思います。ですからできるだけ多くの管理会社の人間に、皆様もお会い頂きたい。
 また、逆に管理会社としては、できるだけ上位にいる良い役職者が管理組合様を訪問し、理事の皆様とお話をさせて頂く。当然、管理組合様の先ほどの想いということと、管理組合も当然のことながら経営方針、想いというものがあります。それを逆に確認して頂く、このような相互の動きの中で、想いをわかりあう状態が作られるわけです。
● 当たり前のことを当たり前にしている会社
  人間対人間のように、ごく当たり前の感覚で判断すれば、よい管理会社とは、「嘘はつかない」「約束を守る」「助け合っている」会社ということになります。つまりは、当たり前のことを当たり前にしている会社。これが一番皆様にとっても安心できる管理会社だと思います。技術者の数であるとか、管理戸数であるとか、それはあくまでも土台です。そこから何が生まれて、それをどう活かしているのか。これがポイントです。
 一方で、管理組合様が管理会社に対して、一挙に状況を良くしていきたいということであれば、要望の声を大きくして頂くことです。ただし、その時に、ぜひ心に留めて頂きたいのは、何のために、ということをぜひ明確にして頂きたい。その実現のために、管理会社に対して、あるいは場合によって、コンサルタント会社に対して、知恵を借りる。このような動き方をしていけば、新しい形での管理組合様と管理会社の

 ※(注)講師の役職、部署等は講演時のものです。

安心・安全なマンションライフをめざして

大切な周辺の住民とのつながり

大西  ありがとうございます。いずれ具体化される国の施策の内容を待ちたいと思います。ところで岡田さん、周辺の自治会とのつながりという点で、何か工夫されている点があるんじゃないかと思うんですが。

岡田  正直いいまして、それほどできていないというのが現状です。ただ、先ほどスライドの中で、夏祭りの写真がございました。うちの敷地の中でやりますけれども、カラオケをやるわけですから、近所に非常に迷惑をかけています。ですから、毎年、ビラを配って、ご了解をいただくということをやっております。以前から近所の子どもとか、皆さん来られて、実費をいただき参加頂いているという現状でございます。

マンション履歴システムがめざすもの

大西  廣田さんへ、私から質問をさせて頂きたい。履歴システムのご紹介がこれからのポイントになってくると思うんですが、一方で、履歴を蓄積していくことは、情報がどんどん増え続けるということになり、こんどは、誰も判断できなくなる。この辺りは専門家の支援も必要じゃないかなという気がするんですけども。

廣田  この履歴システムの登録項目は、3種類の視点で書かれています。一つは、積み重ねていく情報。例えば、今年はここを修繕しました。1年間の情報だったら書けますよね。毎年登録していくことで、20年たったら20年分の歴史が残っていく。いつ管理費を改定したとか、規約を改正したとか、管理会社を変更したとか。1年間だったら誰も忘れていないから書けますよね。ところが10年前とかになると、記憶が曖昧になってしまいます。そういうのは積み重ねていく。そういう視点で選ばれています。
  二つ目は管理組合の管理状況をチェックするのに使う項目。例えば管理組合の運営などの情報は毎年上書きしていく。総会の出席率はどうですか、理事会はどれくらい開いていますか。保険はどんな保険に入っていますか。そういう情報は、まず最初の登録のときにチェックをして、そこで、うちはこの保険が足りないなとか、図面がどこにあるか分からないから探しておこうとか、次の行動目標にしてもらおうというものです。総会の出席率が低かったら、次はちょっと頑張って呼びかけると数字が良くなる。2年目の診断の時には、新しい情報でまた診断させてもらい、次の目標につなげてもらおうという視点で選ばれた項目です。
  もう一つは、例えば、新しくマンションを探している人が見たときに、このマンションはペットが禁止なのかとか、バルコニーに衛星放送のアンテナをつけてもいいのかとか、もともと何をして良くて、何をしていけないのかを、知っていて入ってもらわないと、管理組合が苦労しますよね。外から見た人にぜひ知っておいてもらいたい情報という視点。この3つがあります。

良い専門家の選び方、そして耐震改修と基礎との関係

大西  それではここで、参加者の方からたくさん質問をいただいております。一つは、診断とか耐震の改修をする際、良い専門家を見つける方法はないかということ。もう一つは、新しい免震とかを含めた耐震補強技術は上物をどうするかという話ですが、むしろ地盤が弱いとか、基礎との関係で耐震補強工事を考えないといけない点があるのでないか、というご質問を複数の方から頂いております。

樫原  良い専門家を選ぶと言っても、要は医者と同じで、相性だと思うんですね。依頼される人との信頼関係の方が大きいと思います。資格はみんな同じですから。我々は1級建築士をとったうえで、建築構造士の認証をしています。これが全国に3500名ぐらいおり、エイペックエンジニアというか、要はアジアでも通用する、外国で通用する資格です。それでもいろんな人がいますから、選ぶのは非常に難しい。ですから、日本建築構造技術者協会の方に問い合わせをして頂いて、いくつか当たってみることだと思います。
  それから基礎の話ですね。地盤の条件はやはり考慮しなければならないと思います。先ほど説明不足だったんですけども、オイルダンパーとか、粘弾性ダンパーなど柔らかいもので補強すると、壁とか筋交いなどの硬いものよりも、基礎に対する影響が最小限に抑えられます。ほとんどゼロに近いため今より基礎に負担が多くかかることはありません。基礎は基礎で、一部分ノッチとか切りかけを入れて変形しやすいようにするとか、いろんな新しい工法も出ています。ただし、まだ一般的な工法になっていないし、費用もかかりますので、マンションでというのは難しいかなと思います。

きちんと維持管理すれば、60年、70年はもつ

大西  残る質問は、私と廣田さんの方に出ています。一つは、建物の寿命についての質問です。耐用年数を延ばして長く住めるような再生型の修繕について廣田さんから少しコメントいただければと思います。

廣田  もう消費財のように取り壊して、住宅を新しく建てるという時代ではありません。マンションは、きちんと維持管理すれば持つと思います。ご質問では、60年、70年を望んでいるということですが、ヨーロッパでも、アメリカでも築100年という鉄筋コンクリートの集合住宅もあります。ただし、生活をしていくうえで、設備なんかは現状維持していくだけでは古くなってしまいます。それはやはり計画を立てて、少しずつ新しいものにしていく再生工事に取り組んで、それぞれの時代に耐えるように少しずつグレードアップさせていくことで、60年、70年はもたせられると思いますので、頑張って管理をしていって頂きたいと思います。

マンション耐震改修におけるアメとムチ

大西  時間がほぼ予定通り来てしまいましたので、いくつかまだ質問が残っていますが、これで最後にさせて頂きたいと思います。ご質問の中で、正常化の偏見(自分には不幸なことは起こらないだろうという楽観的な考え方)を克服するアイデアはないのか、というのを頂いております。このへんについて少しお答えをしながら、まとめに替えさせて頂きたいと思います。
  一つは、危機に対して、よく見えないリスクを、できるだけ見える形にすることが重要かと思います。住宅の性能表示制度も始まっていますし、中古住宅についても、構造的な性能をランク分けして表示する。そういうことも危機管理の上では情報提供として重要だと思います。
  それから、地震保険という話しが、樫原さんからありましたけれども、地震保険は、リスクマネジメントの中でも非常に重要な手法であり、危機の移転により財政的な価値に変えるわけですね。リスクを地震保険という形で金銭化する。リスクを目の前に示すという意味でも大事だなと思います。
  3点目としては、コミュニティということがありましたけれども、いろんな取り組みをできるだけ楽しみながらやるような工夫をしていくことだと思います。
  最後に、耐震改修が、今日の大きなポイントになっていたと思います。これからどういうことをめざしていったらいいのか。2つの方向があると思います。
  まず改修の公的な支援策を拡充させていく根拠となり得る規定として重要なのが憲法第25条であり、生存権とか社会権が規定されております。つまり、安全な建物に住むというのは、国民の権利として要求できるのではないかという考え方です。
  一方、規制強化という観点でみると、耐震改修促進法では、個人住宅とマンションは勝手にやりなさいとばかりに、対象から実質的に除外されている。しかし公的な関わりが強まっているマンションで、本当にこれでいいのか。車には車検制度があります。車検をうけなければ車を維持することができません。住宅にはそういうものがないわけです。住む以上は、一定の性能をもっていなければ住めないような形が、本来あるべきだと思います。売買時には、そういった検査制度もいるのではないか。ですからアメとムチの対策が、うまく揃っていけば、マンションの耐震改修をしていくうえで、非常に有効でないかと私は考えております。
  今日は、長時間、最後までおつきあい頂きまして、本当にありがとうございました。


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安心・安全なマンションライフをめざして

地震に強く、価値の高いマンションにするために
出席者
久保井 [コーディネーター]
大西 一嘉
神戸大学工学部 助教授

久保井 [パネリスト]
廣田 信子
(財)マンション管理センター
総合研究所 主席研究員
久保井 [パネリスト]
樫原 健一
(社)日本建築構造技術者協会
関西支部 技術委員長
久保井 [パネリスト]
岡田 勇
高取台サンハイツ管理組合法人
事務局長
高取台サンハイツにおける防災対策

大西  まず高取台サンハイツ管理組合法人事務局長の岡田勇様から話題提供をいただきまして、それをふまえてパネルディスカッションに移っていきたいと思います。

岡田  私どものマンションは神戸市の長田区にございます。震災で相当火事があった長田区です。1974年に竣工、8階建ての90戸です。1995年の阪神淡路大震災を経験し、その後の防災に関する取り組みをご紹介させていただきます。
  まず震災でライフラインが停止しました。電気は早く回復しましたが、水はひと月ぐらい。ガスに至ってはふた月ということで、大分苦労しました。建物は一部損壊です。廊下のひび割れ、花壇・コンクリートのひび割れなどはボランティアで補修をしております。一番問題であったのが、下水管の破損ですね。横引管が折れていることに気がつきませんでした。折れたために汚物や汚水が溜まってくる。ある日突然一番下の住戸のトイレで逆流する。悲惨ですよ。
  こういったことを通じまして、安全・安心に対する住民の意識が非常に高まりました。それを受けて、安全・安心に対する対策をいろいろ推進しております。
  いくつかありますが、まず隣接建物との防災協定です。隣接する建物はボーリング場や幼稚園がございます。ボーリング場には屋内消火栓があり、それを私どものマンションで火事があった時は使わせてもらう話をしました。幼稚園の方は、池田小学校の事件もあり、入口が一つしかないため、我々のマンションとの敷地の境界に避難経路となる避難の扉を造りました。
  次に住民の緊急連絡先の把握です。住民の情報を集めるのはなかなか難しいんですけれど、我々は緊急時以外には開封をしない、誰も見ないということで、99%の協力を得られております。今までに使ったのは1回のみです。
  それから耐震補強の実施です。マンションが傾斜地に建つため、ピロティの部分がございまして、震災で若干の被害を受けました。住民の不安もあり、神戸市の簡易耐震審査を受け、400万の費用をかけて、ピロティのところに耐震壁を造りました。それから防犯対策の推進です。廊下側の窓の面格子、これを外した泥棒がおりまして、防犯が必要だということで、チェーンゲートや防犯カメラの設置を進めております。
  震災から学んだことは、人と人とのつながりの大切さです。そこで使わなくなっていた管理人の部屋を改修をして、多目的に使える部屋にし、敬老会や文化祭をやっています。90戸ありますと、いろんな方がいらっしゃる。思いの違う方がいらっしゃるのも事実です。そういう方々を一緒になって、安全の取り組み、人の繋がりの取り組みをやっていこうという努力をしております。

マンション履歴システムがスタート

大西  ありがとうございます。実は、あれほどの被害を受けた神戸でも、なかなか耐震補強の工事が進んでいないのが実情です。岡田さんのところのように耐震補強する例はあまりありません。日頃からどのようなことを考えておくことが、防災安全の取り組みで有効なのかを含めて、マンション管理センターの廣田さんの方からコメントをいただきたいと思います。

廣田  マンションの現状を確認すると、マンションは今、全国で466万戸、1200万人。つまり日本国民の10人に1人がマンションで暮らしています。さらにここ数年は、毎年20万戸が新しく作られています。このペースだと、25年経つと、マンションのストックは今の倍になってしまいます。一方、買う人の方は、もうすぐ人口頭打ちでどんどん減っていきます。さらに築30年以上のマンションは今でも44万戸、10年後には140万戸、そういう状況です。新しく購入する人は減るのに、マンションストックはどんどん増えていくことになります。
  調査報告を見ますと、住んでいる人も変わってきています。世帯主の高齢化が進んで、約60%で世帯主が50歳代以上。しかも世帯人数も減り、1〜2人の世帯が42.8%。これは若い単身者や夫婦の方が増えたというよりは、お子さんが育って出られて、ご夫婦二人が残られた。あるいはお一人が亡くなられて高齢者の一人暮らしになった。そういう世帯が増えていることを表しています。そして住んでいる人も永住意識が非常に高まっています。特に高齢の方はこのままずっとこのマンションに住もうという方が大変多くなっています。
  ということは、これからのマンションは、ストックとしての価値をどのように維持していくのか。それから、居住者の高齢化にどうやって対応していくか。永住化に耐えるマンションコミュニティをどう育成していくか。こんなところが大きなテーマになるんじゃないかと思います。
  マンションがきちんと管理されているか、そのコミュニティがしっかりしているか、これが外からみてもわかるような仕組みはないか、ということで、実は私どものマンション管理センターで、今年、「マンション履歴システム」がスタートします。
  マンションの管理状況、例えばコミュニティはどれくらい充実しているかとか、管理組合運営が上手くいっているか、それから修繕積立金をきちんと積んでいるか、どんな修繕履歴を持っているかということを、インターネット上に登録してもらって、管理組合の運営に生かしてもらい、そして外から見たとき、ここは頑張っているマンションだということが分かり、新たにマンションを探そうという人にも役立ててもらおうというしくみです。さらにはそういうことがマンションの価値にちゃんと繋がっていってくれればと思っています。

地震保険の活用推進に大きな期待

大西  国交省の委員もされている樫原さんから、耐震改修について国がこれからどういう方向を目指そうとしているのかについて、コメントをいただければと思います。

樫原  国土交通省が「住宅・建築物の地震防災推進会議」を2月から6月にかけてやりまして、その概要がホームページにも載っています。まず「住宅・建築物の耐震化の促進のため実施すべき対策」として、「支援策の充実」があります。全国の市町村に相談窓口を設け、行政と建築士、我々のような団体も協力して、耐震診断・改修に係る情報提供をしようというものです。
  また、耐震改修促進法が変わります。現状では、戸建住宅やマンションは、何も規定がございません。見直し案は、病院、百貨店、学校なんかは、耐震診断改修計画を出してもらって実行してもらう。しなかったら何らかのペナルティが科せられる。戸建て住宅、マンションに関しては、密集市街地等の住宅について、指示(勧告)が出てくる可能性があります。
  私自身は、「地震保険の活用推進」がひとつのポイントになるかと思います。といいますのは、住宅ローン融資の減税はあまり実効性がない。そこで地震保険(の掛け金)をもう少し安くしようというのが今回の提言です。地震保険にマンションの皆さんが入っていただきますと、例えば耐震改修をすると割引される。そうなると、保険金を割り引くために改修しよう、という話がしやすくなるんじゃないかなと思います。


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平成17年度シンポジウム                「安心・安全なマンションライフをめざして」

安心・安全なマンションライフをめざして
 阪神・淡路大震災から、はや10年が経過し、最近では、新潟県中越大震災、スマトラ沖地震、福岡県西方沖地震などが発生しました。 今後、東南海地震、南海地震等の発生が予想されています。こうした地震に対して、あなたのマンションの防災対策は十分でしょうか。
 今回のシンポジウムでは、神戸大学の大西助教授による「マンションの地震防災と危機管理」と題した基調講演、耐震診断、耐震改修の具体的内容の事例報告、安心・安全なマンションライフをおくるために、管理組合として取り組むべき課題などについてパネルディ スカッションを行い、大変好評でした。その要約をご紹介します。 基調講演:基調講演マンションの地震防災と危機管理
安全とは何か?  マンションに関わるいろんなリスクの中の一つとして地震災害を取り上げますが、その前提として、マンションの安全とは何か、を考えないといけない。ヴィトルヴィウスはギリシャ・ローマ時代の紀元前の建築家で「建築十書」を書いた人です。この人が建物を作っていく時に大事なことが、「強」「用」「美」の3つあると書いております。安全を考える場合、私は「コスト」というか「費用」の問題を入れて、4つで考えればいいと思っています。 巨大地震と海溝型地震のメカニズム  最近起こった地震で一番大きいのはスマトラ沖の地震です。これがなぜ巨大地震と呼ばれるかというと、神戸でもかなり大きな被害を受けましたが、スマトラ沖の大地震のエネルギーは神戸の地震に対して4000倍とか5600倍ぐらいと言われています。
  地震がどうして起こるかというと、地球は十数枚のプレートと呼ばれる薄い岩盤で覆われています。プレートは年間数センチの速度で移動しており、太平洋プレートは1年で8センチずつ北北西に移動しています。十数枚のプレートが激しくぶつかっている所では、いろんな問題が起こっています。海側の方が陸側にぶちあたっているところでは、重い海側が沈み込みます。このとき起こる摩擦力が、耐えきれなくなって、ポンと跳ね上がる。これが海の底で起こる海溝型の地震です。 震度とマグニチュード  地震とは何か、と言われた時に、実は一般の方の認識と、専門家の認識がちょっと違います。一般の方に聞くと、「グラグラ揺れることだ」と答えられる。ところが、専門家に聞くと、「地下で断層がずれる」という答えが返ってきます。それぞれ別に間違っているわけではありません。「地下で断層がずれる」という現象に着目して地震の大きさを表したのが、マグニチュードであり、「地面が揺れる」という程度を表したものが震度です。
 注意していただきたいのは、マグニチュードの値は、一つ違うとエネルギーは32倍違います。だからマグニチュード8と7とでは、エネルギー量で32倍違います。値が2つ違うと、2乗になりますから約1000倍となります。 地震の発生確率  地震発生確率が最近発表されるようになりました。この予測値をどう理解するかも大事です。地震には、大きく分けて直下型の地震と、海溝型の地震の2通りがあります。直下型地震が1000年くらいの単位で起こり、海溝型地震が百数十年ぐらいの単位で起こります。次の地震までの期間が長い直下型地震は誤差の幅が非常に大きくて、50〜300年くらいずれる事がざらにあるため、発生確率では非常に小さな値しか出ない。だから、直下型地震の場合、3%くらいでも十分高い確率として受け止めるべきです。 阪神大震災後に変わったこと  阪神大震災の後で、いろいろなことが変わりました。
  一つは、フロー中心の考え方から、ストック重視の考え方に政策も含めて大きく転換してきている。耐震性の問題にしても、以前から言われていましたけど、この震災後、耐震改修の促進法ができ、今ある建物の耐震性を十分なレベルに上げていくことが努力義務として課されるようになっています。
  二番目に、役所にマンションの担当ができました。これは意外に思われるかも知れませんが、震災前までは、法律の中にマンションなんて言葉がどこにもなかった。最近は法律もでき、役所がマンションを相手にしてくれるようになったということです。
  三番目としては、地震防災対策が強化されました。地震の発生確率という形で、地震についての情報提供が行われるようになりました。ここで重要なのは、情報を提供されても、受け止める側がその情報を理解して、適切な対応をとらないと、提供している意味がないということです。 書いておぼえる教訓集  書いておぼえる教訓集を用意しました。この3つを覚えて帰ってくださったら、僕の話の半分は理解してもらえたと思います。
  まず一つ。「地震は防げないけど、○○は防げる」。この○○には「震災」が入ります。地震による被害全般を震災といいます。地震と震災とは違います。つまり、地震は地球上で起こる自然現象の一つだから誰も止めることができません。だけども、その地震を前提にして、例えば、建物を丈夫にしていく、あるいは備蓄を含めていろんな対策をたてることによって、いろいろ起こりうる被害を軽減することは可能なんです。
  二番目に、「壊れてからどうするか悩むより、○○○○ように、どうするかが大事」。これは「壊れない」です。壊れるかどうか分からない時にどうしようかと悩んでも仕方がないから、専門家に頼んで、一定の強さが備わっているかどうかを確認してもらう。その上で、壊れる可能性が高ければ、きちんと対応して壊れないようにしておく。そうすれば悩みは消えます。
  三番目に、安全を技術論にしないで、日頃からの○○力を鍛える」。ここは「想像」ですね。他のいろんな所で起こっている地震災害とかを注意深く見ていれば、「自分のところだと、こんなことが起こりそうだ」ということがだいたいわかります。ちょっと頭を働かして、いろんな場面や状況を想像することが防災の基本です。 事例報告:マンションの耐震診断と耐震改修について〜概要と事例紹介〜
耐震診断とは何か?   建築基準法に基づいて、最低限の耐震性能を持つかどうかを、「現地調査」と「構造計算」によって検討することが耐震診断です。ただ単に計算するだけでは駄目です。建物は個々に状況が違いますから、現地調査をし、住戸の中を見せていただいて、それから計算するという非常に手間がかかるものなんですね。
  手法としては、建物の構造耐力、変形能力、経年劣化を含めたIs値(保有値)という指標がありまして、それを計算します。これは建築防災協会の基準で決まっています。強度×変形能力、いろんな係数をかけ算していってIs値が求められ、Iso値(必要値)が 0.6以上あるかどうかで判定します。今までずいぶんと耐震診断をやりましたが、昭和56年以前の建物はだいたい0.6以上ありません。ですから耐震改修の設計施工へと進むことになります。 耐震改修について  耐震改修の基本的な考え方は、縦軸を強度、横軸を靭性(変形能力)とします。壁を増やせば耐力があがります。変形能力を増やすには、柱にフープを入れたり、周りに鉄板やカーボン繊維を巻く。結果、ボーダーラインを超えると安全になるという計算です。ですから壁や筋交いを増やすだけが補強ではありません。
  一般的な耐震改修工法ですが、建築防災協会が改修指針をだしています。耐力を増やす方法として、壁、鋼板壁、ブレースなどを増設する。靭性向上として、鋼板やカーボン繊維シートを巻く。それから荷重を低減する方法とか、いろいろあります。
  最近は、新しい手法として、免震や制振が出てきました。例えば屋上にTMDという水槽みたいなものを置き、地震がきたら逆方向に自分で動いて揺れを止める。あるいは複数棟あると、ここを制振装置、オイルダンパーなどで繋いでお互いにエネルギー吸収する。同じことを足下でやると免震工法になる。こういう大掛かりな方法もあれば、小さな制震ダンパーを入れてエネルギー吸収力を増やす。阪神大震災以降、非常に技術が進歩しました。
  一般的に耐震には、言葉として、耐震・免震・制震があります。耐震は力で抵抗する。力には力で抵抗する。免震は、下が揺れてもコロなどで滑るようにして、力を逃がす。制震は、一応は揺れてもエネルギーを吸収する。こういう3つの工法があり、これらをうまく使えば、マンションは大丈夫だと考えられています。
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平成16年度「大規模修繕工事見学会」報告

大規模修繕工事見学会
3月26日、大阪市マンション管理支援機構としては第1回目の大規模修繕工事見学会を、シティハイツ住ノ江管理組合のご協力により開催しました。シティハイツ住ノ江は、駅から徒歩約5分の便利な場所に建ち、SRC造14階建て2棟、RC造4階建て1棟の3棟からなる総戸数351戸の大規模マンションです。築22年を経過し、今回が2回目の大規模修繕工事です。

〜管理組合、大規模改修委員会の活動記録の紹介〜

(写真) 1回目の大規模修繕は、管理会社の設計施工方式で実施しましたが、数年前から入居者の間で、歩こう会やクラシックなど趣味を同じくする者が集まったコミュニケーション組織ができ、大規模修繕についても、自分達の住まいをもっと良くしたい、納得のいく大規模修繕を行いたいという声が自然にわきおこり大規模改修委員会が組織されました。大規模改修委員会は、管理組合での歴代の施設担当委員や、建設関係の仕事に携わる人などを含めて構成されました。大規模改修委員会は、パートナー(専門家)である建物調査会社を選定し、調査・設計業務を委託しました。施工業者については、マンションの掲示板・ホームページ・マンション専門紙により公募し、見積りの比較検討、業者へのヒアリングを行い決定しました。

〜管理組合、大規模改修委員会からの体験談〜

(写真) 続いて、改修委員会のメンバーから体験談として、大規模修繕工事を成功させるポイントをお聞きしました。改修委員会のメンバーの選定について、リーダーは自分の考えを押し付けるような人ではなく、メンバー間の意見の食い違いをうまくまとめる能力が必要であること、メンバーに建設関係の区分所有者が入ると利害関係が発生する場合があることなど紹介されました。また、管理組合の立場にたったパートナー(専門家)を選定することが重要で、予算上の問題もあるが業務委託費用の安さだけを選定基準にすべきではないというお話などもあり、これから大規模修繕工事に取り組む管理組合にとって、たいへん参考になるポイントがいくつも紹介されました。(写真)

〜施工業者による工事概要の説明と現場見学〜

(写真) 工事概要については、施工会社から、仮設計画から各工事工程での作業内容や検査体制まで分かりやすく説明していただきました。
現場見学は、2班に分かれ施工会社の引率により、施工状況を見ながら具体的な説明を受けました。

 参加者からの質疑応答では、施工業者選定のポイントや入居者への広報活動などについてたくさんの質疑がありました。当日は43名の参加者がありましたが、「管理組合の生の声が聞けて、とても参考になった。」と大変好評でした。
 今回、会場をご提供いただき、とても貴重な体験談をお話いただいたシティハイツ住ノ江管理組合の皆様に、心よりお礼申し上げます。

第10回分譲マンション管理セミナー&相談会報告

マンションの流通と管理
●最近のマンション動向
 近畿圏のマンションの価格動向(平成11年〜平成16年)をみますと、新築マンションは、平均価格・平均単価が下落していますが、平均専有面積は広くなってきており、近時のマンションブームで、契約率は持ち直してきています。一方、中古マンションは、平均価格・平均単価は下落していますが、成約率はあがってきています。
 また、最近目立つのが、大阪市内にタワーマンションが出てきたことです。これはなぜかと言いますと、大阪市内に人口を呼び戻そうという事で、大阪市が容積率を緩和した。それに対してマンションディベロッパーの目論見と需要が合致したためです。タワーマンションには、利便性、眺望・景観、様々な共用施設の充実の3つがあり、この3つが、爆発的に需要を呼んでいます。
 さらにマンションは30年以上前から供給されてますが、どんどん進化しています。専有部分については、専有面積が確実に拡大し、室内の設備が非常に進化しています。それから共用部分についても変貌してきており、カラオケルームやゴルフレッスンルームなど、こんなものがあるのかと思うぐらいに揃ってきています。
●中古マンションの防衛策
 そこで、中古マンションの防衛策として、まず「管理の前に危機管理(意識)」をもつことです。ここまで新築マンションがどんどん変貌して進化して供給されている事がわかれば、ぼやぼやしておれません。
 新築マンションと中古マンションの違いは、新築はモデルルームしか眼中にありませんが、中古は共有スペースがさらけだされています。購入の決め手になるのは、共用部分の状態なんですね。
 それから、管理はこれで決まる3大ファクターとして、関心度、コミュニケーション、お金の3つがあります。3つのファクターですが順番があります。恋愛と一緒で、まず関心から始まり、コミュニケーションにいく。それからお金となります。だから管理も同じで、皆がマンションに関心を示せば、コミュニケーションができ、理事会や総会でも、お金のかけかたを真剣に考えていくようになると思います。
 そして「マンション履歴システムの構築」ですが、昨年1月にマンションの標準管理規約が改正され、管理組合の業務に修繕等の履歴情報の整理及び管理が追加されました。具体的なマンション管理に国も乗り出したわけです。運営担当を委託された財団法人マンション管理センターは、データベースに登録された管理情報から、良好な管理をしているところに「優良管理マンション」としてインターネットで広く周知していきます。自分たちが、いい管理をしていることを認めてもらいたいと思えば、私は積極的にこの仕組みに乗って、勝ち組マンションのパスポートをもらうのが得策なような気がします。そして優良管理マンションになることが、究極の資産価値の維持になると思います。
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